※少々ネタバレを含みますが、結末には触れないでおきます。
当時劇場で見ようか少し迷ったホラー映画です。
シンプルで、よくあるテンプレホラー映画なのですが、私が好きになれたのは以下の点。
・主人公が女性であり、母親との確執でトラウマを抱えていること。
・イット・フォローズや、「リング」と同じで、他人に移すことができる呪いであるにもかかわらず、主人公が自分で解決しようとしたこと。
笑顔そのものは単なる演出上必要なものという感じで、その笑顔は本人の笑顔ではなく、取り憑かれた証となります。
ホラーの傾向としては、おそらく低予算で役者がいかに「取り憑かれた」感じを演じられるかにかかっているような内容でしたが、非常に上手かったです。この辺アメリカ人って得意だなと思う。リアクションがでかい、叫び声がでかい、本気で叫ばせると日本人の数倍は叫ぶよな。
まず主人公が自分で解決しようとしたところ
ここはとてもよかった。
医者だからというのもあるかもしれないが、リングと違って彼女は一人で呪いを解決しようと試みた。一人でいれば、誰かに移すこともないだろうとの考えである。
取り憑かれたものは大量の幻覚を見る。そこに実は何度か母親が映っているのだが、我々は途中まで「どれが母親か」わかっていない状態で映画を見ているので、だんだんわかるようになってくる。
そして、誰にも移すまいと頑張る主人公の前に、過去のトラウマである母親が姿を現す。
この物語は、主人公が母親を見殺しにしたトラウマから立ち直れるか、を試される物語なのである。
私にもいろいろな確執があるし、結局は母親をあの世に送らねばならない日が来る。だがどうしても愛せなかった、好きになれなかった場合はどうだろうか。主人公はそれを上回るような、嫌悪感と恐怖を母に抱いていた。
トラウマにつけこむ「悪魔」
トラウマにつけこむ悪魔といえば、「ヨハン・リーベルト」を思い出す。あいつは私の好きなキャラクターが酒飲みの母親を見殺しにしたことを調べ上げて、まるでゆするかのように、マルティンを揺さぶってくる。相手が隠し持っている過去のトラウマ、罪悪感を苗床にして彼らは蔓延るのだ。
しかも途中からわかってくることだが、凄惨な自殺や殺人を誰かに見せることで、それは伝染していく。つまり「トラウマを植え付けていき、毎回誰かを死に追いやる」を繰り返すというとんでもない悪魔である。これは元は人間なのかもしれない。トラウマがどれだけ人を狂わせるか、「彼」はよくわかっているのだ。
ここから先はまるで「サイレント・ヒル」のような展開になる。
サイレントヒルの主人公たちは皆、過去にわだかまりや罪悪感を抱え、サイレントヒルにやってきて、その罪悪感と向き合い、贖っていくのである。
サイレントヒルfの雛子は、実は過去の追体験をしており、彼女自身は高校生ではない。彼女の思い出の中で生き、記憶にある同級生の言葉「裏切り者」などが彼女を責めるという設定だ。最初はそれがわからないので、なんで最初から裏切り者と呼ばれているのか、大層困惑したものだ。
主人公は過去のトラウマと戦うことで、悪魔をやっつけようと試みる。これはすなわち、彼女の過去の罪悪感と戦うことだ。
彼女はそもそも、わざわざ実家を壊さずそのまま保管しており、映画の中で「早く土地にして売っちゃいなよ」と言われている始末である。
つまり過去から全く立ち直れていない。
果たして彼女は自分のトラウマと戦って打ち勝つことはできるのか?
結末はぜひ自身の目で確かめてほしい。
海外の悪魔ものは正体がわからずじまい、ということが大変多いのだが、
この作品がいいなと思ったのは、「トラウマが伝染する」のは現実に大いにありうる話だからだ。つまりこれが悪魔や呪いじゃなかったとしても、全然成立するものである。
だからあなたが、もし、誰かが凄惨な自殺をするのを見てしまっても、決して真似をして後を追ったりしないでね、と言いたいのかもしれない。
それから余談なんだけど、実はサイレントヒルfとそっくりのシーンがある!顔をアレするシーンである。
もしかしたら竜騎士07さんはこの映画を観たんだろうか。ちょいちょい似ているような感触はあった。