この映画はポスターやキービジュアルのデザインが素晴らしく、デザイナーとして参考になりました。ただあらすじを読んで嫌な感じがしたので、観ようか迷っていたのですが、やっと夜の上映が始まったので(なぜか福岡ではこの作品を朝に上映するところが多かったw朝からこれを観るのはきつい……)観てきました。予告編の壮大でものすごいクオリティの映像が決め手となりました。
本編ももちろん映像がものすごい美しくクオリティ高く、さすがリドリー・スコット!と思いました。しかし、内容はやはりえぐいなと思いました。レイプされたことが理由で裁判をするわけですから、必ずレイプシーンは出てきますからね。
百年戦争の時代の話なので、お城や甲冑、街の雰囲気など、画作りはさすがだな~と思いました、まるで動く絵画のようで、レンブラントとかを思い出します。ゲームでいうと「プレイグテイル」と似たような雰囲気で、ディテールにもこだわっているのがわかったので(知らないしきたりとか色々出てきました)、時代考証にも力を入れていると感じます。
この映画は「あなたが、 この裁判の証人となる」とうたい文句にある通り、それぞれの視点から物語が描かれるのが面白い構成になっています。
ジャン・ド・カルージュ(マット・デイモン)について
彼は確かに無骨で不愛想なところがありますが、女性の視点から観ると、かなりの安全パイかと(笑)
劇中で「男はみんな馬鹿よ」って脇キャラが言ってますが、どうせバカならカルージュみたいに嫉妬深くて束縛強いけど他の男からは守ってくれる人がいいですね、私はw
個人的には、不愛想なものの、決闘で決着をつけてやる!それが俺の愛情!みたいな覚悟の強さは賞賛できました。
彼の主張が面白いのは、奥さんから観るとちょっと違うwんだけど、彼自身は全力をもって奥さんを愛し、守ってる!っていう主張なんですよね。これは夫婦のすれ違いだと思うのですが、私はカルージュの主張のほうがかわいくていいかなと思いましたw
ジャック・ル・グリ(アダム・ドライバー)について
惜しいなと思ったのが、このル・グリがどうしても悪にしか見えないところですかねw
もうちょっと善人ぽさがあれば、観客の同情を得られたかもしれないし映画の感想として多少意見がわかれて面白かったかもしれませんが、
私から見るとどうしようもない悪人にしか見えませんでした…。もしくは前述通りのバカ、それも悪い方のバカ。
もしくはル・グリが好きな人もいるんだろうか…
私ももうだいぶいい年なのであえて言いますけどこの手の口だけ「愛してる」って言ってくる男なんか腐るほどいますよ。
ル・グリのキャラクター造形で残念なのが、「知性の高い男」という設定なのにとにかく女好きで色恋の噂が絶えないんだけど、あの口説き方には知性感じなかったんだよね…。性欲に頭半分くらい支配されているようにしか見えなかったので、あれで無罪とかちょっと厳しいかな…。
マルグリットについて
問題は彼女がどう思うか、なんだと思いますが、確かに私も気になってすごい見入ってしまいました。
結論から言うと彼女はものすごい勇敢で、善き人間だと思います。好感しか持てませんでした。なにしろ思考がまともだし、頭もいいし、旦那より領地をまわすのが上手いのでは。私も悪には果敢に立ち向かいたい人なので、感情移入しやすかったです。
とても悲しいなと思ったのが、もし決闘に負けたら彼女も死ぬことになるのですが、やっとこさ産んだ子供を置いていくことになってしまう、だったら黙っていればよかった……とつぶやくところですね。これは泣けるところです。
子供のためなら自分の屈辱も無にしよう。素晴らしい母親ですね。と同時に悲しいと思いました。
この作品のテーマって結局なんなのか……
決闘中は、マルグリットは逃げられないよう枷をはめられていて見届けるしかありませんが、私も彼女にはたいそう感情移入したのでずっと自分の両手をしびれるまで握って観ておりました。というか狂気ですよね。
ふたりの男が自分をめぐって殺し合いをして、旦那が負けたら自分も死ぬなんてね。病気ですわ。
それで観てて途中からすごく思ったことが、
もうどうでもいいわ……
ってことです。悪い意味じゃないですよ。そりゃ旦那に勝って欲しいけれど、自分が死ぬかもしれないんで、疲れてそう思いました。
それが言いたいことなんじゃないかな?って思いました。
劇中、彼女は正直男どもに振り回されてるだけの人生なんですよ。人生ってなに?義母にもそういう質問をするんですけどね。
でも子供には罪はない。彼女の判断は正しいと思います。
まあつまり男に振りまわされる人生はやめておけ……ってとこですかね。
私も始終男から逃げ回ってますからね。なんか今の会社はそういう意味ではクレイジーだと思いますが。なぜか女好きがうようよいるので気持ち悪くて。しばらく飲み会に参加してないし今後も参加はしないかなー。
女性を応援する映画ではあると思います。
劇中で印象的だったのが神父さんの聖書の引用。もうこれにすべてがかかってるなと思ったし、やはりキリスト教や宗教には意味があるんだなと思わせる引用です。
「情欲をいだいて女を見る者は、心の中ですでに姦淫をしたのである。」という一節です。これは、私を欲情した目で見てる会社の男性陣にメールで送りつけたいような一文ですね(意味わからないかもしれないけどw)。
サスペンス的な観点から観ると、私は義母の行動に結構疑問を感じました。
まさかレイプの手引きとかしてないですよね?いくら仲が悪いからって…。
その辺、最後はあまり描かれてなかったのが残念でしたが、もし自分の息子が決闘するって言いだしたら死ぬ可能性が出てくるのに、けしかけたんだったらちょっと一発殴りたいところですが。
私は義母だろうが旦那だろうが悪いやつは殴りたくなるんで、あんまり普通の結婚は向いてないだろうなw
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