ダッチとマイカはここ最近発狂っぷりが目立つ。
静かにミッションこなそうとしても、やり方が雑でどうしても何かやらかしてしまうのだ。
それに比べて、俺がギャングで一番信頼しているのが、チャールズだ。(そりゃついこないだまで、ダッチを父として、リーダーとして尊敬していたが、もうやめだ)
チャールズは肌が浅黒く、精悍なネイティブアメリカンの青年である。
静かで綺麗な英語を話す。
英語ってのは地域や人種によってニュアンスや発音すら少しずつ異なるが、俺のだらだらアメリカン英語に比べたら、チャールズなんか詩人に聴こえる。
そのチャールズの父が「雨の到来」である。英語で言うと「Rains Fall」である。
(なんでチャールズはチャールズなのか知らんけど、多分アメリカンネームなんだろう)
ネイティブアメリカンは、白人たちにより嘘の契約を結ばされたり、領地を取られ、非常に理不尽な扱いを受けている。これはアメリカンヒストリーでは重要な項目の一つだ。
俺は死を予感したとき、彼らの気持ちがわかるようになった。
ダッチのせいもあるかもしれないが、実に白人たちは傲慢で強欲である。
実はこのミッションは受けなくても良かったんだが、チャールズに頼まれたらちょっと断れない。
しかし雨の到来と話ができて良かった。薬草もくれたし。
俺にはまだ、やる事がある、と雨の到来は言う。
こんなボンクラの死にかけギャングにも、最後にできることがあるんだろうか。
先日、カップルの駆け落ちを手伝って、ものすごく褒められたし喜ばれた。迷子の犬を送り届けたときも喜ばれて、いい気分になった。
俺のことを「いい人」と皆は言う。だけど、今まであまり報われてこなかった気がする。しかし、今なら、見返りのない善行も行える気がする。
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