面白くないわけではないのですが、あまり強烈な面白さは感じませんでした。
理由はおそらく以下。
・訪問者の要求が理不尽・無茶苦茶すぎる。
中盤でエリックが「本当かも」と思い始めるが、正直その根拠が薄い。それに訪問者たちがやっている謎の儀式の理由がよくわからないので、ただただ残酷な連中という印象しかない。
彼らを味方と認識させるためのエピソードも甘いし、もうちょっと強めの根拠が欲しかった。
・ストーリーに枝葉や他の可能性が少なくて広がりがあまりない
確かに逃げ出そうとしたり、味方側が強力な武器を手に入れる「転」はあるものの、エピソードの積み上げとしては弱いかなと感じた。「話が進んでる感」が少なめかな…。ちょっとだるい。
過去のエピソードとつなげるところも、薄いですよね。ちょっと面白くなったかなと思ったらそうでもないみたいな。
・感情移入がしにくい
主人公のゲイカップルの表現もそんなに感情移入できないレベル、訪問者が語る自分の置かれたシチュエーションもいまいち伝わってこない。子供はうるさいだけだし、いったいどこに感情移入したらいいんだ。
これなら「オールド」のほうがいいですね。
・オチが弱い、意外性がない
結局それなの?っていうオチ。もやって後味が悪く、この気持ちを抱えたまま、エリックが見たという素敵な未来を生きられるものだろうかと。
その辺もメッセージが不透明でした。
・宗教を、「神」をテーマにしているとして、それはこの表現・結末でいいのか?
昔キリスト教の聖書で羊を生贄にするシーンが気に入らないと言っている女性がいたのだが、それに近いものを感じた。
私の中では、キリスト教をはじめとした古くからの宗教は、人間を堕落から救い、良心を植え付け、治安のよいコミュニティを維持するための道徳の教科書みたいなものである。イスラム教は同信者の女性は圧倒的保護のもとに置かれている。そうでなければ、元来血の気が多い中東地域のイスラム教徒はレイプし放題になってしまう。
宗教を否定するなと言っているわけではないのだが、なぜ世界を救うのに犠牲が必要なのかが理解できなかった。
また、犠牲が必要な場合、多くのホラー映画は悪魔のいけにえの儀式に、祭壇に供物をささげよ…ってなるじゃないですか。
それを逆手にとって「善良な宗教でも犠牲が必要」としたのかもしれませんが、それもどうなの??と思いました。
そして、キリスト教を否定するのかと思いきや、美しい愛をもって犠牲をささげる覚悟をするシーン。いや、美しくなくない? 犠牲そんなに大事なの??
まあ日本人はどっちでもええか。ってなるのかなあ。
シャラマン監督は映画をつくる力はあるなあと思うんですが、他のホラー映画やサスペンスと比べるといまいち不可解というか、最初の1/3以降の面白さ(問題提起以降)がほぼない、というか、見届けるだけで、小さな進展はあっても面白い展開はなかったなと思いました。
NOPEやRRRや、エブエブみたいなすさまじく個性的でおかしなことをやろう!という情熱は、感じませんでした。かというと、すっごい怖いというほどでもない気がする。怖さだとNOPEの、でっかいものが襲ってきて勝てそうにない感じとかのほうがやっぱりうまかったと思います。あとGジャンって吠える?んだよね。サウンドがよかった。
あとジョーダン・ピール監督って有無をいわさない力量と熱量で強引に突っ走るあの感じが好きですね。アトラクションみたいな感じで。
0 件のコメント:
コメントを投稿