2023年11月11日土曜日

「進撃の巨人」アニメ最終回にモヤっと来た件をまとめる

進撃の巨人アニメ The Final Seasonが始まった時、私はとても嬉しかった。

まるで軍隊もののような展開。ぶっ壊れてる主人公。ミカサは悲恋で終わる気がしていたが、男なんかに頼らず生きていって欲しいと思っていた。彼女が独立するいいきっかけだったと思っていた。髪の毛をショートにしたのもその決意あってのことだと思っていた。

大体序盤でエレミカをプッシュしていたファンのことも理解しかねていた。エレンのあの性格でうまく行くはずがなかった。エレンがミカサの気持ちからひたすら目を背けてきた理由がFinal Seasonだったはずなのだ。

甘っちょろい恋愛ものからは卒業だ。

そう思って喜んでいたのに、あのエンディングだった。

私のリアクションは全てアルミンと同じだった。

アルミンには始終共感を抱いた。なにしろ「アニが好き」まで同じだった。アニのようにクールで怖くて、強いのに美しい女でいたい。アルミンに追っかけられるような女でいたいと思っていた。

なのでエンディング間際のぬるさはアルミンと同様に驚愕した。

「エレン。君は本当にそれでいいのか?!!」

「自由を求めて戦った結果がこの不自由さなのか?!!」

エレンが自由を求める姿が好きだった。エレンは何にも縛られず、ユミルと世界を巨人から解放する。それだけでよかった。

なのにユミルと来たら。


諫山先生の考え方、思考回路をなぞるしかなかった。

申し訳ないが、私は九州男児に大変な偏見を抱いている。

4年福岡で暮らして、彼らに染み付いている洗脳のような男尊女卑カルチャーを嫌というほど知らされた。男性陣は女性にひどく執着しているがプライドは高く、なかなか自分から口説くことはしない。もし付き合って別れたら、ストーカーと化す。最悪は博多駅前で刺殺するくらい、彼らはドロドロしていた。女性に振られると絶望で気が狂ってしまうようで、付き合おうと思えなかった。彼らは毎日のように自分のプライドを守るために周りをdisっていた。

これを進撃の巨人に当てはめてみよう。

つまり、こうだ。諫山先生の(九州男児としての)願望は、自分好みの女性に執拗に想いを寄せられ、最終的には殺される。これが彼の願望なのではないか。

大変歪んだ願望だが、そうとしか思えなかった。

エレンは、ミカサに殺されるまで暴れ続ける、そういうシナリオだ。

だが、エレンは「自分は馬鹿だから」と言っていたが、もし彼が馬鹿じゃなかったらどうなっていたんだろうか。

世の中を戦争に巻き込み、たくさんの犠牲者を出して文字通りフラットにする-それは地理的にも、精神的にもだ-それがエレンの願いだったらしい。

だが、アルミンの頭脳を持っていたらもうちょっとスムーズに、犠牲者を最小限にしてミカサを殺人に向かわせることはできたのではないだろうか?


進撃の巨人は自由を求める物語だと思っていた。

我々は生まれながらにして自由に生きる権利を持っている。その着眼点が素晴らしいと思っていた。

だが実は逆だったのだ。エレンは殺されるまで自由にはなれない。

ユミルはなぜか男性に執着し続けた。これも九州男児の願望ではないだろうか。残念ながら女性はもっと合理的で、九州の女性は離婚を切り出すのが割と早く、シングルマザーが元気に生きている地域だ。

ミカサもずっとエレンに執着し、エレンのために戦い、生きていた。

誰も自由になれない物語だった。

絶望的だ。

もちろん最後には自由にはなったが、代償が大きすぎる。

だが、どうだろう。自由になったミカサは泣いていた。これは裏を返すと、「不自由が楽しかった」ということになる。彼女は不自由を喜んでいたのだ。ユミルもおそらく不自由を理解しながら執着し続けてしまったのだろう。


もちろん100%の自由はきっと存在しない。結局人間は、そこのバランスをとりながら生きていく生き物なのだろう。ただ、好きな男性のために不自由を取ったり、世界を変えてしまう女性という発想がどうにも気持ち悪かった。それを描いたのが九州男児であることにも気持ち悪さを感じた。


そしてエレンの在り方にはかなり疑問を持った。

エレンがすごい好きだから、とかではない。私は性格判断は全てエレンが出てしまう人間なので、何かを犠牲にしながら目標に突っ走る癖はあると思う。だけど、自分の欲しいものまで犠牲にしていいんだろうか。

人は自分の欲しいものを手にいれるために生きるんじゃないんだろうか。

かなり色々モヤモヤしてしまったが、とにかくエレンの在り方が一番モヤっとしてしまった。


総じていうと、スケールの大きな「世直し」物語に見せかけて、一人の色恋沙汰に巻き込まれて多数の死亡者を出すという恐ろしく個人的な、腐敗政治みたいなものを見たなあという感想である。

日本にはそういう物語が多いように思う。昔ゲームで、「ステラデウス」というとてもビジュアルが綺麗なRPGがあったんだけど、内容は国の偉い人が個人的な恋愛沙汰で国を滅ぼすみたいな話で、えらい意気消沈した記憶がある。


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