2013年3月13日水曜日

ジャンゴの感想

※ややネタばってますのでよろしく※

実は興味本位で回答した映画のアンケートで、
たまたま試写会が当たったのが、「ジャンゴ」であった。

会社の帰り、疲れた私の精神にこの映画は、あまりにも刺激的すぎた。

しかし同時に、楽しかったとも言えよう。
まあ、すっきりはするよ。

平たく言えば、すごく純粋なラブストーリーだと思う。

そういってしまうと、平和な人たちが見たがると思うが、
なんにせよ、タランティーノである。

キル・ビル2は私は感動した。
あれもラブストーリーの一種だったと思う。

しかし人死にはハンパない。

今回もハンパない。

正直、「暴力的に純粋なラブストーリー」と言い切れるだろう。
タランティーノは正義と愛をふりかざす。
いつも、それには暴力がともなう。
とにかく、全力で悪をたたきのめしてしまう。犯罪的なまでの暴力で。
だから、この映画は好きとは言い切れないし、二度と観たくない。

女一人奪回するのに関係無い人の死ぬこと死ぬこと。
死にかたも残酷だ。
一番ひどいなと思ったのは生きたまま犬に食わせるやつ。
もうひとつは、生きたまま目をくりぬいて、そのままぶち殺すやつ。
この2つがとにかく残酷で、それだけで色々気力をそがれた。
忘れようと思っても忘れられない。
しかし、暴力映画にはいい側面もある。
これだけひどいものを見せられると、
「ああ、自分は目玉くりぬかれたり、くりぬく仕事じゃなくてよかったなあ」
と安心するのである。
日々ストレスのたまっているひとには逆に効果的だろう。
何しろ、目玉くりぬいた人は、仕事でそれをやったんだからね。上司命令で。

ラブストーリーとして一番感動したのは、もしかしたらクリストフ・ヴァルツが
ブルームヒルダに会って、優しいドイツ語で話しかけるシーンかも。

絵もいわれぬ緊張感と、優しさがこもっていた。

キャラクターの感想はおおむねこんな感じ。
・主人公ジャンゴ:冷静な観察力や行動、皮肉のこもったシャープなセリフ群と屈強な精神力と肉体で、理想的な主人公。だが、悲痛すぎてなかなか感情移入はしにくい。スタイルよくてかっこよかったな。
・ドクターシュルツ:本作一番の食わせ者。基本的に合理主義だが、結局最後に主観と正義感が出て自らを滅ぼしてしまう。本当は良い人なんだよね。個人的にはこっちに感情移入かな。
・ムッシュキャンディ:もっとも敵にまわしたくない男。狡猾で悪趣味。とにかく趣味が悪すぎ。ディカプリオは役選んだほうがいいよな。悪趣味なところは似合ってたけど。冷酷無比で、感情があるとは思えないが、ありえないほどのシスコン。情緒面の成長に問題あり。
・ブルームヒルダ:綺麗な人。主人公とお似合いだった。けど守られてばっかりかな。
・スティーブン:サミュエル・L・ジャクソンの存在感がすごい。ある意味一番印象に残ったすさまじいキャラクター。彼のしゃべりは独特で、空気を読まないキャラが上手。

まあひとことで言えば、キャラもカオスだ。
空気の読めない偏った連中ばっかり。でも実際、人生の大半ってこんな感じじゃないかな。

話の進め方としては、ちょい長いなと思ったけど、途中で大どんでんがえしがあり、最後まで楽しませてくれた。でも長いかなと思う。残酷シーンが多すぎて、長いと疲れる。

ギャグについてだが、残酷すぎて殆ど笑えなかったものの、ものすごい気に入っているシーンが一個だけある。
それは、黒人大嫌いな、KKKのはしりみたいな連中が、例の白いかぶりものをかぶって群れて襲ってくるシーン。

このKKK団体がすごいあほで、「かぶりものをかぶってると前が見えにくい」「サイズが合わない」「貴様!俺の母ちゃんの手作りなのに失礼だぞ!」等々喧嘩して、全然まとまらないシーン。

このカオスっぷりとアホっぷりはタランテイーノらしくて上手だなと思った。
実際、こういうだらしない組織って結構あるよね…。







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