長い………(疲弊)ログみたいなものなので、今回もちょいちょいネタバレしてますが、とにかく長いので、逆に言うと細かいところはむしろネタバレすら出来ない(文章量的に)。
あらすじはざっくり言うと
梟の法廷の存在を突き止めたぼっちゃんだったが、梟の法廷は「ゴッサムシティは病みすぎなので潰す」という。(ぼっちゃんは深入りしたら身内を殺すと脅されて一旦引き下がる)
潰す方法としては、とある女性が持つ血液内に存在するウイルスを使用する。このウイルスは、血に直接触れたり、注射されることで感染すると、その人間が持つ最も黒い感情が暴走するというもの。
それぞれの人間が持つ最も黒い感情というのは人によって異なる。
例えば、私が感染したら、おそらくセクハラを含む軽度~重度の性犯罪者を片っ端から殺してまわると思う。普段抱いている最もネガティブな感情が爆発的に膨れ上がり、暴力によって外に現れるというもので、多くの場合、殺さないと気が済まなくなってしまう。また、ストレンジくらいのレベルの博士でないと、抗ウイルス剤を精製することができないが、シーズン3の終わりでは精製が完了し、一時期ゴッサムを大混乱に陥れたウイルスはいったん収束している。このウイルスは呼気で感染するものではないので、その点では安心なのかも。ただ、風邪のように勝手に治癒することもないのが難点。また、この暴力ってのがバーフバリ並みの力で、軽々と成人男性を投げられるような力が出る。
ちょっといまいちだなと思ったのが、
・このウイルスそもそもどっから来たんだっけ?説明あったっけか……
・途中でぼっちゃんが影の同盟にさらわれるんだけど、なんで今まで微塵も出てこなかったのかがいまいちわからんw(多分、ぼっちゃんのクローンが完成しないとばれちゃうからだと思うんだけど、伏線がなさすぎて唐突すぎてビビった)
・梟の法廷弱すぎじゃない??!!!!
まあ、かなり唐突な展開が多くて、シーズン3はちょっと困惑するシーンがいくつかあったし、シーズン2のほうが良い具合にぽんぽん話が進んでエキサイティングだった。シーズン3は結構トーンダウンして、心象風景が圧倒的に多くなり、キャラクターの感情にフォーカスしているシーンが多くなる。それ自体は面白いんだけど、いきなりシリアス路線、というか。
今回は愛憎劇だったと思うのでそれぞれの人間関係にフォーカスしてみたいと思う。
リドラーとペンギン
この二人の関係性を描くシーンが多かった。
リドラーとペンギンは利害が一致するとうまい具合に働き、ペンギンはなんと市長に!ww
だがしかし、前述したように彼はとても子供っぽいキャラで、見た目を変えたり、民衆の耳心地のいい言葉を叫び、表側だけを取り繕うのがうまい。彼は前から、取り繕って生き残ってきた人間だから。
また、母親に依存し、次は父親に依存し、最終的にはリドラーに依存するようになる。リドラーは非常に頭がよく、ペンギンを調子に乗らせたうえで自分も乗っかって出世するという計画をやすやすとやってのけるんだけど、それの弊害が、ペンギンの過度な依存であった。
ペンギンみたいな男は、適度にはねつけないと相手が誰であっても依存してしまう。甘やかしてはいけない男なのだ…。
結局、いろいろあってどうしてもお互いが許せなくなるふたりは、殺し合いを始めるんだけどやっぱり簡単にどっちも死なないので、ずっと泥試合してる感じ。だけど、時々協力すると抜群のチームワークを発揮するので奇妙な面白さがある。
私は、リドラーはもうちょっとなんか、上手くペンギンを操れたのではないか?と思った。もし本当に、サイコパスならね。ペンギンは相変わらずぱっと見のかわいらしさなどは健在なんだけど、過剰に甘いスイーツみたいな毒々しさを感じる。ただ、キャラ的には非常に面白い。
リドラーは自分のアイデンティティを見失い、「ザ・リドラー」と名乗ることで自我を確保するんだけど、それがとってつけたような感じで、この人はこの人で、生きづらいんだろうなと思った。でもあの時、うっかり人を殺してしまった時から、もうアイデンティティは無くなっているんだろうね。映画版のリドラーのほうが動機がしっかりしているので、ドラマ版は本当に感情を失った悲しい抜け殻のような印象を受ける。
ゴードンとリー
そもそもシーズン2でリーを放置し、傷心のリーとよりを戻すのはものすごい難しいと思ったし、シーズン3ではもっと恐ろしいことが起きてしまう。どうにもこうにも許しあえる立場にないが、なぜか恋慕の感情だけは残っているふたりが、ウイルスを口実にして駆け落ちしようとするシーンは、なんとも終末感がすごいと同時に、非常にドラマチックでそこだけ切り取っても映画みたいな高揚感があったけど、このウイルスに感染しているとまともな生活は送れないのではないか…。まあ結局抗ウイルス薬投与して別れちゃうんだよね、そうしないと主人公が交替になっちゃうわw
私がいいなと思ったのは、リーがゴードンひっぱたいて「なんであの時言ってくれなかったの!!もう遅いわよ!!」って怒るシーン。そうだ怒ってやれ。今更遅いんだよ、男っていつもそう。せめてドラマの中だけでも叫ばせて欲しいわね。リーの女優さんの芝居が好き。
ゴードンとハービー
ハービーのアニキは今回もめちゃくちゃかわいい。癒される。もう超お気に入り。一番かわいかったのは自己主張が強いリドラーさんに階段の上で吊るされてるシーン。脚をばたばたさせて、あまり怖がってない感じすらするw
ハービーは最初こそ超強硬手段に出る刑事だったのに、すっかり落ち着いてしまった。短気でどんどん先に進むゴードンを追っかけて面倒見るのが彼の仕事だ。ウイルス感染したゴードンを止める列車のシーンは感動ものである。
結局このドラマで最もまともなキャラのひとりに落ち着いた。このドラマで絶対的な安心感があるのは、ハービー、アルフレッド、ルーシャスフォックスの3人くらいなものである。
ぼっちゃんのクローンの話が出た時、それまでみんな普通に「クローン」って言ってたのに、ハービーだけ「何?!!クローンって言ったの?!!ちょ、待てよ…休ませて…」って言ったから、この人だけまともだなwと思ったwwそれまで私も「おいおいクローンなんて普通に受け入れるなよ!人権侵害だしどこで遺伝子手に入れたんだ気持ち悪いくらい思えよ!」と思っていた。
ハービーがあまりにもRDR2のアーサーっぽさがあるのでちょっと調べてしまったんだけど、違う役者だけどふたりともアイルランドの血が入ってるから、アイルランド人のおっさんはかわいいという結論に落ち着いた。(リーアム・ニーソンは北アイルランド人である)
だけどアイルランド人って「酒と喧嘩」ってイメージは、強いよねw
ゴードンと警察署長
警察署長がまっさきにウイルスに感染し、最終的に「誰ですか」みたいなゴッサム黒塗りメイク+アーマーナイト装備で現れて警察署内で暴れまわったため(この辺はちょっともうギャグだった)、署長はハービーに交替した。
しかし、署長は実はセリフの端々から強い正義感と、警察に対する愛を感じたので、なんともいえない切ないヴィランとなってしまった。ゴードンも愛情との板挟みになり、大変なドラマになった。
ブルースとセリーナ
クローンのぼっちゃんが現れるが、所詮ぼっちゃん劣化版コピーなので、ネガティブな感情のほうが強い。クローンぼっちゃんが執着したのはセリーナであった。彼はおそらくセリーナに、遺伝子レベルで一目ぼれかなんかしたんだろう。
そう、ぼっちゃん本人もなぜかセリーナには異様に執着をしめしていた。お年頃だし、告白のようなものをして、正式に付き合っていると本人は思い込んでいたが、セリーナにはきっぱり否定される(笑)
このふたりの生きてきた境遇の違い、とりまく大混乱や悪い大人たちの介入で、ぼっちゃんは限界が来ていて、普通にお付き合いするつもりだったのが、やはり突き放すことに…。セリーナは腐れ縁程度に考えているがそれも良い。多分最後までこんな感じなんだろう。
この辺の極端にすれ違う感じは映画版と同じだ。でも私はあまり、切ないとも悲しいとも思わなかった。これこそがバットマンとキャットウーマンの関係なんだと思う。
ブルースは大局を見る人で、セリーナは自分の周りのことで精いっぱい。セリーナは「一般人」でブルースは「ゴッサムの守護者」「リーダークラスの人間」なんだと思う。
ぼっちゃんがお金持ちなのは別に悪いことではないし、ハウスオブグッチみたいに家を捨てて女のもとに走るのが良いとは決して思わない。ブルースの性格的に、見てみぬふりをして逃げるのは性に合わないだろう。
クローンは、ブルース本人のことを妬ましく思い、手始めにセリーナを奪い取ろうとしていた。そこで最終的に言ってた「君はたくさんのものを持っているから、本当に欲しいものがわかっていない」は突き刺さるものがあった。
だけど、ブルースの運命はそれらを投げ出すものではなく、「持っているからこそそれを有効に使う」ことなんだと思う。そしてそれだけの器の人間であるということだ。
そういう人が、セリーナとの恋愛に現を抜かすのはやっぱり違うよね…。
クローンは最初から敗北が決まっている道具としての人造人間なので、切ないものがあった。クローン人間でもアルフレッドはある程度世話を焼いていたので、一瞬だけど、ブルースが複雑な目でそれを見ていたのが印象的だった。あのシーンを入れるということは、ブルースがアルフレッドに多少なりとも独占欲を持っているということなんだと思う。
クローンが、黒いフードを被って街をうろついているさまは、ちょっと映画版のぼっちゃんを思い出しました。
ブルースとジョーカー
このドラマでのジョーカーは、普通の感じで出てこない。明らかに見た目と笑い方はジョーカーなのだが、ジョーカーと名乗るわけでもない。ジェロームという、いわばただの「有名人」である。
だが、こいつが民衆を扇動して遊園地で殺戮を始めた時、ぼっちゃんが明らかに通常とは違う怒り方をした。その前提として、アルフレッドが殺されたと思い込んでいたというのもあるんだが。
怒ったぼっちゃんはジェロームを追い詰めて殴り、そしてやはり、ギリギリのところで殺すのを思いとどまる。 アルフレッドはもちろん生きていたんだけど、この事件の結果、ぼっちゃんは自分の能力をどう使うか、アルフレッドに尋ねられ、「絶対に殺さない」という不殺の誓いをたてる。この事件で、ブルースは悪人を殴り倒す自警団として生きるきっかけを得たと思う。
ブルースがちゃんと人を殴ったり抵抗して戦えるようになったのはシーズン3からなので、時期的にちょうどよかったのかもしれないが、ジョーカーと他の犯罪者の違いはちょっとこれだけだと私はわからなかったかな。笑ってるのが腹立つってんならわかるが。
ブルースとアルフレッド
クローンぼっちゃんがすり替わった時、本体は何をしてたかっていうと影の同盟にさらわれていた。この辺は説明がなさすぎて、ノーラン監督の映画観てなかったらなんのこっちゃ!って感じだ。
しかもその後も、「君はダークヒーロー(ダークロードだったかも)になるんだお」ということを言われて武術訓練を受けさせられるのだが、ダークヒーローってなんやねん!説明がなさすぎる。なんでいちいちダークじゃなきゃいけないんだよw
だが、この先がもっとまずくて、洗脳として親を殺された時の心の痛みを忘れるように誘導されてしまう。影の同盟って結局なにがしたいんだろう。今回は、梟の法廷をつぶして自分らがのし上がるということまでしかわからなかったが、ゴッサムを平和に支配できるんだろうか?
痛みを忘れることで、ブルースはアルフレッドへの愛も忘れてしまう。ここからは悲劇しか予想されなかったが、アルフレッドが目の前で大けがをすることで、ブルースぼっちゃんは「失ったかも」と強い感情に揺さぶられて洗脳がとける。ここで、影の同盟がいったん彼をリリースするくだりもちょっとよくわからなかったけど、急いでいるわけじゃないってことなのかね。
だがこの一連の出来事で重要なのは、アルフレッドの強い愛である。それはもう、見ているほうが泣きそうなくらい、アルフレッドは次から次へとぼっちゃんが幼かった頃の思い出を語る。いかに彼が愛されていたかということ、 そして、愛は痛みを伴うものなのだということ。言葉では洗脳がとけることはなかったけど、アルフレッドの「あなたのためならなんでもしましょう。あなたが殺したいなら殺せばいい」という覚悟が凄いなと思った。バーフバリのカッタッパを思い出す。
しかしですね、このドラマのアルフレッドは、前述通り、かなりの強面。男くさいわけではないんだけど、硬い英国人、英国軍っぽさがある。喋り方も、アメリカに合わせるつもりもなく、役者もイギリス人。
ほとんど感情が見えない、クールなキャラに、このような愛にあふれた強い決意のセリフは、少し場違いな感じがしつつも、かえってリアリティがあるかも、と思った。カッタッパやアンディサーキスのアルフレッドはそこそこ感情的で泣いたりもするけれど、ドラマ版のアルフレッドは目を潤ませることはあっても絶対に泣かない、みたいな強い意志を感じる。実は第一話で「泣いている姿を人に見せてはいけません」と言っていて、厳しいなあと思ったけど、彼はそれがウエイン家のプライドだと思っている誇り高い執事なんだと思う。
ラストあたりで、ブルースぼっちゃんは、自分がわからない。僕は何者であればいいのか。と重症から目覚めたアルフレッドに語り掛ける。いやいま目が覚めたばっかりなのに、ぼっちゃん、映画版でも開口一番で嘘つき呼ばわりしましたよね、も~~!困ったぼっちゃんやで。
ウエイン家の執事たるもの、その程度で動揺してはならないのだ。大変だな。
「守りたいものを見つけてください。それであなたの軸が決まるでしょう。私にとっては、あなたですよ」
やはりこのアルフレッドはなんだかんだクールで、こんな重要なこともさらっと言ってのけるのですが、だからこそ、アルフレッドすげーってなるし、ぼっちゃんももともとどっちかっていうとクールなキャラなので、ウマが合うのかもしれません。アルフレッドは父という存在を超えた、師匠という存在なのかもしれない。従者でありながら、指導者でもある。
次シーズンからは、自警団として活動するぼっちゃんが見られるようですが……
彼まだ15歳か16歳くらいなんだよね………
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