このドラマは、ゲーム「フォールアウト」の実写化である。
感想の前に、こちらの記事を見てほしい。記憶に新しい人もいるかもしれない。
https://www.gamespark.jp/article/2015/12/22/62669.html
なんと!「Fallout4」にハマりすぎて、仕事と妻を失ったロシア人の男が、ゲーム会社を訴えると言い出したというのである。
そんなに面白いならやってみたいという心境と、
そんなにハマって仕事を失ったらどうしようという心境の間で当時の私は揺れた。
そしてゲームによって仕事を失うのは危険と判断して見送ったのである(笑)。
しかしこのドラマを見て、ついに「買おう」と思ってしまった。つか安いし。
そのくらい、ドラマが面白かった!!日本のアマプラランキングだけ入っていないなんて日本はどうかしている。「日本」という大きなVaultに騙されているのではないか???!!!
Amazon Prime世界のTV番組ランキング(12日)
— ぬかキャン☢️ Fallout76 サバイバルガイド (@Vault76info) April 12, 2024
フォールアウト!
フォールアウト!
フォールアウト!
フォールアウト!
フォールアウト!
日本:ダンジョン飯! pic.twitter.com/ualxwHgnVi
何が面白かったかというと
ストーリーが面白い。徐々に展開する世界の謎。そしてひきを作るのが非常に上手い。
どっかで見た展開だなと思ったらジョナサン・ノーランが関わっている。ウエストワールドとどこか似ているのだ。グールとエド・ハリスがあまりにも似ている。情け容赦のない賞金稼ぎのグールが、ドカドカ人を殺し、グール故に不死身でありながら時々人を食べなければいけなかったり、薬を飲まないといけなかったりする。
舞台は核戦争で荒廃したアメリカ。そこには無数のシェルター「Vault」が地下に設置されており、お金持ちは地下で暮らし、シェルターに入れなかった人間は「レイダー」荒くれ者として地上でサバイバル生活をしていた。
主人公は「Vault33」の人間。ある日襲撃され、父を攫われる。ここまでの展開でもなんともいえない不気味さが最初からあった。その不気味さは、「ミッドサマー」などアリ・アスター監督の作品によくある、
ここは平和で安全。みんなニコニコしている。私は、うまくいっている。
と思っていたのに、その世界がとんでもない嘘を隠していたことがわかる前兆だ。
人間は見たくないものから目を逸らす傾向にあるのがよくわかるイントロダクションだが、それはあまりにも露骨でもはやコメディであった。
そう、この作品、父を探して地上に出てしまう「ルーシー」がありとあらゆる危険に巻き込まれる割には、どこかコミカルな展開も多い。
良質なSF作品であり、安部公房や星新一が描く「シュールな統制された世界」と非常に共通点が多い。
設定は全ては明かされていない。考えてもくれたまえ。ルーシーのいたVaultは33番なのだ。31の真実は最終話で明かされるが、1〜30までは描かれていない。唯一、ルーシーがうっかり迷い込んでしまった「4」がこれまたシュールな世界である。33とも違う。コミカルだなと思ったのが、「12階ヘは絶対行くな」といわれるのでついつい行ってしまうところなのだ。
これは、最近見る作品に多い。例えば「アランウェイク2」ではサム・レイクが捕まっていて笑、「そこにあるナイフを取ろうと思うなよ!そこにあるナイフで私を刺そうとなんて、思うな!」と言うのである・・・
「押すなよ!絶対に押すなよ!」手法はこの後も出てくる。
ルーシーは、「Vault4」にて安全な世界と思っていたVaultに大いに疑惑を感じ始める。脱出方法もどっか変であった。そして最終話で見事にその理由がわかるのだが。
この世界は放射能でいろんなことがおかしくなっていて、なぜか指を切り落としたのに別の指をくっつけることができたり、そもそも「グール」が生まれる過程も簡単すぎてよくわからない。それに「放射能による症状」を緩和する薬も存在する。また、実験によって生まれたという怪物もなんでそうなったのかよくわからなかった。この怪物が見た目がウルトラマンシリーズよりもコミカルで単純なデザインでそれもどっか笑えるものがあった。
フォールアウトという作品の魅力はその全体的なデザインのレトロかわいい方向性(Vault Boyのデザインは前から気になっていた)や、一見ドシリアスな設定でありながらシリアスになりすぎないシュールな笑いを突っ込んでくるところである。
手品で体が真っ二つになったかと思えば、それがくっつくような、あの謎感がいい。
無論「核を馬鹿にすんなし」という意見もあると思うしその辺は実にアメリカンである。だがおそらくこの作品のメインテーマは反戦や反核ではない。これもアメリカらしいのだが
少し厨二病寄りな、都市伝説のようなストーリーを通して、人に「権力者を疑え」といっているのである。
オッペンハイマーを見た時、核の話よりも人間関係や、政治の話が割と絡むなと思っていたのだが、これはアメリカ人が
核そのものよりも、それを使う人間に気をつけろ
と考えているからではないか?と感じた。
日本は被害を受けたと被害者づらしていればこの手の論争から逃げられるのでちょっと未熟な感じがする。問題は常に、
「核を使う人間」側にあるのだ。
私は今からシーズン2がとっても楽しみだ。
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