いわゆる「普通だった女性をスパイに育てあげる」映画はいくつかありますし、やはり「ニキータ」を超えるものはないなと思うのですが、本作品「レッド・スパロー」はまた一味違った面白さがあります。
主人公はロシア人で、トップバレリーナでしたが、事故で骨折し辞めさせられてしまいます。その後叔父がスパイにリクルーティングするために、自分が骨折した原因を知らされ(これって最初の任務よなw)、犯人たちを怒りに任せてぶっ殺すのですが、その手口が豪快すぎて「つかみはOK」となり、とても引き込まれました。
やはり血の気の多い女には共感しますね。
その後もポーカーフェイスで任務を続けるドミニカですが、ロシア内部にCIAへの内通者がいるとわかり、その正体を知るべくCIAエージェントに近づきます。このあとの展開は割と複雑で、見ている方も「今ドミニカはどちら側なのか?!」とハラハラします。何しろドミニカは、このスパイの世界に引きずり込んで母親を人質にしている「キモ叔父」に一泡吹かせたいので、CIAに協力すると言い出したのです。
ですが見ている方はどこまで本気なのかわからないわけで。
何しろドミニカ、全然笑わないし。
訓練時にも気になったのが、「娼婦としての訓練」を受けているはずなのに、「男の本性は見抜ける」が、男の欲しいものをそのまま提供するほど腐っていないところ。ドミニカは「後ろから襲ってきてバックでやろうとする男」を絶対に許しません。
つまり、彼女が本気で寝る男だけが本当に心を許した相手だということです。そこだけが、ヒントだったなと思います。
話はちゃんと見ていないとしっかり理解できないくらい入り組んでいますが、ラストのどんでん返しが素晴らしかったです。伏線はあるのですが、「ん?」くらいのレベルなので最後にすごい驚きました。
よし!やったぞ!というあの達成感が、主人公とリンクするので、特に苦境を生き抜いた女性だと共感しっぱなしだと思います。
自分を利用してくるキモい叔父さんや、スパローが娼婦の訓練を受けていると聞いて色目を使ってくる男、体の欠点を指摘した途端ぶん殴ってくる男、特に理由もなく後ろから襲いかかってくる同級生。まあ最初の自分の脚を折る原因になったのも男なので、彼女は散々男に振り回されて怒り心頭だったと思うんですよ。
唯一本気で好きになった男がCIAの男で、まともなやつで、最後は立派に勝つエンディングでスッキリしまくりました。
嫌なことがあった時に観たいような映画ですが、拷問シーン、殺害シーンはまあまあグロいので注意です。掃除人がとにかく残忍。それから、娼婦育成時に男娼も同時に育成するのですが、普通に全裸見せてくるので注意です。
この映画は原作小説があるそうで、続編があるので、内容的にも面白そうだなと思いました。原作のおかげでかなり濃厚なストーリーになっており、大変楽しめました。
ちなみに原作のエンディングは違うそうなのですが、映画版の方が(少し無理はあるが)スッキリすると思いました!
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