2021年6月26日土曜日

クワイエット・プレイス 破られた沈黙 観てきました!

2が出ると聞いて、ちょっと前に前作を観て、結構気に入ったんですけど、今回もすごく面白かったですね~

世の中にはつまらんツッコミ入れてる人もいるんだろうけど。

確かにね、ツッコミどころは色々あるんだけども、総じてエンタテイメントとしてはスリリングだったり、前のめりに観ちゃう面白さっていう点では満点ですよね。

あとこの手の映画は映画館で観たほうが絶対にお得だな~と感じました。音響的に。驚かせるのも目的のひとつなんですけど、音量が少なすぎると驚けないし。

特に冒頭の初めて敵が襲ってくる時のパニック映像はとてもいいクオリティだなと思っています。スピード感とか、音の使い方とか、カットの仕方とか。車の中にいるからこそ見える景色の使い方とかね。

内容的にはやっぱりゲーム「ラストオブアス」に非常によく似ていますが、私は、この映画をゲーム化してもらったら楽しいかなと思いました。ただ、おそらくパクリになるし、もしノーティードッグが作ってくれないならクオリティは下がるだろうけど、「この手のゲームがやりたい」層はいますからね。

クワイエットプレイスのいいところは、前作もですが、しゃべったら敵が気づいて襲い掛かってくるため、ほとんどしゃべることができない。とても静かに進行するから、静かなのが好きな私には合ってるなと思います。そして敵が襲い掛かってくると突然うるさくなるので、コントラストがいいなあと。そして、恐怖に恐れおののいていても、絶対に叫ぶことが許されないという緊張感があり、「音を立てられない」だけで緊張感や恐怖感が増すのでテーマとしてすごいいいものを選んでるんですよね。

また、残虐表現が抑えられているのもポイント高いです。相変わらず敵が人間の何を狙ってんのか全然わからないけどねw

ストーリーの大筋は、今回は、他に生き残りがいるというのを、例のヒロインの女の子が気づいて、探しに行ってしまうところが、メインになると思います。

なにしろ名前を呼ぶことすらためらわれる世界観なので名前が覚えられないのですがw、

「リーガン」は前作でも失敗をしながら最終的には英雄的な活躍をするわけですが、彼女は今回も勇敢に活路を切り開いていきます。彼女は、決して美人ではないですが、演技は素晴らしかったですね、意志の強さを感じました。前作で、コンプレックス満載だったのは、外見も含めてなんだろうなと思っていましたが、コンプレックス大量満載な子特有の気の強さを感じました。その気の強さで、彼女は前進し、「あきらめろ」と言っていた大人も認める大活躍を成し遂げました。

その対比となるのがエミリー・ブラントの演じるお母さんなのかなあと。彼女は乳飲み子と一男一女を抱えてさまよう疲れた母親ですが、かなり限界に来ているなあと感じました。でも彼女の演技もすごくいいんですよね……前作から変わってなくて、恐怖に耐えながら、脳の半分ですさまじい理性を発揮するっていうか。と思うと、他人にすがろうとするところもあるので、危うい強さというのでしょうか。でもいいキャラクターだと思います。

キリアン・マーフィーが演じるエメットは予告編から気にしていましたが、いいキャラクターでした。あきらめそうであきらめない、人間臭いキャラクター。この映画のキャラクターはそれぞれ役割があって、とてもバランスがいいと思います。

ただ、強いて欠点を挙げるとすれば、やはりラストが投げやりなのかな~と思いますが、それは前回もそうだったので、このシリーズはそういうものなんかな、と思うことにしていますw

それにしても投げたなあ!って感じ。
エピローグは必要なんじゃないかなあ…。
次作はあるのかないのか。 

映画のテーマって色々あると思うんですけど、前に「ドクタースリープ」をベタ褒めしましたけど、あれのテーマも「あきらめない大切さ」だと思うんですよね。

今回もそうでした。

私、木曜日にすごく忙しい時に、会社で色々反論してたら「あきらめろ」って年下の男(一応部下)から言われて、お前何様なんだよ、ここであきらめるの?お前の人生ってそうやってあきらめつづけて文句言い続けるわけ??って、非常に嫌な思いをしまして。

その人、ずっと仕事の文句言ってるんですよ。若いのにね。子供がいるからやめられないんでしょうけど、しかも、私はその仕事をやりたいわけじゃなくて、彼が徹夜しても終わらないから急遽入れられた人材なんですけどね。

でも、彼が言っている「あきらめろ」は私に言わせれば、「いやここはあきらめるところじゃないでしょw改善できるっしょ」っていう内容で。まあ、私という外部から来た人間を受け入れられない頑固な亭主関白野郎なんだろうけど、そんなことしてるから徹夜しても終わらねぇんだろって思って…。

まあ、性格の悪いバカは相手にしないのが一番だなと思って議論からは抜けたんですけど、あきらめなくてもいいところであきらめるっていうの本当にやめてほしい。若い人は特に。

それか、あきらめたんならもう文句言ってくるな。絶対に。ちゃんとあきらめろ。


 

2021年6月3日木曜日

正統派SF映画「ロボコップ」を久しぶりに観て思ったこと

ロボコップがアマプラにやってきた!

私の幼少期は、SFとともに育ったと言っても過言では無いほど、SFが大人気だった。宇宙開発が活発だったからというのもあるかもしれない。

スターウォーズやターミネーター、エイリアン、宇宙の映画が大量に出て、スピルバーグが大活躍し、藤子・F・不二雄の漫画が大流行した時代だった。

その中でも異色の大人向け人気映画がロボコップであると思う。

最初はタイトルからすると、いかにも男の子が喜びそうだなと思っていた。名前があまりにもわかりやすくて、ロボット警官のルックスは、アベンジャーズみたいな、ヒーローものを彷彿とさせる。しかし、初めてこの映画を観た時、私はとても悲しい想いをしたのをよく覚えている。映画の内容は大半は抜け落ちていたのに、とにかくかわいそうだったという感情だけは何年経っても忘れることがなかった。そのくらい、主人公の置かれている状況と、彼の心境がありありと想像できる映像なのだ。特に家でのフラッシュバックは今でも涙が出そうになるくらい、切ない。感情だけがくっきり残るというのはある意味すごい映画だと思う。

マーフィーはとにかくかわいそうな人なのだ。

しかもこれでもかというくらい、この映画ではマーフィーをいじめ抜いている。私のような観客に同情させる目的なのかもしれないが、描かれる悪はとにかく残虐だ。物理攻撃も、精神攻撃も、両方全力である。

しかし私が良質だと思っているSFは大体そういうもので、科学が進んだ結果人間が苦しめられたり、大事なものを失う悲しい展開が待っている。SFは本来教訓めいたものが多いので、悲劇やホラー、サスペンスが多い。ジュラシックパークなんかがすごくわかりやすい。

また、間に挟まれる、進んだ科学をブラックジョークで皮肉る小ネタもなかなか冴えている。核戦争ゲームなんかは特にひどい。

マーフィーは死体になったところをロボコップとして蘇生されたのに、生まれ変わってもひどい目に遭わされる。まったくヒーローっぽさがない。せいぜい子供に少し人気があるくらいだ。あとは大人に振り回され、とにかく悲劇の物語だ。この映画をつくった人は相当露骨に科学や経済、権力を批判したいと見える。 かなりの皮肉が込められていると感じる。

そういう人の気持ちを考えない科学や権力者の残虐性と、それの犠牲になるマーフィーのような人間の気持ちが、対比として鮮やかだ。「人の気持ちを考えたことがありますか?」とひたすら問いかけられているようだ。倫理ってこういうところにあるのかもしれない。

この映画を観て、マーフィーに同情しながらも、もっと人間であることを大事に生きていこうと、利益ばかりを追求して他人を陥れるのは良くないと、「正しく生きる」ことの重要ささえ感じてしまう。マーフィーは決して幸せではないどころか、悲しい過去を持つ男となり、死ぬことも許されなくなってしまったのだ。

そんな壮大なテーマがありながら、ディテールはSFファンが好きそうな丁寧なメカ描写、丁寧な効果音や動き、独特のギミックがあってSFとして観ていて楽しい。ロボコップのデザインが、少しダサめなのが逆にリアルなのだ。実際にロボの警官をつくったらこんな感じになるだろうという、あまりかっこよくないのがリアルなのだ。

また、会社の人が絶賛していたED209のストップモーションはたしかに良かった。CGはどうしても、実際の金属の重さなどが嘘臭くなりがちで、動きがなめらかになりすぎる。コマ撮り特有のカクツキが、逆にメカ感を出している。また、前にも書いたけど昔の映画はCGを使わない代わりに、照明が偽物ではないので、自然に空気に溶け込むというリアリティが望めるのがいいところだと思う。

ED209に関しては、階段が降りられないシーンがとても秀逸だと思った。階段を無理に降りようとして、転がり落ちてじたばたするところなど、撮影大変だったろうなあと想像する。

また言わずもがな、マーフィーの俳優のメカっぽい動きが上手い。この俳優さんのお顔がとても印象に残る。どことなく人間を超越したメカっぽさがあるんだけど、それと同時にいじめられそうな純粋さも感じる。いい俳優さんだなと思う。