あまり期待しないで笑ってやろうかくらいの気持ちで観に行きましたが、ちゃんと前作の三部作を観ている人間だと結構楽しめると思います。
懐かしい表現も多いのに、全然令和の今でも通用するスタイリッシュなビジュアルや表現にはやはり頭が下がりますね。もしウォシャウスキー監督が何十年後も通用するクリエイティブを考えて作ったのだとしたら、やはり天才だと思います。と言うか、いまだにマトリックスのパロディなどは若い人も何度も観ていると思いますし、バレットタイムなんかはあまりにも有名すぎて、元ネタ知らない人もいるんじゃないかと思っちゃいますね。
ただ、マトリックスを初めて見る!という人にとっては、意味不明な上に、主人公は50代のヒゲのおっさんだし、ヒロインも50代の家庭がありそうなおばさんで、テンション下がるかもしれないですねwそりゃー、ただの中年じゃないですけどね。やはりキアヌ・リーヴスは超絶イケメンだと思ったし、 キャリー=アン・モスもすっごい美人だと思います。
マトリックスの根幹となる大事なテーマ
マトリックスという作品は根幹のテーマが揺らいでしまったらアウトです。
多くのエンタメ作品に共通するテーマ。「今のまま、同じ現実を繰り返していいのか?」メタ発言のようなセリフのオンパレードで、どっちが現実だか、映画内の本人たちもわからない。
だが、大事なのはぬるま湯につかっている自分に気づくことなのだ。「今のままでいい」「真実など知らなくていい」と青いピルをとる人は、この作品を鑑賞するにはまったく向いていない。
現実は恐ろしいものだ。「現実逃避している」と自覚している人はまだいい。「今のままでいい」「変わらなくていい」と思っている人が、一番危険だよというメッセージである。
アラン・ウエイクとの共通点
この作品を鑑賞しているとどうしてもアランウェイクを思い出してしまう。主人公がどことなく似ているからだ。ひげ面のイケメンだが、どこか心に欠陥を抱えている。
アランも、ヒロインであるアリスを救うためだけに奔走するが、彼のクリエイティブ能力により、現実が歪められ襲ってくる。ネオの敵はもっとシンプルで、機械なんだけども、ネオの場合は「クリエイティブ能力」を戦うために発揮しなければならない。それは、「自分は敵を退けることができる」と信じる力である。
アランは自分が蒔いた種を自分の力で収束しなければならないが、自分の意識や信じる力で現実を動かすという点では非常にネオと似ている。
なお、アランウェイクを創り出したサム・レイクは「バレットタイム」を別のゲームに利用しており、マトリックスには影響を受けているようだ。
ネオやアランの物語が完成するポイント
ネオもアランも心に欠陥を抱えているが、それはヒロインを得ることで満たされるらしい。特にレザレクションはひたすらトリニティを奪還する物語である。
私は男性ではないので、実はパートナーの重要性がいまだに理解できていない。女性というのはひとりで生きていける生き物だからだ。だが、介護施設で働いていたことのある上司は強く言い放った。「独身男性の終焉はそれはみじめなものである」と。 だからといって、今の奥さんにしつこく迫って5回くらいプロポーズしたというのはあまり聞いていて良い気分にはならない(笑)。
ネオはとにかくトリニティにこだわる。彼はなんと仮想現実の世界でも独身で、大成功をおさめたゲームクリエイターなのに、どこか孤独をもてあましていた。彼に必要だったのは、トリニティだったのだ。
キアヌ・リーブスという役者はまたこのような役にはうってつけであった。キアヌって、写真の静止画で見てるとちょっと顔が綺麗なおっさんなんだけど、やはり大スクリーンで演技をすると、キラキラと輝く瞳は18歳の少年のようである。トリニティは仮想現実ではなんと既婚者だ。そんな彼女にずっと永遠に片思いをする若者のようであった。
現実で既婚者に片思いはしてほしくないけどなw
トリニティの女優さんも昔から大好きで、綺麗でなにより品格高い美人だと思う。今でも、その瞳は吸い込まれるように美しかった。
欠点その1:映画全体としての構成
構成としてはあまりよくない。「ここで終わるんか!」と思うような終わり方だった。できれば続編をつくって欲しいのだが、監督本人がそれを否定している。
https://eiga.com/news/20211228/11/
でもなあ、あの終わり方はちょっと………。
導入から途中までは実にマトリックスらしい構成で、メタ発言のオンパレードに笑ってしまう。だけどやっとそれっぽくなってきたところで、終わってしまうのだ。
クライマックスの大バトルはネオが神みたいになっていて、それなりに面白くはあるのだが、実はキアヌが言うほど「アクションマシマシ」ではない。どっちかっていうとフォースだった。
欠点その2:焼き直しとして使う役者のキャスティングが微妙
主人公とヒロインに旧作の役者をもってこれたのはよかった。でないと前作の神がかったクリエイティビティを引き継げなかったかもしれない。
しかし個人的にはモーフィアスとスミスも前作の役者でよかったんじゃないか?と思う。
というのは、ローレンス・フィッシュバーンとヒューゴ・ウィービングという役者は、個性が強烈だったからだ。
このふたりは今でも活躍しており、出てくると「モーフィアス」って思っちゃうし、ヒューゴ・ウィービングはLOTRでも素晴らしかったけど、癖があるがゆえに愛せるキャラだ。なのにふたりとも、個性がいまいちな役者に替えられてしまった。おかげで前半はなにがなんだかいまいちわからないシーンもあった。
欠点その3:とはいえやっぱり役者が年をとりすぎているw
スターウォーズもインディ・ジョーンズもそうだが、年をとった役者に前作からのシリーズものをやらせるのはやはりきつい。
スターウォーズはまだ、主役にデイジー・リドリーという美女をもってこれたのは素晴らしかったが、最後の最後で老人を復活させたのは笑ってしまった。
インディ・ジョーンズは息子を登場させて引き継ごうとしたが微妙に失敗している。大体似てないし。。
年をとった人にやらせるべきは、
クリント・イーストウッドみたいに老人を生かした映画 もしくは
若いものに引き継いでいく物語
ではないだろうか?
これだと私みたいに、前作を十分映画館で楽しんだ中年以上の人間しか見に行かないかもしれないなあ。
もちろん、SF映画として大成功していたマトリックスシリーズの正統な続編だけあって、ビジュアルやファッション、SF表現などのクオリティはピカイチだと思うが、本気でやるなら若い者に引き継ぐ話にするべきだったんでしょうね。
監督の真意はわかりかねますが、「なんとなく続編作った」感がちょっと残念です。
おまけ:IMAXとドルビーシネマの比較
これは、もしかしたら単に映画館そのものの(その会社の)経営方針かなんかの違いかもしれないし、地域性の問題かもしれませんが、
Dolby Cinema最高じゃないですか!!!
T-JOYが前回よかったので今回もT-JOYにしてみたのですが、せっかくなのでDolbyで体験しようと考えました。
アクセスはユナイテッドシネマの方が若干近いです。T-JOYは、すっごい上に登らないといけないんで、エレベーターでよく焦ったりします。
ユナイテッドシネマにはIMAXがあります。しかし、実をいうと微妙に不満がありました。コントラストが少し弱いのです。私はデザイナー歴15年を越えていますので、コントラストには非常に敏感になっており、ピントの合ってない写真とかもってこられると必ず文句を言うくらいです。(ぶっちゃけピントが合ってない写真しかない場合はひとこと詫びをいれてからもってこいよって思ってます)コントラストが微妙に弱い写真は大体少し上げて、アンシャープマスクをかけてから使いますね。
IMAXに不満を持ったきっかけは、DUNEというよく暗いシーンがある映画で、字幕だけがコントラストが高くて悪目立ちしており、結構イライラした点が多かったことです。うるさいでしょ?私。
つまりですね、黒をどのくらい黒にするか、なんですよ。
プロのWEBデザイナーさんなら知ってると思いますが、純粋な黒(カラーコード#000)は、デザインでは使用するべきではありません。もちろん使っているサイトも多いですが、出来る限り使用しないほうがいい。もしダークモードよろしく使わなければならない場合は、テキストを純粋な白にするべきではない。コントラストが強すぎて残像が残るからです。目にもよくないと思います。
Dolby Cinemaは冒頭で「黒」の説明から始まるのが私的にはささりました。わかってる連中だなという感じです。また、非常灯を消して本当に真っ暗にしてくれたのもよかったですね!よく考えられていますね。
コントラストが綺麗だなと思ったのは、人間の肌の毛穴が良い感じに見えたときと、水しぶきの表現力ですね。そして、字幕も悪目立ちせず、ほどよく画面におさまってました。
階調の幅が綺麗に出ているといったところですかね。
音声もよく調整されていて、うるさすぎなかったです。上品ですね。
2021年は、誕生日の翌日に「自分へのプレゼント」として、ミラーレス一眼カメラを買ってやったのですが、非常に勉強になりました。読んだ撮影関連の本は三冊くらい。被写界深度、絞り、シャッタースピードはコンデジでは調整できないので楽しかったです。
秋になってくると薄暗いところでブレるようになったり、露出オーバーの白飛びを起こすようになったので、階調の幅について勉強し始めました。
なにがいいたいかっていうと、まずは観た映像に何か問題があったら何がひっかかるのか考えること。別の視聴方法を試してみること。素敵な映像があったら、なぜ素敵なのかを考えること。そして、それは自分のクリエイティブに流用できるものなのか考えてみること。
例えば私が「これホワイトバランスがいいな」と思うのであれば、それを次回から自分のクリエイティブに生かすこともできるし、ピントの合わせ方や露出が気に入ったらそれを真似していけばいいんだなと思います。
多くの人が細かいところまで鑑賞することなく、なんとなく面白かったとかきれいだったとか感じるだけで去っていくのかもしれないですが、私がもし明日デザイナーを辞めるとなっても、そういった細かいところに気づき考えられる感受性や知性は失わずに生きていきたいなと思っています。それが自分の人間性を豊かにしてくれると思うので。
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