「ドラゴン・タトゥーの女」(2011)はだいぶ前に一度観て、強烈な印象を残していった映画である。レンタルが安くなっていたので、久しぶりにもう一度観てみた。
このブログに書いた覚えがないので自分のブログを検索してみたら、なんと下書き状態で2013年に保存されていたw
しかも内容が一行も書いてない。
なにしろこの映画、話が難解なのである。
内容は、スウェーデンで大ヒットしたミステリー小説を映画化したもの。
ミステリーものって、映画で観ると一回じゃよくわかんないことってありませんか。
一番の理由は登場人物がすごく多い。主人公のミカエルが、劇中で「人数が多すぎて誰が誰だかわからん」とメモを取りながら言うシーンすらある。
しかも名前がスウェーディッシュで、聞きなれない上に、なんかとても似ている感じがする。顔もなんか、「誰?」背景も「どこ?」みたいな。
主役のミカエルと、ヒロインのリスベットはすぐ覚えられるのにw
(ちなみに私は韓国人の名前が覚えられないので、韓国映画は非常に苦労します。顔もちょっと似てるし…w)
でもこの映画がどうしても忘れられなかった。それはひとえに、ヒロインリスベットの強烈なキャラクターが理由である。
リスベットというキャラクターの魅力
このキャラクターはたくさんの人に愛されており、レビューを見るとそれが一発でわかる。なんなら彼女のことだけを書いている人もいる。
話は典型的な猟奇連続殺人事件の話だ。セブンと同じ監督だから、似たようなものを連想してもいいと思う。今回は聖書を題材にしている。
しかしリスベットほど、強烈な印象を残していくキャラクターは、あまり見かけない。
近いところで言うと、デスノートのLみたいな感じだろうか。
とびぬけて頭脳明晰な調査員なのに、身体はタトゥーとピアスだらけで、なぜか眉毛を脱色しており、極端に短い前髪に、ミドルレングスの黒髪をカオスな感じでしばったり立たせたり自由にアレンジしている。服装は常に真っ黒で、革ジャンを羽織ってバイクで移動する。
こう説明するとすごくかっこいい女性に聴こえるんだけど、実はそこが彼女の魅力ではない。
女優はルーニー・マーラを起用しているが、彼女は決して怖い顔ではない。どちらかというとあどけなくて可愛らしい顔である。
しかも、シャーリーズセロンみたいな長身でもないし、筋肉もそんなについていない。小柄で華奢で、この衣装だとやさぐれた不良少年に見えなくもない。性別がわからないような、中性的な格好と顔をしている。メイクは黒ベースだけど、女性らしいメイクはしていない。チークとか、口紅とか、わかりやすい女性の記号は省かれている。
顔は全体的に白っぽくて、果たして死神なのか、天使なのか、あやふやで神秘的な印象を受ける。
彼女は「過酷な人生を生きてきた」と映画内で説明されている。しかも、映画内で一度レイプされる上に、ラスボスも「目をつけていた」ことを示唆するセリフがある。彼女はどうやら、男に目をつけられていじめられやすい体質のようである。
クラブで出会った女子にはすぐに心も身体も許すのに、ミカエルには警戒心バリバリで、少し触れただけでもびくついていた。
彼女がミカエルからこの謎の深い事件を引き受けるとき、印象的な言葉がトリガーとなっている。それはミカエルが言った、「女を殺した男の事件」というセリフである。
そう、彼女は理由なく彼女に目をつけて弱みにつけこみ、暴力や性的暴行を働く男たちが大嫌いなのだ。その言葉で彼女は秒で依頼を引き受け、すぐに捜査を開始する。
リスベットは劇中でも様々な不運な出来事に遭遇する。その不幸に強く反抗し、復讐していく様が、危うくて、魅力的なのだ。彼女が全方位最強の女性であったら、こんなにファンはつかないだろう。
ちなみに私は、レイプしてきた男に復讐するシーンがとても好きで、それが強烈すぎて忘れられませんでしたw(警察に報告しないで自分でやっちゃうのがリスベット)
この復讐劇のために、彼女いつもより黒いメイクにするんですよ。面白すぎます。あ、そこは演出するのね、っていう。そういえば、マッドマックスのフュリオーサも目の周りの黒ずみ(笑)を濃く塗りなおすシーンあるじゃないですか。ああいうテンションなんでしょうね。「復讐タイムよ!!」みたいなテンションで盛り上がりますよね。怖いけど。
ミカエルという、ダニエル・クレイグの新たな一面が良い
ダニエル・クレイグが007に起用されてから、私はあのシリーズを見るようになった。そのくらい、前のボンドは嫌いだったのだ。なんか顔が濃くて、にやついていて、毎回違う女と寝てる調子ぶっこいたおっさんだと勝手に思っていた。まあ、男性向けの映画かと想像していた。
ダニエルは007として黙って突っ立ってると相当クールで、私の想像するスパイの印象に近くて一目で気に入ったのである。
この映画に関しては、何を考えているか一瞬わからない007とは違って、だいぶ人間らしいダニエルを見ることができる。いたって普通だし、なんならちょっととぼけた印象さえ受ける。そしてリスベットのほうがはるかにクールで、彼女は決断力が強すぎるため、常に彼女にリードされ命令される始末である。
冒頭でうまく丸め込まれて、別荘で調査を始める時、別荘に猫が住み着いていて、なぜか一瞬でミカエルに懐いてしまう。この猫がとてもかわいい。
そして、ベッドでミカエルと一緒に寝ているのである……もはや、007には見えないw
スーパーで猫缶買ってきちゃうミカエルなんて、もう萌え萌えおっさんである。
この映画はこの2人のキャラを観ているだけでも楽しいので、話はなんとなくしかわからなくても、最後まで観れてしまう。小説だともっと細かいのかもしれないが、実写だと正直、観客が推理するのは難しい。
そんなずるっこい映画だけれども、犯人を見つけてしまった時の緊迫感、犯人の心に巣くうどうしようもない悪の話など、たっぷりと時間をとって恐怖感を煽ってくれるので、何度観てもなんとなく面白い、不思議な映画です。
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