2016年11月30日水曜日

「この世界の片隅に」を見た感想

今年は日本映画の快挙、しかもアイドルのアニメばかりではなく(笑)真面目な話の映画も流行っているのでかなり良い年だったなと思います。
しかも和製ゲームも結構出ましたものね。まあ山田くんのCM通りですよw

この映画、最初はあんまり興味なかったんですがツイッタラーには非常に人気が高く、各考察などいろいろ記事が出回っていたので、仕事が空いてきたので観に行ってみました。
かなり泣かせてもらいました。
生々しく、嘘のない戦争描写と、それに付随するどす黒い感情の描写を期待していましたが期待通りで感激した次第です。

私は戦争映画は残酷な描写はなるべくスパッとさらっと描いて欲しい派なんですよね。要は「ほら〜酷いでしょ〜」っていう見せ方よりも、気がつくと背景のモブキャラが全身ズタズタになってるとか、普通に喋ってるけど下半身はほとんどないとか、そういうのが正しい戦争描写だと思っています。

そして主人公には「酷い」「なんてことだ」「私はなんてかわいそうなの」みたいな台詞は呟いてほしくないんですよ。

当たり前のことだからです。
そういった感情は観客に任せておけば良い。

強いて気に入らんところがあるとすれば、主人公が酷い天然ボケで平和ボケ、大ボケな上に頭もあまりよくなくて、ただヘラヘラ笑ってるからちょっとかわいくて面白がられておって、ベタなありがちな乙女ゲーのヒロインっぽいところでした。

のんちゃんの異常なまでのダラッダラした喋り方も気になりました。そういうキャラなので仕方がないかな〜と我慢しておりました。
でも彼女も女優です。
何しろTVで「あんた女優じゃなかったらただの生ゴミね」とまで言わしめた女優です。

でもそんな彼女にも、戦争によってかき乱されたネガティブな感情が沸き上がります。そこを包み隠さず、全面に押し出して吠える姿はすごくよかったです。このあたりはもうダラダラなんてしていませんし、声も突然暗くなり、冷たくなります。

私は、日本が太平洋戦争に負けた時の「玉音放送」を聞いて怒り狂う人の気持ちが最初は理解できていませんでした。
でもこの映画は、「なんで彼らがそんなに頭にきたか」を心から理解できたと思います。

平凡に、平和に、普通に努力して生きてきた人ほど、怒り狂ったことでしょうね。

でもそこで怒ってからが本当の人生だと思うんですよね。
信じていたのに裏切られたと言う重たい傷。
もし主人公が現代に生まれていたら、一生その傷を見ることはなかったかもしれません。

そういう意味でも、この映画が2016年の今に出来上がって、受け入れられてるのはとても良いことだと思います。

私の祖父母は両方とも戦争をくぐってきたにもかかわらず五体満足、楽しく余生を過ごしています。亡くなった人も病気にも罹らず普通に亡くなりました。

なので、私は直接戦争の酷い話を彼らから聞くことができず終わりそうです。とにかく暗い話を避ける人たちなので、米軍のところで楽しくアルバイトをしたなんて愉快な話しか聞いたことがないんです。

でも、なぜか子供の頃から、担任の先生が熱心に戦争の話を聞かせたがる人だったので、小学校4年生には重いんじゃないかという話までみっちり聞かされました。読書で読むのではなく、音読で聞かされました。
概ね内容は、この映画の最後らへんに出てくる、ピカドンの後の話。ガラスの破片が突き刺さった人とか、怪我の手当てができずウジが湧くままにさせている話などです。

今の教育でそういう酷な話をどこまで小学生に語っているかはわかりませんが、まあ知っておいたほうがいいだろうなと思いました。

もしこのアニメの主人公が超萌えキャラ(確かに明らかに声優共々萌えキャラですが)としてそれが見たくて来てる人がいても、最後らへんの戦争の残酷さから目を背けないのであれば、いい傾向だと思います。


んで
最後スタッフロールで笑ったのは
あの人んちに押しかけて来て風呂借りて中で歌ってた図々しい海兵さん

小野Dだったんですね・・・

そこが一番笑っちゃったよ!!

あとキャラクターでさすが女性作家だなと思ったのは、
とりあえず全体的にテンプレ女性像が比較対象として揃って出てきますよね。なんかそれはいいなと思いました。女性の人生の話だと思うので。
海兵さん邪魔だなって思ったけど、多分少女漫画的な要素ですよね。やはり女性向けではないかと思います。

男は・・・なんか・・・周作以外はちょっとw

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