この映画は観たいと思ったものの、あまりにも上映館が少なくてギブアップしたもの。
主人公(ティルダ・スウィントン)は物語を愛して研究している学者で、子供の頃は友人と遊ぶより理想の男子を自分で創り出して遊ぶような子。全く自分と同じでちょっと驚いた。
一度は結婚するものの、おそらく流産か不妊が原因で別れ、全く未練もない。
そんな彼女がイスタンブールのグランドバザール(私もここでトルコランプを買った)で手に入れたトルコの装飾瓶。特に特徴もないこの瓶の蓋を開けようとすると
イドリス・エルバが出てくる。
すごい大きさだ。
画面に入りきらないので最初はかなり笑った。
一通り、ルームサービスを対応して戻ってくると
イドリス・エルバが本来のサイズに戻っていたw
そしてよくある「3つの願いを叶えよう」が始まる。
が、主人公は全然信じてない上に、願いがないとまで言うものだから、イドリスエルバかなり困る。
ここからはイドリス・エルバのジン3000年の歴史が語られるが、実は結構、はっきりと分かれていて、
自分が閉じ込められた理由
とある野心溢れる女性のグルタン
グルタンが理由で閉じ込められたあと見つかるまでの話
貧困ながらものすごく頭のいい女性ゼフィール
の概ね4章である。
この話には少し共通点があり、ジョージミラーらしさに溢れている。
グルタンが原因で閉じ込められたあと、その国(シリアだと思われる)に、二人の王子が生まれていた。その片方は男子を子供に持たないと国が存続しないため、ただ繁殖するためだけの部屋に閉じ込められる。
その王子はとにかく太った女が好きだった。この太った、というのが異常な太さだった。マッドマックス怒りのデスロードにいた「乳母」たちとそっくりだった。同じ女優さんかもしれない。彼女らは太りすぎていて全裸でも淫部を隠す必要がなかった。
そして、この物語に絡む女性たちは何かと性行為や出産などに囚われ人生を狂わされるが、それもマッドマックスの囚われの女性たちを思い出す。
繁殖のためだけのハーレムなんかも全く同じだ。
グルタンが妊娠したとき、わざわざ白い服を着て風呂に飛び込み、大きくなった乳房や腹を見せびらかすのも非常にマッドマックスを連想させる。
これはジョージミラーの性的嗜好なのかわからないが、妊娠については比較的認識が正しいと思った。リドリースコットの性行為を連想させる怪物よりは、である。
最初にジンが愛した「シバの女王」が、「女が最も欲しいものを答えよ」というなぞなぞを出すのだが、回答は映画の中で示されていない。
おそらくそれは「自由に生きる」ではないかと、私は感じた。
自由に生きている主人公は、ギリギリまで願いがないのだ。
私の願いはなんだろうか。
真の自由とは、馬鹿馬鹿しい会議などをなるべく短く終わらせることかもしれない。ご存知の通り生産性のない日本人は時間稼ぎで会議を長引かせ、時給を稼ぐやつだっている。そういうくだらないことをやめられたらいいなと思うのが一つ。
もう一つのパターンは、生まれる時代を10〜15年ほど遅らせることだ。学生のときやりたいことがあんなにあったのに、ソフトウェアが手に入らずコンピューターの処理が遅すぎて作れなかったものがある。真のクリエイターならそんなもの関係ないと言われそうだが、意欲はあのとき腐るほどあったのだから、勿体無いことだと思う。
もう一つのパターンは、日本人としてではなく、できればアメリカ人かフランス人として生まれたかった、という根本をひっくり返す願いである。単純に日本が世界的に見てもダメな国という印象が拭えないからだ。もし最初からフランスに生まれていたら、おそらく自我は全く違う方に開花していただろう。日本人はマウントはして来るけど、他人のマウントは許せないことが多い。理由はよくわからないのだが、私はよく足を引っ張られたり潰しにかかられたりするが、年配の人たちに引っ張り上げられてなんとか舞台に立っている感じだ。なぜか同僚や後輩にやっかみを受けやすい。上司には気に入られやすい。
ちなみにやっかみを受けている時に堂々と振る舞っていても、彼らは簡単に一度感じた嫉妬は捨てないので、結局私が退職するまでは嫌味を言い続けたり足を引っ張り続ける。
この負の連鎖が果たして日本という閉鎖的な国でしか起きないことなのかはわからない。でも私は、もっと能力がグローバル目線で評価される舞台に立っていたい、と思うことがよくある。
グローバル目線で見たら私は下の方だが、世界水準で下された評価であるなら納得がいくからだ。
また、おそらく嫉妬で絡んでくる人間はもっともっと底辺の方になるかもしれないが、それがグローバル基準であれば彼らも文句は言わないだろう。日本の狭い社会の狭い会社の狭い部署の中で相手を潰そうとしているだけということに、気づいてくれればいいなと思う。
この映画の感想なんだが、基本的には女性の生き方にフォーカスしている内容だと思う。
主人公は最後まで、幻想の中で、物語の中で生き続けるだろうが、それは悪くないということなんだと思う。
そしてそのテーマはまるで私を表しているようだったので、共感はしやすかった。
人によっては、全く共感はできないかもしれない。特に家族を養っている人などは皆目理解不能かもしれない。
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