ロバート・エガース監督について
この監督の映画は「ウイッチ」だけを観たことがありまして、実はこのブログに感想を書いていない映画のひとつです。 書こうかなと思ってもそこまで思考がまとまらなかったり、衝動が足りなかったりすると書かなかったりします。
この「ウイッチ」をロバート・パティンソン君が観て、非常に気に入ってエガース監督に直に話をしにいったといいます。パティンソン君は、この時期しばらくそういったことを繰り返していて、気に入った映画があると直接監督に話をしにいって、次回作に出させてもらえないかとか、一緒に映画を作りたいと持ち掛けていたようです。意外とアグレッシブですよね。いいと思いますけど。放っておいたら彼にくるオファーはキラキライケメン映画ばっかりになっちゃいそうな気もするので。
ウイッチの感想を少し書くと、この映画は「家族」をテーマにしており、少しヘレディタリーと似たところがあります。家族の構成が父、母、長女、弟、双子、そして乳飲み子なのですが、少しずつ崩壊していきます。そしてなんだかんだ長女の所為にされ、「魔女だ」と言われて追い詰められていきます。
実際に魔女がちらっ!って現れるあたりが、ホラー映画なんですけど。この映画、私は長女なのでめっちゃ女の子(アニャ・テイラー=ジョイ)に同情したんですけど。
でもこれパティンソン君が観たら、弟くんに感情移入するのかな?と感じました。みんなどう鑑賞するんだろう?と。
長女からすると、年頃になって父親がいやらしい視線を向けてくるのも、初潮を迎えたのに母親が喜ばないどころか嫌そうにするところとか、もう経験済みなのでw まあどいつもこいつもって感じの映画ですねー。人間関係から派生するホラー映画。
「ライトハウス」とは
そしてある日この映画がプライムビデオにあるのを見つけて、速攻観に行きました。少しマイナーな映画でなかなか配信される気配がなかったので嬉しかったです。
この映画も人間関係から派生するホラー映画ですね。ウイッチと似ているところもあり、クローズドな環境、今回はなんと島と灯台しかないので、嵐が来ると陸に戻るのも阻まれ、灯台守ふたりで過ごさねばなりません。
主人公はパティンソン君演じる「ウインズロー」という新人の青年。
そして相手はなんとウイレム・デフォー演じるベテランの「トーマス」さんです。
この時点で観る前から嫌な予感がぷんぷんしますがw
案の定そりの合わないふたりで、ウインズローは真面目にやっているのですが、トーマスに癖がありすぎて常識人ではちょっと我慢するのが大変な感じの相手です。女性でいうところの「お局」感がすごい。弊社にもいますけどね!!!(私がいた3年間でディレクターがひとり辞め、次に雇った助手も辞め、同時に入ってきた事務の子も辞め、今助手2代めですがどうなることやら…)
パワハラと言っていいのかわからないんですが、なにかと理由をつけて仕事をハードモードにしたり、すっごく厳しく批判してくるタイプの人。そして本人は仕事が雑でミスが多い。
さてこの映画ですが、ひたすらパワハラのようなことをされ続け、ウインズローが少しずつ気が狂っていくのですが、ちょっと長いような気もします。なんといっても2人だけなので…。だけど、テンポが悪いかっていうとそうでもなく。
しかも殺意が見え隠れするのに、ギリギリまでどちらも死なないのは、まるでドントブリーズのようでしたwウインズローは本当は殺す気がないのはわかっているし、トーマスはそもそも何を考えているのかさっぱり、さっぱりわかりませんでした…。
人間関係の描写は結構面白かったですが、とにかくトーマスの性格がわかりにくかったです。哲学的で嘘くさいのにちょっと本質ついてたりするし。
まあ、ウイレム・デフォーはいつも凄いですけど、今回特に思ったのは、彼、いろんな映画で「完璧な善人」と「超ヴィラン」の両方をやっているのですが、それが、割と今回交互に出てきたりして、まじでどっちなのかよくわからないんですよ。多分ウインズローはそれにイラついているんだと思います。
トーマスで好きなシーン
「でも俺の料理したロブスター美味しかったでしょ?あれ好きだったでしょ??(´・ω・`)」って言ってるシーンです。突然いい子になって、突然かわいくなるんですよ…なんだこいつ。ずるすぎじゃない?ウインズローは最初「年寄りの母ちゃんみたいなこと言うな」って怒ってたのに「わかったよ美味しかったよ……」ってなるし、やっぱり相当振り回されてたと思います。
ウインズローで好きなシーン
やっぱりあれですね。トーマスが突然本質をついてくるシーン。↓ちょっと意訳(うろ覚えのため)
「お前は綺麗な顔で産まれて、何不自由なく育ったのにそれでも銀の匙を欲しがるんだな。無口でミステリアスを気取ってるがお前にはなんにもミステリーなんか無いんだよ!」
すごいセリフだなと思いました。これは痛いですね。私このシーンで初めて本当に泣くパティンソン君を観て、やっぱささるのかなあと思いました。 (泣いてるのはかわいかったですけど…w)
このウインズローって男は、確かに雑な生き方をしているしお金目当てでこの仕事を選んでいるけれど、彼の言っている「人にあまり関わらないで静かに暮らしていきたい」というのは間違っていないと思います。
おそらく灯台守なんか選んだのが失敗だったのでしょう。
最終的に彼は灯台の明かりに執着するようになりますが、最初からそれが目当てとは思えないです。
割とブルース・ウエインにつながっていくようなシーンは多かった
雨に濡れてうつむいているシーンとか、やたら汚れたり時々すっごい暴れたりするシーンなどを見ていると、ザ・バットマンにつながるようなパティンソン君の破片は観れたのかなと思っています。
ウインズローはああ見えて結構忍耐強いので、ギリギリのところで暴力やめたりするタイプなので。
しかもトーマスにも「陰気」と言われているので、やはり陰キャだと思いますw多分根はそんなに悪い子じゃないけど、なんかネガティブで常に疑り深いんですよね…。
基本的にはトーマスがよくなかったと思うものの、どちらかというと灯台そのものに魔力があるのかなって感じがどうしてもしました。この辺は、一部ウインズローの幻覚でもあるような気もしますし、エガース監督はファンタジーを織り交ぜてくる人だと思います。
テーマとしてはどの辺の話なのかっていうとやっぱり仕事?と生き方?
これは転職魔の私だからはっきりと言えることですが、社内にふたりしかいないような職場は極力やめたほうがいいです。この映画は極端ですが、同性だろうが異性だろうが何かしらトラブルが起きるのは間違いないと思います。 30人でも社長が私に執着した結果(セクハラではなかったのですが)、3か月で辞めざるをえなかったことがあります。ある意味トーマスよりひどいキャラの社長で……。
ウインズローは私とも似たような性格なんだろうなと思うんですけど、人となかなかうまくやれないので、ああいう支配的なキャラと密着して仕事するとイライラしちゃってそれが上司に伝わってろくなことにならんのですよ。
ウインズローは現代的なキャラクターなので、現代っ子の働き方を揶揄しているともとれる内容でもあり、単にこういうパワハラな上司をホラー映画化したとも言えるかもしれない。(私はパワハラされてた時のあの恐怖をまざまざと思い出せますので…)
色々、心理テストとかもやってみたのですが、私は物理的な距離を置いたほうがうまくいくので、次はリモートワークがいいなと思いますw
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