弱井トト子というのは、アニメ「おそ松さん」のヒロインである。
確かに顔はかわいいし、声もかわいい。立ち居振る舞いも、表面上は悪くない。
だがこのアニメ上において、まともなキャラクターがいるわけがない。本性はかわいい声でけたたましく笑いながら世の男たちを素手でぶっとばす女だ。がめつくて、わがまま放題だが、それが六つ子に愛されている。(トト子の笑い声は恐ろしく特徴があり、あれだけでオーディション通ったんじゃないかって思う)
しかし、いつからか、私はこのトト子という女性を自分に重ねるようになった。
確か、トト子の過去というのを観てからだ。
トト子は、昔から可愛かった。
美人でおしとやかで、周りからは高嶺の花扱い。
トト子ちゃんは、素手で男を殴ったりしない。トト子ちゃんは、暴言吐いたりしない。
そう周りが信じて慕い、彼女は立ち居振る舞いでそれに応えていた。
だが、やはり彼女は裏でキレだす。それは彼女の本性ではないからである。
思えば私も5歳で男子にひっぱりだこになっており、私のしもべ友人であるその二人の男に、まったく同じチョコレートをバレンタインに渡した。母親たちが大変面白がって報告してくれた。片方は大喜びで食べてくれたが、もうひとりはもったいなくて食べれないとか言っていたらしい。だがその男はできちゃった婚でだいぶ前に結婚していった。
トト子も私も男運が悪い。幼馴染はできちゃった婚するし、小学生の時はどうでもいい男子にセクハラばかりされ、本命の男子には冷めた対応をされた(だが私は硬派でクールな男が好きなので、照れているだけかもしれない)。
私も、優等生として敬遠される傾向にあった。トト子ちゃんと違うところは、なぜか子供の頃から暗くて自己肯定感が低かった。親が凄く厳しかったからだと思う。
そんなお嬢様時代を過ごしたものの、やはり、本性はストレスがたまっていた。トト子と同じだ。
大人になっても、なぜかろくな男が寄ってこない。どういうわけか、 「すごくスペックの低い男が自分に盲目的に夢中になる」というしちめんどうくさい状況に毎回追い込まれる。
そして、トト子は覚醒する。本性を露呈し、傍若無人だ。暴言を吐きまくるし、わたしはかわいい!周りはブス!と言い出す。
婚活パーティーでも暴言を吐きまくり、最終的には石油王と結婚するがくだらない理由で破談になる。あるあるだけど海外に留学といって逃亡するが大していいことも起きずにしれっと戻ってくる。
なんだか自分を観ているようだ。
トト子も私も、なにもかもがうまくいかない。
中途半端なのだ。なにもかもが。トト子は、かわいいけど、アイドルとして売れるレベルではないし、セルフプロデュース能力に劣る。自信過剰なのだ。
私も、周りがレベルの低い会社に入れば、そりゃちやほやされるが、頭の悪い男ほど始末に負えないものはない。うんざりして仕舞には暴言を吐く。
トト子も私もどうしようもない傲慢さで、空回りしている。どうでもいい男に追い回されて自尊心が歪んでしまっているから、なかなか謙虚になりきれない。
「トトデレラ」では、シンデレラのトト子がお姉さんや母親に暴言を吐きまくり、魔法使いが出したドレスにはいちゃもんをつけまくる。5着ほど出させてどれも気に入らないというすさまじい我儘っぷりだ。
ぼろい服のまま舞踏会にでかけたトト子は、なぜか王子様に見初められる。だが、そこで納得して終わればいいのに、終わらないのがトト子である。
トト子は成長していた。
こないだまで、トト子は「石油王と結婚」とか言っていた。今回は違った。王子様でも、彼女は選ばれるのをよしとしなかった。
「選ぶのは私だから」「お前は選ばれる側」
文章にすると自立した女性の良い感じのセリフに聴こえるけどアニメだとものすごい形相でそれを言っている。
トト子はもう、男に頼るのはやめたのかもしれない。
すっかり自尊心を失いつつある王子様に財宝をたんまり出させて、それをもって帰るという。もちろん側近などにめっちゃ怒られるが、彼女は逃亡しきってしまう。
トト子は新たなる局面を迎えつつあった。
彼女は、どっかの峰不二子のように、財宝で贅沢な生活をして男と遊びまくろうというのではない。
「新しい国をつくる」
彼女は確かにそう言い切ったのだ。
トト子、ついにリッチなイケメンとの結婚という夢を捨てた。
彼女は次、会うとき、もしかしたら………
海外に小さな国を構えて大統領の座に座っているかもしれない。
私たち、中途半端な女たちが目指すべきものはなにか?答えは、質問の中にある。
「中途半端をやめること」だ。
そして男に頼ることをやめることだ。
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