2023年3月10日金曜日

今更ながら、「シェイプ・オブ・ウォーター」観ました

恥ずかしながらこの映画のことは、デス・ストランディングで知りました。というかギレルモ・デル・トロ監督自体をデスストで知ったんですよ。

ナイトメア・アリーは監督名でこの人は高評価を受けているから凄い参考になるだろうなと思って観に行ったのですが、期待通りの感じでした。画面に隙が無いんですよね。ちょっと頑張りすぎかと思うくらいのこだわりを感じます。画作りがわざとらしいくらいに完璧。

特に本作は照明へのこだわりをすごく感じました。

また冷戦という設定からの、小道具大道具、セットへのこだわりもすごいですね。

お話は童話のように始まり、ファンタジーのような展開でありながらも、主人公が成人しており周りも大人なので、大人の事情がふんだんに盛り込まれています。だからこそ、大人が観るファンタジーとして、よくできている。逆に言えば、大人になってもこういうのが観たいよね、という童心をくすぐる内容でもあります。

私はE.T.を思い出しました。コロナ禍でたくさん昔の映画をTVで流してくれた時期がありましたが、E.T.が一番素直に泣けました。

あの映画のいいところは、異世界から来た宇宙人を友人として捉え、決して研究しようだとか、金にしようとしないところで、それをする大人たちを敵として捉えていたところ。

SFなのに、宇宙人のことを研究しようともしない。あまりにもピュアすぎて、涙が出ました。スピルバーグって、あの時すでにだいぶ大人なはずなんですけど、設定にこだわったSF映画もつくれたのにそういう要素を完全に排除しているところが凄いと思いました。

本作もそんな感じの話です。

ただ、ちょっと私が引っかかったのは、大人の恋愛の話なので、セックスについての話題が出てきたりするのが、生々しくて嫌だなあというところです。

それ以外は実にシンプルで、E.T.ともあまり変わらないかもしれません。ですが、時折すごく「人生って虚しくて儚いな」と思う言葉が散りばめられていて、、

これはギレルモ監督の癖なんですかね?ナイトメアアリーなんてそればっかりでしたもんね。

人生は失敗の積み重ねだ。(これ英語だとshipwreckって書いてあって結構怖い)

私の存在は私の目しか知らないんだよ。僕らは、遺物なんだ。

そんな言葉がしょっちゅう出てきて退廃的な感じがしました。

そういう理由から子供向けとはいいがたいし、R15はそうだと思います。これ、大人向けなんですよね。

そして負け犬要素が強めの清掃人であまり美人でもなく喋れない主人公。ゲイで売れない絵描き、冷めきった夫婦の奥さん、いつ捨てられるかわからないスパイ。彼らが、主人公イライザの愛を理解し、共感しすることで、半魚人は守られていきます。

やわらかくレトロな音楽が包み込む、芸術的な作品だと思いました。

また、イライザの女優さんには確かに共感がもてるし、少し大げさな芝居が上手でした。しゃべれないから、感情は大きめに出すんだと思うんですが、普段はとてもおとなしいのでギャップがありました。色々な表情を実に巧みに使い分けますよね。すごく地味だったイライザが、途中からヘアバンドや靴が赤になったりと、細かい変化も見逃せません。

あとなぜかスパイのお兄さんが好みでした。きちんと生きているんだけど、ついついスパイの道を外れてしまう…見た目や喋り方がかわいいのもあいまってお気に入りのキャラクターでした。


ただ、私が子供なんですかね、もうちょっと、子供っぽいファンタジーの方が好きかもしれません。多分恋愛ものが苦手なんでしょうねw

変な生き物が出てくる映画なら第9地区がやっぱりトップランクですね。あれは、生々しい下ネタを「ゴシップ(ギャグ)として」扱うからよかったです。主人公は最後まで奥さんに連絡を取ろうとしていて、なんかそれがね、すごく沁みたんですよね、そういうののほうが好きかも。

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