2019年6月29日土曜日

クローゼットに閉じこめられた僕の奇想天外な旅、よかったです

クローゼットに閉じこめられた僕の奇想天外な旅
思った通りの作品で、安心して楽しめました。

過度な刺激もなく、
大したどんでん返しもないのに、
次から次へと不思議なチャンスに従って、アジャの旅は奇想天外な場所へ彼をいざないます。
それが、「次はどこに着くんだろう!」ってワクワクして、本当に、旅だなって思いました。

こないだ、トルコに行った時もそうでした。

カッパドキアも、イスタンブールも、写真はいくらでもあります。
でも実際に写真に写っていない部分がどうなっているかは、行かないとわかりませんよね。

あのワクワク感が、映画に克明に刻まれていて、よかったです。

前に心理テストで、「あなたは中国でパスポートと財布を無くしましたが、日本に帰れると思いますか?」
という質問があり、迷わず「YES」と答えました。
旅というのは不思議なもので、なんとかなるものです。意外と。
特に、トルコで知ったのですが日本人は大変信頼されています。
アジアでもトップランクであり、日本人というのは態度が全然違うので、すぐにばれたり特別扱いをされることが多いからです。
もちろん金もってると思われて狙われますが、堂々としているとトルコのチンピラも「手ごわい」という顔をしておりました。

主人公のアジャは、人からものや金を盗んでいい加減に生きてきた男ですが、
その性格は意外と普通の良い人です。
ただ、なにもかもを「生まれ」の所為にしてしまっているだけ。
努力することを放棄し、責任から逃げてきました。
責任から逃げるということは、人から信頼されません。
信頼されない人間は結婚できません。
ですから、アジャはひとりでフラフラと生きておりました。

何の因果か、アジャは途中で「もう死ぬんだ」と思うシーンがあり、
その時天から母の声が聞こえ、なんとな~~く心を入れ替えるのです。

でも、重たい感じではなく、最後までアジャは楽しそうに生き続け、
少し悟りを開いて帰ってくる。

さわやかで、肩の力が抜ける大変よい作品でした。

実は難民問題にもクローズアップしてるのですが
それすらも、ギャグで軽くおさめてる感がありました。

生まれを呪うことは、金持ちであっても、あるかもしれません。
でもアジャのお母さんの言う通りなんです。

他人のせいにしないで、
自分の力で切り拓くしかないんです。

場所が気に入らないなら引っ越す。
国が気に入らないのであれば移住する。
仕事が気に入らないのであれば、努力して職を変える。
彼氏が気に入らないのなら、時間を無駄にしてないで、きっぱり別れる。

自分でやるしかないんですよね。
主人公はインド人、制作陣はフランス・アメリカ・ベルギー・シンガポールという国際色豊かなメンツですが
インド映画に度々出てくる
仏教の思想は感じました。

日本ももう少し、仏教を取り入れていくともっと良くなるのではないかと感じました。

なぜ人はものを盗んではいけないのか
尊い心とはどういうものなのか
カルマが昇華されないのはなぜか
善行、喜捨はなぜ、その人がものを失っても善いことをもたらすのか

そういった思想が、裏にしっかり一本筋を通してるなあと思いました。

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