漫画読んだ時の感想はこちら
https://pecharat.blogspot.com/2012/07/2.html
漫画は非常に面白くて一気読みして、オスカル、大好きなキャラクターになったのですが。しかもその前にベルサイユ宮殿も見に行っていたので、フランスという国がさらに好きになったきっかけの一つです。
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せっかくなので作った |
「ベルサイユのばら」は見た目キラキラで、ベルサイユ宮殿でキラキラ過ごす話に見えそうですが、ちゃんとフランス革命の話です。ご存知の方多いと思いますが、あのキラキラ生活のせいでフランス国民が激怒し、最終的にマリーアントワネットはギロチンで首を斬られます。恐ろしいですね。
パリオリンピックが恐ろしく見えるのは、そのような血塗られた歴史がある国だからなのですが、フランス革命はフランス国民の誇りであります。民衆の力で自由を勝ち取ったという自負が、脈々と受け継がれているからこそ、今でも自由を謳歌しているのです。結婚制度からも自由なのは有名な話ですね。
ちなみに「アサシンクリードユニティ」というゲームではバスティーユ牢獄襲撃を体験することができ、ナポレオンも登場します。この辺の時期は被っているので、例えば、リドリー・スコットの「ナポレオン」という映画は冒頭、いきなりマリーアントワネットが首を落とされるシーンから始まります。フランスの歴史はいろいろな映画やゲームで体験することができます。この作品はその中でも非常に引き込まれる内容の上にわかりやすいので、歴史を学ぶのにもよい教材です。
ベルサイユのばらの魅力1:オスカルが毒親の元、普通の女ではない人生を選択するところ
私が「ベルサイユのばら」が好きなのは、やはり主人公「オスカル」が魅力的だからです。それは外見だけではありません。
オスカルはキラキラに見えますが、爆美女ではありますがそれを鼻にかけるような描写が一切ありません。彼女の誇りは戦闘能力、実務能力であり、キャリアウーマンであります。しかも諸事情により、「男性」の役職についていますが女性であることは隠していません(が、フェルゼンには最初男だと思われていました)。
そしてオスカルの在り方のそもそもの発端にオスカルの父という存在があります。母親は存在するし元のアニメでは序盤から登場していますが、そもそもの問題は全て父親が原因です。
この父親が、最初に「息子が欲しいのに生まれないから、オスカルを男として育てる」と無茶苦茶なことを言ったのが原因で、オスカルは元の性格が気が強かったためか、すんなり男子同様に剣技を身につけ強くなっていきました。
しかし、キャリアが順調そのものだった時に父に突然「結婚して孫を産んで、父を安心させておくれ」とポーカーフェイスで言われます。この父は一体、娘のことをなんだと思っているのでしょうかwしかし、私から見ても「この手の父親は非常に多い」と言えますし、私の父も大差ありません。もっとぼかして言いますけどねwこんなにはっきり暴言言ってくる男性には、自分の父でもバシっと言い返した方がいいですね。
オスカルは上品だしまっすぐなので、父親に正面切って正論を言い、結婚を申し込んできた相手もきちんとお断りをしています。本当に潔白で偉いなと思います。しかし、ショックはかなり受けていると思うので、ほんと強いなと思います。
ベルばらの魅力その2:女性のキャリア問題を取り上げている
後半のオスカルのキャリアシフトは目を見張るものがあります。これはぜひ映画で観ていただきたいです。
マリーアントワネットの護衛である「近衛兵隊長」は非常に楽で贅沢な仕事でした。それにオスカルは原作でもマリーアントワネットを妹のように愛しています。オスカルはクールでお茶会などの遊びには付き合わないのに、静かに愛情を注ぐ大変敬虔な衛兵なのです。
ですが、フランス国家が傾くにつれて、オスカルは一度近衛兵をやめることを決意し、衛兵隊といういわゆる男臭い世界にキャリアチェンジすることにします。これもすごいかっこいい決断だと思いました。なかなか現代の女性でもできないことですね。
この衛兵隊が曲者で、やはり女性の隊長のいうことを聞きません。これは私も経験があって、そんなに女を舐め腐っているならリーダーはやらないと、2回とも辞めてしまいました。私はリーダーという役職には一切興味はありませんでした(メンターは楽しかったのですが)。
彼女はあまりにもいうこと聞かない奴らに、決闘を申し込み接戦で勝つという実に男らしい選択をしました。
私もボクシングでもできればあのいうこと聞かないデザイナーと殴り合えたかもしれませんが、彼ら、表向きは「人見知り」「女性は苦手」とか言ってくるんですよ、そして社長がそれを容認しているような世界なんですよ。実にやりにくいですね。
一応フォローしておくと、オスカルが部下と決闘したのは一回だけで、あとはきちんと説得をしています。あ、でも一回ビンタしてるなwまあ相手が男性で兵士だとどうしても手をあげないと理解してもらえないってのが根底にはあるのかもしれん。
ベルばらの魅力その3:恋愛の正しいあり方を知ることができる
以前の感想にも書いていますが、オスカルを慕うアンドレという男は非常に不憫です。
オスカルは女性としてフェルゼンに心惹かれる時がありますが、アンドレはひたすら片思いでじっと耐えなければなりません。
ですが、結局「爆モテ」のフェルゼンの結末は、未婚のまま。散々市民に嫌われて死ぬといった有様です。まあ、マリーアントワネットに手を出した時点でアウトだとは思いますが。
爆モテは女性でも本当に厄介で、男性なら散々遊んだ後暴露されて非難されることになりますが、女性の場合わけがわからないまま多くの男性に恨まれて追っかけ回され、最悪ガチ恋したやつに殺されたりするので、本当にモテるというのはいいことがありません。
アンドレはなぜかモテませんが、最終的には彼が選ばれるので、アンドレのようなあり方が正しいと私は思います。
また、男女の関係において「相手の性別を超えて」人として好きなところがあったり、信頼、絆がある関係がやはり理想的だと思いました。
あの気の強いオスカルの心の支えがアンドレであることが後半わかってきますが、セリフの言葉の選び方が素晴らしいと思います。
ベルばらの魅力その4:正しい国家のあり方を知ることができる
映画の尺の関係であの長編漫画をかなりの駆け足で省略したストーリーとなっていましたが、きちんと「国家のあり方」に向き合っているのは素晴らしいと思いました。
しかし残念ながら、マリー・アントワネットにはそれが伝わらない。だから首を刎ねられるのだと思いますが・・・
昨今の日本政府の状態や、経済の停滞、またそれが政府の状態だけではなく、フジテレビのような大手企業の没落を見るにつけ、「お偉いさんが実にベルサイユ宮殿みたいなことをしている」というほかありません。フジテレビは確かに昔からギラついていましたが、私が20代の頃のフジテレビってのは本当にめちゃくちゃ面白くて、ドラマもかぶりついて毎回録画するくらい楽しいコンテンツを提供してくれていました。
しかし長谷川元アナの言う通り、実態は接待、キャバクラ遊びで大枚叩いている様子。私のいた小さい会社ですら、いまだに会長がキャバクラに通っていて、私も2回連れていかれました。(上納されないよう最大の警戒心を払っていましたがw)
金がたくさんあると調子に乗ってしまう人間というのは実に多いと思うのですが、やはり自制心、理性、といったものを持たないと国自体が崩壊し、フランスのように民衆の暴動が起きる可能性も捨てきれません。そして会社が崩壊する、傾くといった状況は何度か見ていますが、政府であっても、会社であっても、基本は同じです。自分は傲慢になっていないか?と内省する時間を、下から上がってくる意見に耳を貸す謙虚さを、持ち続けたいと私も思います。
オスカルは非常に純粋なキャラクターで、そこも彼女の魅力です。彼女は国民の貧困を目の当たりにして「知らなかった!」と非常に苦悩します。そして政治の勉強を始めます。
マリーアントワネットを主人公にしてしまうと、盲目的に贅沢をして気を紛らわす姿しか見ることができなくなります。彼女の苦悩は14歳で無理やり嫁に出され、本当の恋は叶わぬ人としてしまうことです。そこまでは、少女漫画の題材としては最高だと思いますが、それだけだったら私はこの作品を好きになれませんでした。
オスカルが女性の側面と男性の側面両方を遺憾無く発揮するからこそ、あの魅力が出るのだと思います。
特に最後のあたりで民衆とともに戦うと決意したオスカルの演説は本当に素晴らしくて、今思い出しても涙が出ます。おりに触れて思い出したいと思っています。
この映画の最大の欠点を言います。
ストーリーを省略しすぎて、イメージ画像と謎の歌で繋いでいるところです。イメージ画像はまだ良かったのですが、歌の歌詞がちゃんと聞き取れていないのでちょっとイマイチでした。あと、ミュージカルにしては中途半端。オスカルがなぜ突然ドレスを着たのかも、原作を読んでないとわからないですし。
劇場版であれば、前後編と分割しても良かったかもしれません。ただし私は圧倒的に最後らへんのオスカルが指揮をとって戦うところが好きなので、前編見れるかどうかはわかりません。だから一個にまとめたのかもしれないけど、
初見者だと「???」ってなりそうな、不安もある内容です。
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