※ややネタばってますのでよろしく※
実は興味本位で回答した映画のアンケートで、
たまたま試写会が当たったのが、「ジャンゴ」であった。
会社の帰り、疲れた私の精神にこの映画は、あまりにも刺激的すぎた。
しかし同時に、楽しかったとも言えよう。
まあ、すっきりはするよ。
平たく言えば、すごく純粋なラブストーリーだと思う。
そういってしまうと、平和な人たちが見たがると思うが、
なんにせよ、タランティーノである。
キル・ビル2は私は感動した。
あれもラブストーリーの一種だったと思う。
しかし人死にはハンパない。
今回もハンパない。
正直、「暴力的に純粋なラブストーリー」と言い切れるだろう。
タランティーノは正義と愛をふりかざす。
いつも、それには暴力がともなう。
とにかく、全力で悪をたたきのめしてしまう。犯罪的なまでの暴力で。
だから、この映画は好きとは言い切れないし、二度と観たくない。
女一人奪回するのに関係無い人の死ぬこと死ぬこと。
死にかたも残酷だ。
一番ひどいなと思ったのは生きたまま犬に食わせるやつ。
もうひとつは、生きたまま目をくりぬいて、そのままぶち殺すやつ。
この2つがとにかく残酷で、それだけで色々気力をそがれた。
忘れようと思っても忘れられない。
しかし、暴力映画にはいい側面もある。
これだけひどいものを見せられると、
「ああ、自分は目玉くりぬかれたり、くりぬく仕事じゃなくてよかったなあ」
と安心するのである。
日々ストレスのたまっているひとには逆に効果的だろう。
何しろ、目玉くりぬいた人は、仕事でそれをやったんだからね。上司命令で。
ラブストーリーとして一番感動したのは、もしかしたらクリストフ・ヴァルツが
ブルームヒルダに会って、優しいドイツ語で話しかけるシーンかも。
絵もいわれぬ緊張感と、優しさがこもっていた。
キャラクターの感想はおおむねこんな感じ。
・主人公ジャンゴ:冷静な観察力や行動、皮肉のこもったシャープなセリフ群と屈強な精神力と肉体で、理想的な主人公。だが、悲痛すぎてなかなか感情移入はしにくい。スタイルよくてかっこよかったな。
・ドクターシュルツ:本作一番の食わせ者。基本的に合理主義だが、結局最後に主観と正義感が出て自らを滅ぼしてしまう。本当は良い人なんだよね。個人的にはこっちに感情移入かな。
・ムッシュキャンディ:もっとも敵にまわしたくない男。狡猾で悪趣味。とにかく趣味が悪すぎ。ディカプリオは役選んだほうがいいよな。悪趣味なところは似合ってたけど。冷酷無比で、感情があるとは思えないが、ありえないほどのシスコン。情緒面の成長に問題あり。
・ブルームヒルダ:綺麗な人。主人公とお似合いだった。けど守られてばっかりかな。
・スティーブン:サミュエル・L・ジャクソンの存在感がすごい。ある意味一番印象に残ったすさまじいキャラクター。彼のしゃべりは独特で、空気を読まないキャラが上手。
まあひとことで言えば、キャラもカオスだ。
空気の読めない偏った連中ばっかり。でも実際、人生の大半ってこんな感じじゃないかな。
話の進め方としては、ちょい長いなと思ったけど、途中で大どんでんがえしがあり、最後まで楽しませてくれた。でも長いかなと思う。残酷シーンが多すぎて、長いと疲れる。
ギャグについてだが、残酷すぎて殆ど笑えなかったものの、ものすごい気に入っているシーンが一個だけある。
それは、黒人大嫌いな、KKKのはしりみたいな連中が、例の白いかぶりものをかぶって群れて襲ってくるシーン。
このKKK団体がすごいあほで、「かぶりものをかぶってると前が見えにくい」「サイズが合わない」「貴様!俺の母ちゃんの手作りなのに失礼だぞ!」等々喧嘩して、全然まとまらないシーン。
このカオスっぷりとアホっぷりはタランテイーノらしくて上手だなと思った。
実際、こういうだらしない組織って結構あるよね…。
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