この映画は何年も前に、予告編を観て非常に気に入ったのだが、「後で見る」に追加したあと忘れ去っていたのだった。
「コンビニバイト 覚醒」
のキャッチコピーだけで爆笑していた。
想像つくと思うけど、多くのスパイ映画の中でも異彩を放つ、ゆとり系ゆるふわギャグスパイ映画である。ギャグもゆるい。残酷表現はしっかりあるので、R15になっているが、ラブシーンはほぼ無いw(あと英語が聞き取れる人は、bad languageのオンパレードが子供に見せられないと感じるだろう)
しかし、この映画のテーマははっきりと、「愛」であると言える。
スパイダーマンがいじめられっこであったように、碇シンジがダメ男子であるように、多くの少年…そしていまいちぱっとしない青年たちの夢は、ヨワヨワ草食ダメ男子が強力な力をもって敵を打ち破ることだ。そして、意中の女子と両想いになることである。
この映画の主人公「マイク」は、どこの世界のオタクも同じなのだろうか、赤と黒のチェックのネルシャツを着て、猫背で、青白く、声はか細く、伸ばしっぱなしの長髪といういでたちで、コンビニバイトで生計を立てており、画力と創造力だけは豊かな、うだつの上がらない青年だ。
だが、マイクは優しいので、彼女のフィービーには大変愛されており、マイクはプロポーズしようと「だっさい」婚約指輪を買ってくる。この指輪を渡すためにハワイまで行こうとするが、パニック発作が起きて飛行機に乗れない。でもあきらめないマイクは、次なるサプライズを考えていた。その矢先に、謎の女性に声をかけられ、爆発的な戦闘能力が覚醒する。
つまるところ彼はCIAに昔洗脳されて一流エージェントに育てられたのだが、記憶を封印されていたのだ。
ここまでは、予告編やあらすじにも書いてあるので、そのまま自分流に書き直したけど、実は飛行機に乗れなかった理由や、フィービーがずっと一緒にいてくれることや、謎の女性もすべては綺麗に伏線回収される。なかなか楽しい映画なのだが、、、
かっこいいスパイ映画を想像してはいけない。
マイクは覚醒してもそれは戦闘スキルだけである(笑)
映画を通して、彼はプロポーズのチャンスを虎視眈々と狙っている。ロマンティストなのでできればフィービーを感激させるシチュエーションがいいと思っている、心優しき青年だ。激烈な戦闘に巻き込まれて血だらけになろうが、敵に恋人をさらわれようが、彼の愛は揺らがなかった。それこそが、この映画がよくあるスパイ映画から一線を画す理由なのだ。
そして、すごい派手なアクションをしているわりに、陰キャオタクなマイクのぼそぼそしゃべりは直らないので、なおさら笑いを誘う。
ラストバトルでは、かなわなかったハワイ旅行の荷物の中からアロハシャツを着用し、出撃。BGMはハワイアンミュージックである。
一体どのジャンルに振りたかったのだろうか。だが、こういった映画はナウなヤングオタクが、夢を見るための映画だ。ゆとりだし、ゆるふわだし、コミュ障で繊細だし、大した稼ぎもない。そんなやつが活躍したっていいじゃないか。 まあ、中二病患者が癒されるための映画といっていいだろう。
謎すぎるオマージュ
実はこの映画は中盤で突然12モンキーズのオマージュが始まる。監督がファンなんだろうか?私も12モンキーズが大好きで、大体1位は12モンキーズって答えるんだけど、あの映画の主人公もガタイはいいけど迷える子羊のような、かわいそうな男である。
もしかしたら、12モンキーズの迷える主人公ジェームスと、マイクをなぞらえたのかもしれない。
最高のプロポーズシーン
えっそこでプロポーズすんのかよっていうところで指輪ケースを取り出すマイク。なんというか…感動するというよりは、「えっそこ」
しかし、この映画は「愛」がテーマだ。ハワイに行く必要なんか、なかったのだ。
マイクとフィービーがじゃれているシーンには、映画によくあるお互いの服を一生懸命脱がすとか、そういう刹那的な衝動は描かれていなかった。もっともっと、なうなヤングらしい等身大の仲良しカップルである。
仲がいいというのが最上級に大事だ。ポンコツマイクがオムレツつくろうとして焦がしても、フィービーは大して怒りはしない。許せるということが、愛なのだと思う。
0 件のコメント:
コメントを投稿