今の会社に入社してすぐに会わされた人間ふたりは、完全なる映画オタクであったが、会社の性質がWEB系の制作会社なので当たり前と言えば当たり前である。
片方は50代のおじさんだったが、彼の映画にかける情熱のような何かは凄まじかった。
情熱とかじゃない。
なんか、彼の、血と肉は映画でできているのではないかという感じのおじさんである。
すごいプライドが高いとかでもないし、テンションがめちゃくちゃ低い。
しかも映画の説明をさせると結構めちゃくちゃなのである。おそらく、食事のように映画を喰っているだけなのだろう………。
そんな映画おじさんに紹介されたのがこの「ファンタスティック・プラネット」であった。
サムネだけでドン引きである。
青い。
「なんですかこれは…」と聞く私に、案の定、言語コントロールが微妙な彼は、説明が出来なかった。でもネタバレしにくいから、いいのかもしれない。
百聞は一見に如かず。
なんと、GYAOで無料配信されていた。プライムでも有料なのに。一体GYAOの中の人はどんな人なんだろう…。
1973年につくられた手描きアニメーション映画で、ストーリーは良質なSFである。
とにかく宇宙人の外見が異様。青い肌に赤い目。耳が半魚人っぽい。なのに、体は人間のそれと同じだ。
彼らは我々と同じような「人間」を捕まえて、飼育してペットにし、かわいがって遊んでいる。
そのうち、ひとりが知恵を持ち、この青い肌の宇宙人から逃げ出すことに成功する。
プロットは普通のSFだと思うんだけど、全体的にシュールな雰囲気があり、アニメなのに残酷なので子供には見せられない感じ。
そして手描きでよかったなと思うのが、背景や出てくる生き物が独特なデザインであるところ。
動くアートを見ているかんじで、創造意欲はかきたてられる。
場面をカットして静止画で見たら、シュールレアリスム絵画にしか見えない。
でもまあ、映画としてはものすごい不気味だし、意外と不気味なのが人間の表現だ。
もしかしたらこれをつくった人は、リアル人間は苦手なのかも。未知の生き物とかは本当にうまいし、よく思いつくなあという感じ。
宮崎駿監督が影響されたという噂なので、クラシック映画に分類されるのかもしれない。
そういうクラシックな映画は、黙って観ておくと、あとで肥やしになるもんだと信じている。
しかしビジュアル…。驚愕のビジュアルですね…。
今時のSFだったらこんなの売れないからなかなか作れないだろうし、だからこそ媚を売らない作り方には脱帽ですね…。
別に売れなくても好きなもん作ろうという精神はひそかに、持ち続けるもんだなあと思います。
手描きだったら、確かに、つくれるっちゃつくれるしね。
それにこの映画がCGだったら恐ろしく興ざめであることも間違いない。
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