水曜有休が取れたのでこの映画、結構やってなくて、日比谷まで超久しぶりに行ってみた。
ジェームズ・グレイ監督本人の少年期の自伝みたいな内容で、フェイブルマンズとジャンル的には似ているのだが、、
前にも書いた通り、フェイブルマンズ一家は私に言わせれば結構お金持ちな家庭。
主人公の少年は、映画が撮りたいと思ったら割とすんなりカメラが手に入るような経済力。ちょっとその辺が信じられなくて、感情移入しづらかった。
でも、今回のアルマゲドン・タイムは違う。
「絵を描くのが好き」な主人公のポール。
陰キャではないかもしれないが、なぜか反抗的な態度に出がちで、先生からは怒られてばかり。
彼の理解者は寛大なおじいちゃん。アンソニー・ホプキンスが演じているんだが、やはり存在感がすごい。
こんなじいちゃんいたら、ハグどころじゃない。毎日、悩み相談しにいってしまいそうだ。ポールが唯一子供らしく無邪気な声を出すのはおじいちゃんの前だけである。
ことあるごとに問題を起こし、父には殴られ、母には「もう庇ってあげないわよ」と言われ、自らの枠をはみ出そうとして、教師の指示に従えないポールは、徐々に追い詰められていく。
そして唯一できた友人ともなぜか犯罪をしてしまう。
ポールはおじいちゃんのいうことしか聞けないので、アンソニー・ホプキンスが丁寧に説明をする。ポールはユダヤ系で(この辺はフェイブルマンズと同じだ)、苗字が違っていたら名前だけで差別されると。だからとりあえず大学までは出ろと。
ポールは上流階級の学校(なんと、トランプの祖先がいるwのですごくわかりやすい)に転校させられても、疑問を抱き続ける。最後らへんなんてもうパーティーなのに途中で出て行ってしまう。そしてポールはようやく、じいちゃんの言ってたことの意味をかみしめるのだった…。
時代は差別だらけだし、学校にはトランプの祖先がいるしで、中流階級ならではの切羽詰まったシチュエーションはとてもリアルだった。テンポもいいし、次から次へと問題を起こしてしまうポールがどうなるのかとても気になる。ポールは、結局じいちゃん含め周りにものすごい助けられている。それに気づくのには時間がかかる。彼はとにかく、早く「芸術の道」へ行きたいのだ。
フェイブルマンズと比べると圧倒的にポールの方が私に近かった。
中流階級ってのは大学に行けるくらいの学費はあるんだが、甘えて失敗ばかりしているとどうしても落ちぶれていく。私もそれはまざまざと感じている。じいちゃんの世代のユダヤ人が一生懸命貯めた財産なのである。
最後、家族のだんらんにも参加せず絵を描こうとするポールには自分が強く重なった。私のおじいちゃんもとてもいいひとだけど、やはりこのホプキンスじいちゃんには負ける。私が女性だから、
「戦い続けろ」
「嫌なことを言われたら言い返せ!」
などとは言ってくれないのだ。
なのに私は、男性と同じ道を必死で歩く宿命にある。
今年の正月早々、アンソニー・ホプキンスのインスタグラムアカウントに、強いメッセージがアップされていた。それは少々長めのメッセージだが、要約すると、
「絶対に誰かに貶められるな」
という内容である。
私も幼少期の頃周りに絵を描く自由を阻害され、非常に怒って泣いていたことが何回もあり、そのたびに先生に叱られた。「なぜ泣くのか」と。
もうあの時から、私の戦いも始まっていたのだ。
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