2022年5月28日土曜日

GOTHAM シーズン1見終わりましたのでまとめ(ちょっとシーズン2も入ってる感想)

このドラマ、なんだかんだ面白い。

悪役が入れ替わり立ち替わり出てくるだけで、本筋はなんなのだろうと考えていたのだけど、実をいうと

ゴッサムは結局マフィアと警察と市長(政治家)とウエイン産業のバランスで成り立っているらしい

シーズン1の最後で悪党たちの間でひと悶着あり、シーズン2に入るとペンギンがのさばりはじめ、ペンギンとゴードンが協力してバランスをとったりし始める

で、ウエイン産業はどういう立場かというと、ゴッサムの資金源でもあるんだけど、やはりなんかきな臭いことをしている役員がいるらしい。それをかぎつけたブルースがやはり狙われて、アルフレッドがバトルするのがシーズン1。まだブルースは戦うことができないため、ほぼプリンセス状態w

シーズン2に入ると市長のおじさんが出てくるんだけどこの人が「ゴッサムにはヒーローが必要だから」と表向きはヒーローを装うが、結果的に悪いやつで多分ブルースを狙うことになりそう。まだ詳しく語られていないが、どうもウエイン家になにか恨みがありそうだ。

あくまでもゴードンが主人公のはずなんだけど、なんとなく観客側にいるというか、第三者的な立場でものを見ていることが多い。影が薄い。ブルースのほうがはるかに危ない立場にいる。

そのせいか、アルフレッドが強面でめちゃくちゃ強い。英国陸軍特殊部隊、通称SASにいたころの話や同僚も登場する。一回撃たれ、一回刺されとえらいことになって、毎回ぼっちゃんが悲しむのでかわいそう。特に刺された時は「もう家族は彼しかいないのに」とゴードンに泣きついていた。12歳のぼっちゃんまだまだ可愛らしい。

キャラ別に現時点での感想をまとめておきたいと思う。

ブルースぼっちゃん(12歳)

シーズン2になるとすこーしだけ声変わりし始めるけどまだまだかわいい。なにがかわいいってアルフレッドとはよく衝突するんだけど、怪我をするとやはり超心配するし、ピンチのあとはゴードンとアルフレッドによく抱きついて親愛を示している。素直でお人よしで典型的なブルースぼっちゃんかもしれない。

しかし、セリーナとの関係はどうも映画版もそうだったけど素直にいかないというか、セリーナがちょっと怖い。一度派手に嘘をつかれて泣いていたのに、次に会った時はもう許していたんだけど、アルフレッドがとあることを知ってしまい、セリーナにかなりきつく「もう現れるな」と言って追い払っていた。

多分次も誰かに騙されると思う。ぼっちゃんこれじゃあ人間不信になっちまいそうだが、アルフレッドとゴードンはなんだかんだ絶対裏切らないし、ぼっちゃんも喧嘩したら必ず和解しに行っていますね。でも、ぼっちゃんはやはり激情家なところがあるので、時々火山噴火みたいな怒り方をします。

アルフレッド

すっごく面白い。このドラマの目玉キャラかもしれないw強面で目つきが鋭く、体格も結構よくて、声がしわがれていて迫力がある。SAS出身だけあって独特のポーカーフェイスでやり取りをする。英国紳士らしい皮肉な発言も満載。ぼっちゃんのことは絶対裏切らないと思うけど、それ以外の人物に示す警戒心は迫力がある。

だからこそか、ぼっちゃんとのやり取りがたまにコントっぽくなって面白い。

ゴードンのことはすぐに善良な人物と見抜いたのか、「男子を育てたことがない」と苦悩をもらしていた。「今までの任務で一番難しいこと」とも。それだけぼっちゃんのことを大事に思っているということなのかも。

ちなみにめっちゃ戦います。執事の服のままバトルしますw銃も撃てます…。あんまり感情の起伏が見えないが、笑顔がかなり少ないのが気になるところではある。その分信頼できるのかもしれないけど。

そして戦えるのに料理もできて、この人はいったいどれだけ才能豊かなのか。

セリーナに関してはブルースのところに書いたので割愛しますが、ちょっと太ましいかなあ…かわいいっちゃかわいいけど。なんか悪い面が誇張されている気もするんだけど、結局彼女はなんだかんだ犯罪者ですよね。

ゴードン

主人公らしいのだがどうにも影が薄いのが気になる。綺麗めなおじさんという感じ。

ハービー・ブロック

個人的にはこっちの方が好き。ゴードンの相棒だが皮肉屋で暴力的な尋問をするのでどうかと思っていたんだけど、独特の人間味があってどうにも嫌いになれない。ゴードンが教科書みたいな善人すぎて、ゴッサムに合わないのかもしれないwあと、RDR2のアーサーに似てるからかなあ。

エドワード・ニグマ

のちのリドラーである。実はシーズン1ですでに殺人を犯しているのだが、なんと検死官として証拠を隠滅してしまった。でもそろそろリドラーに覚醒すると思う…。もう時間の問題。動機はオフィスラブなんだけど、一回失敗したかと思いきやまた意中の女性と急接近し、殺人犯なの絶対いつかバレるって!と思いながらハラハラしている。

あと正直、意中の女性も結構気がコロコロ変わるので、ニグマさんは半分遊ばれていると思うし目を覚ましてほしい。明らかに警察署内でひとりだけ狂気の笑顔を浮かべているので、周りもきづいてほしいね…。

ペンギン

こいつは本当にすごい。細いし、戦闘能力が高いわけでもなく、例によって脚をひきずっているのでペンギンと呼ばれている。一見雑魚キャラなのに、なぜかあの手この手で生き残ってしまい、今やゴッサムの悪党の首領みたいになっている。まあ、なんだかんだ頭がいいのかな。あと顔も綺麗で画面映えする。

だけど首領になったらなったで、ペンギンが変な気を起こさないように、ゴードンが見張る必要性が出てきててちょっと面倒なことに。

マザコン設定がよくも悪くも効いてるんですよね…人間味を出しつつも、母をだしに使われることもあって、怖い。怒ると結構やばいので。映画とは全然違ってて結構やばい人だと思う。このドラマシリーズの核となるキャラクターと思われる。

バーバラとリー

このふたりがいまいちよくわからない。

バーバラはゴードンの元カノで、途中で気が狂ってしまい、次の彼女は「リー」なんだけど、結局リーが本命ってことなんだろうか。

バーバラの気の狂い方が、こうなることがわかっていたとでも言いたいくらい予定調和になっていてどうも戻りそうにないんですよね。ふるまいは完全に「ハーレイ・クイン」みたいになっていて、ハーレイポジションなのかと途中まで思っていた。

でもジョーカーみたいな青年が出てきたと思ったら、殺されちゃいました。バーバラとはいったい何者なのか…。あと、ゴードンを取られたとずっと思ってるらしいのだが、その辺もなんだかよくわからない(彼女から出て行ったシーンもあるので)。メンヘラであることは確かなようだ。

ジョーカーとは??

明らかにジョーカーポジションの青年が出てきたと思ったら殺され、終わったのかと思ったら、なんと。あの「高笑い」が周りに伝染し、ジョーカーっぽい人が増えていくという展開でした。むー。

伝染病だったのかジョーカーww社会…現象???

トーマス・ウェインが謎すぎる

シーズン1で一番驚いたのが「父さんには秘密があった。いつも、夜に書斎に鍵をかけてなにかやってた」とブルースが言い始め、ぼっちゃんは一度言い出したら聞かないのでアルフレッドに手伝わせて書斎を捜索したところ、地下室へのボタンを発見w

なんだそりゃあ、巨人の秘密でも書いてあるんじゃね!こっわ!

この地下室はシーズン2で強引に開かれますが、やはりトーマスがなにか怪しげなことをしていました。でも別に巨人の秘密とか、黒魔術とかではありません。

おそらくですが、バットマンにつながるようなことをしていたのだと思います。

ですが、アルフレッドがどうしても止めたくてPCをぶっ壊したので、現在修理中ですw 

このトーマスが裏で色々調査をしていたものを、ブルースが引き継ぐのであれば、すごくバットマン的に納得がいく展開ではありますね。

ただね、このシーンはね、ミステリーとかじゃないし進撃の巨人とも路線がまったく異なっていた。私はブルースぼっちゃんと涙ぐんだ。

トーマスは本当に本当にブルースのことを愛していて、すっごく大事に思っていて、その愛がトーマスの「この世をもっと良いものにしたい」「自分はもっと良い人間になりたい」という気持ちを動かしていった。その残骸だったのです。そして、自分が「本来は足を踏み入れてはいけない領域」で危険に巻き込まれて死んだときのことを想定した手紙が置いてあった。

もうそれだけで、いろいろ補完されたし、ぼっちゃんも救われたと思います。ただ強盗にやられちゃったのなら本当に無念なだけだけど、もし、ブルースとゴッサムを守るためにやられたんだったら、とても意義があっただろうなと。


ペンギンとニグマ以外のヴィランがいまいち魅力に欠けたりはするんだけど、入れ替わり立ち替わりの悪役たちもストーリー展開的には面白いものがあり、飽きさせないです。でも一番面白いのはやっぱりブルースとアルフレッドのやり取りや、ブルースがいかにトラウマから少しずつ立ち直って、成長していくかというところですね。

ブルースはやっとトレーニングを開始したところで、「やっぱり戦いたい」という意志がすでに見えています。でも最初は学校でいじめられたりして大変そうでした。ぼっちゃん。

2022年5月27日金曜日

「ライトハウス」を観ました

ロバート・エガース監督について

この監督の映画は「ウイッチ」だけを観たことがありまして、実はこのブログに感想を書いていない映画のひとつです。 書こうかなと思ってもそこまで思考がまとまらなかったり、衝動が足りなかったりすると書かなかったりします。

この「ウイッチ」をロバート・パティンソン君が観て、非常に気に入ってエガース監督に直に話をしにいったといいます。パティンソン君は、この時期しばらくそういったことを繰り返していて、気に入った映画があると直接監督に話をしにいって、次回作に出させてもらえないかとか、一緒に映画を作りたいと持ち掛けていたようです。意外とアグレッシブですよね。いいと思いますけど。放っておいたら彼にくるオファーはキラキライケメン映画ばっかりになっちゃいそうな気もするので。 

ウイッチの感想を少し書くと、この映画は「家族」をテーマにしており、少しヘレディタリーと似たところがあります。家族の構成が父、母、長女、弟、双子、そして乳飲み子なのですが、少しずつ崩壊していきます。そしてなんだかんだ長女の所為にされ、「魔女だ」と言われて追い詰められていきます。

実際に魔女がちらっ!って現れるあたりが、ホラー映画なんですけど。この映画、私は長女なのでめっちゃ女の子(アニャ・テイラー=ジョイ)に同情したんですけど。

でもこれパティンソン君が観たら、弟くんに感情移入するのかな?と感じました。みんなどう鑑賞するんだろう?と。

長女からすると、年頃になって父親がいやらしい視線を向けてくるのも、初潮を迎えたのに母親が喜ばないどころか嫌そうにするところとか、もう経験済みなのでw まあどいつもこいつもって感じの映画ですねー。人間関係から派生するホラー映画。

 

「ライトハウス」とは

そしてある日この映画がプライムビデオにあるのを見つけて、速攻観に行きました。少しマイナーな映画でなかなか配信される気配がなかったので嬉しかったです。

この映画も人間関係から派生するホラー映画ですね。ウイッチと似ているところもあり、クローズドな環境、今回はなんと島と灯台しかないので、嵐が来ると陸に戻るのも阻まれ、灯台守ふたりで過ごさねばなりません。

主人公はパティンソン君演じる「ウインズロー」という新人の青年。

そして相手はなんとウイレム・デフォー演じるベテランの「トーマス」さんです。 

この時点で観る前から嫌な予感がぷんぷんしますがw

案の定そりの合わないふたりで、ウインズローは真面目にやっているのですが、トーマスに癖がありすぎて常識人ではちょっと我慢するのが大変な感じの相手です。女性でいうところの「お局」感がすごい。弊社にもいますけどね!!!(私がいた3年間でディレクターがひとり辞め、次に雇った助手も辞め、同時に入ってきた事務の子も辞め、今助手2代めですがどうなることやら…)

パワハラと言っていいのかわからないんですが、なにかと理由をつけて仕事をハードモードにしたり、すっごく厳しく批判してくるタイプの人。そして本人は仕事が雑でミスが多い。

さてこの映画ですが、ひたすらパワハラのようなことをされ続け、ウインズローが少しずつ気が狂っていくのですが、ちょっと長いような気もします。なんといっても2人だけなので…。だけど、テンポが悪いかっていうとそうでもなく。

しかも殺意が見え隠れするのに、ギリギリまでどちらも死なないのは、まるでドントブリーズのようでしたwウインズローは本当は殺す気がないのはわかっているし、トーマスはそもそも何を考えているのかさっぱり、さっぱりわかりませんでした…。

人間関係の描写は結構面白かったですが、とにかくトーマスの性格がわかりにくかったです。哲学的で嘘くさいのにちょっと本質ついてたりするし。 

まあ、ウイレム・デフォーはいつも凄いですけど、今回特に思ったのは、彼、いろんな映画で「完璧な善人」と「超ヴィラン」の両方をやっているのですが、それが、割と今回交互に出てきたりして、まじでどっちなのかよくわからないんですよ。多分ウインズローはそれにイラついているんだと思います。

 

トーマスで好きなシーン

「でも俺の料理したロブスター美味しかったでしょ?あれ好きだったでしょ??(´・ω・`)」って言ってるシーンです。突然いい子になって、突然かわいくなるんですよ…なんだこいつ。ずるすぎじゃない?ウインズローは最初「年寄りの母ちゃんみたいなこと言うな」って怒ってたのに「わかったよ美味しかったよ……」ってなるし、やっぱり相当振り回されてたと思います。

ウインズローで好きなシーン

やっぱりあれですね。トーマスが突然本質をついてくるシーン。↓ちょっと意訳(うろ覚えのため)

「お前は綺麗な顔で産まれて、何不自由なく育ったのにそれでも銀の匙を欲しがるんだな。無口でミステリアスを気取ってるがお前にはなんにもミステリーなんか無いんだよ!

すごいセリフだなと思いました。これは痛いですね。私このシーンで初めて本当に泣くパティンソン君を観て、やっぱささるのかなあと思いました。 (泣いてるのはかわいかったですけど…w)

このウインズローって男は、確かに雑な生き方をしているしお金目当てでこの仕事を選んでいるけれど、彼の言っている「人にあまり関わらないで静かに暮らしていきたい」というのは間違っていないと思います。

おそらく灯台守なんか選んだのが失敗だったのでしょう。

最終的に彼は灯台の明かりに執着するようになりますが、最初からそれが目当てとは思えないです。

 

割とブルース・ウエインにつながっていくようなシーンは多かった

雨に濡れてうつむいているシーンとか、やたら汚れたり時々すっごい暴れたりするシーンなどを見ていると、ザ・バットマンにつながるようなパティンソン君の破片は観れたのかなと思っています。

ウインズローはああ見えて結構忍耐強いので、ギリギリのところで暴力やめたりするタイプなので。 

しかもトーマスにも「陰気」と言われているので、やはり陰キャだと思いますw多分根はそんなに悪い子じゃないけど、なんかネガティブで常に疑り深いんですよね…。


基本的にはトーマスがよくなかったと思うものの、どちらかというと灯台そのものに魔力があるのかなって感じがどうしてもしました。この辺は、一部ウインズローの幻覚でもあるような気もしますし、エガース監督はファンタジーを織り交ぜてくる人だと思います。

 

テーマとしてはどの辺の話なのかっていうとやっぱり仕事?と生き方?

これは転職魔の私だからはっきりと言えることですが、社内にふたりしかいないような職場は極力やめたほうがいいです。この映画は極端ですが、同性だろうが異性だろうが何かしらトラブルが起きるのは間違いないと思います。 30人でも社長が私に執着した結果(セクハラではなかったのですが)、3か月で辞めざるをえなかったことがあります。ある意味トーマスよりひどいキャラの社長で……。

ウインズローは私とも似たような性格なんだろうなと思うんですけど、人となかなかうまくやれないので、ああいう支配的なキャラと密着して仕事するとイライラしちゃってそれが上司に伝わってろくなことにならんのですよ。

ウインズローは現代的なキャラクターなので、現代っ子の働き方を揶揄しているともとれる内容でもあり、単にこういうパワハラな上司をホラー映画化したとも言えるかもしれない。(私はパワハラされてた時のあの恐怖をまざまざと思い出せますので…)

色々、心理テストとかもやってみたのですが、私は物理的な距離を置いたほうがうまくいくので、次はリモートワークがいいなと思いますw


2022年5月22日日曜日

「流浪の月」観てきました

とても良い映画でした、ポン・ジュノ監督が嫉妬した!とおっしゃってたそうですが、わかる気がします!登場人物の心理状態が結構グロくて、みんなそれぞれに泣いたりわめいたり、傷つけあったりするところがポンジュノ監督好きそう~!

画面も暗いシーンが多いとも言えますが、主人公が大切にしている空間「誰もが優しくて誰も傷つかない空間」ではサンキャッチャーがきらめき、ウインドチャイムが鳴り、カーテンがはためくなど、日本映画にしては美しいものが見れたなと思います。

先に映像の話をすれば、私は松坂くんが演じる「文」が水の中に入っていって、仰向けになって月を眺めるシーンがとても美しいと思いました。青と黒だけの動画が撮れるもんなんだ!と驚きながら観ていました。アンティーク店とその上にあるカフェなどの舞台も完璧で、特に松坂くんがカフェのコーヒーを作っている場面はすべてが美しいです。 

そもそもこの映画を観ようと決めたのは、やはり予告編で、松坂くんが全力で陰キャをやるのに観ない理由が無い!と思ったのと、相手役が広瀬すずちゃんだった時点でもう完璧だなと思いました。

広瀬すずちゃんも少し病んだ発言が多くて前から好きなのですが、ハマるきっかけになったのは「怪盗探偵山猫」っていう謎のドラマでした。このドラマですずちゃんは超がつくほどのけだるいツンデレ美少女をやっていたのですが、ハキハキしたキャラではなくやはりどっか病んでいていい感じでした。 

あらすじは公開されているレベルで書くと、主人公の佐伯文(松坂桃李)が更紗(のちの広瀬すず)が雨に濡れているのを見て自宅に招いたところ、居座ってしまい、誘拐として逮捕されてしまうことが発端になっています。舞台はその15年後。更紗には婚約者がいますが、ひょんなことから文を見つけてしまい、そこから平和だったはずの日常が音を立てて崩れていきます。

ここで問題なのは、 更紗が「誘拐された」時、更紗は家に帰りたがらなかったこと。そして文をとても気に入り、文のそばにいたがったことなのです。

このあらすじも私はぐっと引き寄せられるものがありました。
世間的に悪とみなされるものが本当に悪なのか?という疑問ですね。

法律上では誘拐犯とされ、世間的にはロリコン犯罪者とされる文。

ですが、このキャラクターがとてもいい。

文自身も大きな傷の持ち主であるからか、とても優しく、ロリコンと呼ばれていますが私に言わせれば、父性のかたまりであり、相手をいたわること、同情すること、味方になり意志を尊重することなど、 子育てに必要なものはすべて備わっているような気がします。彼のそばにいる女性や女児はみんな安心して居座りたがるのです。

本当の優しさというのは相手が嫌がることをしないことです。

更紗の婚約相手は支配欲が強く、何かを体を求めてきますが、それはどうも愛情からではないように思えます。

BANANA FISHという漫画で、アッシュがエイジを信頼する理由は「見返りを求めないから」だと言いますが、それに似たようなものが、文にはありました。

とある理由から文は自分自身の存在に苦しみ自信がないため、普段は静かすぎるくらい静かで、表情もあまりなく、淡々と家事やコーヒーショップの仕事をこなしますが、それが実に人として美しいなあと思いました。何しろ部屋がちらかってないしシャツに丁寧にアイロンをかけるし、根は本当にまじめなんだと思います。

更紗の婚約相手が実に対照的で、常に何かしら相手からリアクションを求める、しゃべりすぎる、いちいち激昂するなど非常にうざく感じます。

文の信念は、誘拐犯として逮捕される直前に言うあのセリフであり、その時の手のぬくもりと握られた強さを、更紗は信じてなんとか生きてこれた。それが私は一番深く感動しました。

更紗は周りにガンガン振り回され、現在も婚約者にひどく束縛されている。ひとりでは生きていけないから仕方がないという。

まるで現代の日本を象徴しているかのような発言です。

私は、この映画は女性向けだろうなと感じました。男性に子供の時からいいように振り回されてきて、ほとほと疲れた人たちへ、文の言葉は染み渡ると思います。

あなたの人生は、あなたのものだと。


そして、松坂桃李くんはいろんな映画に出てすごいなって思いますが、今回もその演技力がすごいなって本当に思いました、特に、最後らへんでついにキレるところとか、ぶるぶる震えてるところとか、ひとりであそこまで感情を高めるのはすごいことだと思います。文は普段は本当におとなしいので、ギャップが凄まじかったです。あと役作りだと思うけどものすごい痩せてて心配になるくらいでした。

2022年はイケメン陰キャが豊作すぎて私はフィーバー状態でございます……ありがとう!!!

 

2022年5月15日日曜日

「シン・ウルトラマン」観てきました

初日や今日見たツイッターで比較的不穏なコメントが流れてきて、欠点はなんとなくわかった状態で観にいきました。その点についてはのちほど言及します。

ウルトラマンの知識ですが、私の場合バットマンよりひどい状態ですwほとんど覚えていないというか、流しっぱなしのTVでたまに見るくらいですかね。なんか宇宙のどっかにお母さんとかいるって話を聞いたことがあるくらい。私ね、スーパーマンもそうなんだけど、宇宙の力借りすぎてるの苦手なんですよね。なんでもできるような気がしちゃうから。

映画としては全体的に面白いのですが、シン・ゴジラほどの熱量は感じませんでした。

以下ネタバレを極力避けてざっくり感想を書きます。

シン・ゴジラほどの傑作ではないと思う理由

 

・禍特対の存在感がなにやら希薄でキャラクターの個性が薄まっている

ビジュアルは極端によくなったが個性が薄くなっている。尾頭ヒロミのような強烈な個性を持つ女性キャラがいない。また年齢層も比較的若く、汚いおじさんたちの活躍が政治だけというのは…。メガネの女性なんて名前すら覚えてない。オタク青年がかわいすぎてオタクっぽくない…。

また、神永が割と序盤からほとんどデスクにいない。ついでにいうとだんだん人がいなくなるw

次々とハプニングが起きて感情移入できるほどの絆を築く時間がないように感じられる。

理由は、戦う対象がコロコロ変わるからというのがひとつ

シン・ゴジラの成功は、「ゴジラ」という怪獣一体に集中できたところにあると思う。ゴジラだけを研究すればよかったので、徹夜でがんばる甲斐があったものだ。仕事としても、チームとしても、達成感が大きい。

禍特対は、次から次へと戦う対象が変わる上に中の人たちがいなくなったりするので、もっと喧嘩になってもいいくらいだ。チーム崩壊しないのが逆に奇跡だ。

全体的にストーリーが分断されて間延びする理由も、コロコロと相手が変わるところにあると思う。

・もうひとつの理由は、戦う対象があまりにも宇宙的すぎるから

 ゴジラもSF的なところがあるけど、ウルトラマン自体が宇宙人ということでそもそも全体的に意味不明な感じになってしまっている。なんでもありになってしまう。宇宙人と宇宙人が地球を踏み荒らして戦ってるのをハラハラしながら見ているような感じになってしまう。

正直禍特対が何ができるんじゃ、って思ってしまって感情移入しにくい。また、シン・ゴジラに比べると最終作戦の詳細な工程を省略しており、観客に達成感を感じさせる描写にはなっていない。そこはもうちょっと時間を使ってもよかったのでは。ただ、物理学が入ってくるのでやめたのかもしれんが………。せめて図解するとか?

 

でも、以下の点は面白かった

脚本の出来は良いんじゃないかと思う。ウルトラマンがなぜ地球の人間なのか?には壮大なからくりがあると思った。そこはもっと掘り下げてもよかったのかもしれない。ただ、一番最初にウルトラマンが来た理由はちょっとよくわからんかった。

喋る宇宙人とのやりとりも全体的に用意周到で面白くて、どうなるのかなっていうのは楽しみでした。 ただの怪獣映画ではないところが。

宇宙人と聞いて飛びつくアメリカ。これは笑ってしまうよね。 そして米国より早く宇宙のテクノロジーを手にいれないとと焦る日本政府。この辺の国際政治は大人じゃないと頭に入ってこないだろうけど、大人から見ると非常に面白いものがある。

「ウルトラマン」神永のキャラはとても良い。単純に私好みってだけかもしれないけど、単独行動が好きで朴訥で何考えてんだかよくわからず、寡黙で不愛想なイケメン。でも率先して子供を助けにいくので悪いやつではないだろうしおそらく優しいのだろう。

彼の人格はもっと掘り下げてもよかったのかもしれない。 

正直ザ・バットマンのブルース・ウエインにめっちゃかぶる感じがしたけど、どのみち両方好きです。はいwホイホイされていきます。しかも大半はスーツ姿でとても素敵でした!!!

 

セクハラ事案について

ツイッターであれはセクハラだ!と言われていた事案についてですが、まあセクハラだとは思いますね……でも最初から嫌な予感はしていました。長澤まさみさんのキャラクター。

もうさ、タイトスカートのスーツ萌えはやめたほうがいいんだよな。

私はスーツ大好きだし、男女ともにスーツいいと思いますよ。でも葬式用の礼服以外は全部パンツです。ストッキングが嫌いなので。パンプスは最近自分にぴったりのものを見つけて靴擦れもなく履いてしっかり歩けるようになって、靴ってのは値段もあるけどやっぱり相性だなと思っています。でもタイトスカートの下に肌色ストッキングは嫌かなあ。

男性視聴者へのファンサービスだとは思うんですよ。

例えば、ザ・バットマンだと特に必要ないのにブルースが上半身裸なシーンあるじゃないですか。私はあれ、余計だなと思ったんですけど。でも女性客で普通に喜んでる人もいましたからね。いや、男はスーツっしょ。スーツの胸のあたりが胸筋でパンパンになってるのを見て「鍛えてるんだな…」って感動するんじゃないですかね。ゼレンスキーのTシャツはどうなんだよって言ってる人いたけど腕とか胸筋のあたりパンパンなので、首相自らが鍛えてるんだと思うと感激ですよ。

そりゃ長澤まさみさんの脚はものすごい綺麗だけれど、ビジネススーツのタイトスカートから見る、という方向性がセクハラなんですよね…………。。。。

それさえなければ、だいぶいいと思うんだけどなあ。

もちろん、浅見が写真や動画撮られて怒ってるシーンもあったけど、怒り方が弱いし可愛すぎる。そういう演技指導だったんだろうな、と思うとテンション下がりますね。ジャパンって感じ。

尻の件については、これは余計かなと思いました。別に尻じゃなくてよくないか。日本はジェスチャーが少なすぎるのか。背中バーン!とかでいいんじゃないのかな。例えば米軍SEALsとかなら「ウーラー!」っていう掛け声があるけどそういうのでよかったんじゃないかな。

多分尻をいちいち見せてると海外ではバカ扱いされそうな気がします。まあ、ギャグとして入れてるのかもしれないけど、いまいち笑えなかったなあ。

 

国際的な観点から見たら、やはりゴジラの方が先に海外ウケしてるから、っていうのもあってコンテンツとしては成功してますよね。 

ウルトラマンはどうかなあ。これは前から思っていたけどデザインが独特なのでちょっとわからないですね。戦い方も奇妙だし…。古代文明の巨人ですか?って聞かれそうな感じがします。私はウルトラマンの歴史は全然わかってないので、裏に色々あるんだろうけど。

ただ、タイトルは一切英訳しなくてもまあ伝わると思うので最初に命名した人は功績大きいですよね!


2022年5月9日月曜日

GOTHAM/ゴッサム っていうドラマを観始めました

ネットフリックスでリコメンドにしょっちゅう出てきて興味本位であらすじ読んだらいい感じだったので観始めたのですが、結構面白いです。

特にザ・バットマン観たあとだと色々と…。過去の若いペンギン(すっごいスリムw)、リドラーな警官(このドラマでは警官役らしい。喋り方でわかってしまった…)、ファルコーネ(ファルコン)とマローニも出てきます。

しかし私はブルースとアルフレッドの関係性が萌えなんですよね。

両親が殺害された事件から始まるドラマですが、最初にアルフレッドが出てきた時は飛びついていったので萌え~!ってなりましたが、そのあとはやはり引きこもったりヘヴィメタ聴きながらやばそうな絵を描いてたりと病み具合が見てとれます。このドラマの主人公はなんと「ゴードン」なので、事件を通してゴードンと知り合い、しょっちゅうウェイン家に呼ぶことになります。

ブルースは自分の事件の犯人を捜すのにゴードンが協力的であることを見抜き、アルフレッドには反抗しても、ゴードンには信頼を寄せるようになります。それにやっぱりゴードンは唯一といっていいほどまともなキャラクターですし。

トーマスの方針によると、心理的カウンセリングは受けさせない、ブルースの好きなように生きさせてやれとのことで、アルフレッドは基本的にはブルースのやりたいようにやらせますが、案の定食事をちゃんととらなかったり、ほとんど寝なかったりと、アルフレッドが心配するようなことばかり。剣術の稽古は楽しそうに付き合ってくれましたが、散歩の提案はやんわりとお断りされました…。

登場時は厳格でビシっとした執事なのに、ブルースぼっちゃんの自由で頑固な意志の強さに、ちょっぴりしょんぼりし始めている、エプロン姿のアルフレッドの所在なさが可愛くてたまりません…。 しかも今回はアンディサーキスに比べるともっと渋いおじさんなのでギャップがすごいですね。

今回のブルースは完全に探偵の才能を開花させ始めていて、膨大な資料を毎日読み漁り、ボードに重要なものをピン止めしていきます。10歳だったと思うんだけどもwww

そしてトーマスたちが残したゴッサムを救うプロジェクトの交流会みたいなのにも積極的に出向き、代表と直接はきはき話したりします。コミュ障ではないらしい…。

このドラマ結構長いんですけど、最終的にはバットマンという発想に行きつくと思うので、ダラダラしながらも見続けておきたいなあと思っています。

 

それにしてもだよ。毎回毎回、よくもそんなに犯罪が起きるな?というくらい犯罪ネタの宝庫なゴッサムシティ。しかも、どうやらリドラー似の警官も最終的にはリドラーになるっぽいじゃないですか…。まあ、なぞなぞ好きすぎてすっごい同僚に迷惑かけてるんですけどね。

全員がそうとは限らないが、「奇人変人」と呼ばれている一般人がヴィランに覚醒しやすいみたいですね。ゴッサムは。「ジョーカー」もそういう話だったもんな…。 

トーマスの残したゴッサムシティ再生計画みたいなのは、ザ・バットマン観たあとだとああこういうことやりたかったんだろうな?と結構ディテールが細かく描写されているので掘り下げには最高ですね。ウェイン産業が残したプロモーションビデオみたいなのも流れています。

10歳にしてどうもマフィアたちがきな臭いことをしていると勘づきアルフレッドにどんどん質問するぼっちゃん強すぎる。


あとキャットウーマンの前身である「キャット」という女の子が出てきますが、彼女もなかなか可愛らしいです。どっちかっていうとホームレス女子なので、ラットキャッチャー2を元気にした感じですかね。

映像は少し雑なところが見受けられますが、やはりアメリカのドラマは強いなと思いました。普通に名探偵コナンみたいな面白さがあります。


2022年5月6日金曜日

「パワー・オブ・ザ・ドッグ」観ました

アカデミー賞受賞作品ということで、一応観とくか、くらいの気持ちで観たのですがなんかじわじわくる作品で、初見だと「なに?!」ってなるので2回目流すように見て、自己流の解釈を持つようになりました。

この映画は観る人によっていろいろと解釈が変わるのではないかと思います。共感のポイントなどがどこに来るか。

様々な要素が入っており、人によって感想が異なることでしょう。そういう点ではすごい作品だと思います。複雑に織りなすそれぞれの登場人物の心理描写が、一枚の織物のように仕上がってくる繊細さ。

映像も美しいですが、私は音楽のほうを高く評価したいと思います。

ストリングスなのですがこの作品の持つ微妙で繊細な心理描写を盛り上げています。メロディもなく、ただ不穏感がすごい。なんでこんなに不安になる音楽にするのか?と思っていましたが、だんだんと、ラストに向けてローズが荒れていくのを見ると、やはり合っているなと思いました。

そして、静かに事件は起きる。

(以降少しネタバレします)

 

 

これ皆さんはどう捉えたんでしょう。私、最初は偶然起きた事故だと思っていたんですけど……

2回目見たらなんとなく確信してしまいました。おそらくピーターはわかっていてこの事件を起こしたのでしょう。偶然に見せかけて。

2回目で、最初のナレーションがピーターであることを再認識する。

そしてピーターがどういう人格かは、それぞれのエピソードを積み上げていけばわかりますよね。

ピーターは一見優しい繊細な少年に見えますが、とらえたうさぎをかわいがるのかと思ったら、病理解剖の練習に使ってしまいます。ここでも驚きますが、次にとらえたウサギがけがをしていたので、フィルが楽にしてやれ、というと平気な顔して首折っちゃいますよね。ここでもちょっとこいつやばいなと思います。

極めつけが、「父は僕のことを優しくない、強すぎると言った」という言葉。2回目見るとそうかもしれない!!と確信が強くなります。

ピーターが母を愛しているのは本当だと思います。

それらをつなぎあわせると、偶然に見せかけた事故を起こす動機にもつながります。母親の障害をとりのぞいたんですよね。

 

なので、感動のストーリーとかではなくて、ミステリーなんじゃないかなと思いました。

フィルに同情するかは難しいところです。よいキャラクターですが、女性や弱い者をいじめるのはやはりよろしくありません。幸せな人たちの邪魔ばかりして、よほど孤独にさいなまれていたのでしょう。その点では確かにかわいそうなのですが……。

これをジェンダー問題として、ホモソーシャル問題として捉えると現代の男性のもつ苦しみを痛いほど味わうこともできます。彼が弟夫婦の関係に嫉妬し、ローズにつらくあたる理由も。

まあそういう観点からも、いろんな角度で味わえる作品だと思います。好きとは言わないし、サスペンスならもっと面白いわかりやすい映画がたくさんありますが、この「じわじわくる感じ」は秀逸だなあと思った作品でした。

 

2022年5月5日木曜日

「グッド・タイム」を観ました

GWは先に旅行を終わらせてしまったので(ストレス倍増生活を送っていたので連休開始とともに旅立ったw)、後半少し暇になってきたのでネットフリックスに舞い戻ってまいりました。

理由としてはあまりにもAmazon Prime Videoが遅いから!iPadだとストリーミングが不可能なレベルになってきていて、ちょっと困った感じです。抜けるべきか否か…。5月末の「オビワンケノービ」もやっぱり観たいとなると、サブスク倍増してしまうので、困ったもんですね。

「グッド・タイム」という映画は、マット・リーヴス監督がパティンソン君をバットマンに起用しようと確信したという映画だといいます。

貧困層で暮らす主人公のコニーには愛する弟がいますが、知的障害があってカウンセリングを受けていて、コニーはそれが気に入らず、強引に連れ出してふたりで暮らそうと計画します。 

そしてお金がないので銀行強盗をしますが、銀行の受付が通報したため、お金は手に入ったものの、結局足りなかったり、警察に付け回され、弟は逃亡の途中で捕まってしまい、それをひたすら取り戻そうとする兄(パティンソン君)の話です。

大きな主題としては、「虐待」があると思います。

弟はどうやら、話の端々をつなぎあわせると祖母から言葉とか、鍋かなんかで暴力を受けていたことが示唆されます。なので、兄は祖母のことはいいからと説き伏せて、ふたりで逃げようと画策するのです。

また、適当に逃げ込んだ家庭では、そこのお母さんが結構娘にきつく当たっており、娘さんはコニーに興味を持ち一緒に逃亡します。

その娘さんと観ていたTVでも、動物虐待のニュースが流れます。

コニーは弟のためにありとあらゆる犯罪を犯し、自分の見た目のよさや生来の性格のよさを利用し、他人を巻き込み、傷つけたりひどい場合は死なせてしまうこともあります。

しかし、なんとも複雑な状況であり、どうしてもコニーに同情せざるを得ないところはあります。

すべては貧困が原因であり、もしコニーの家にお金があればもっとマシな生活が送れていただろうし、コニーは観ているほうがびっくりするほど機転が利きます。きっと大学まで出てきちんと勉強すればいい仕事にも就けたのではないかと思います。

みどころとしては「コニー」という魅力的なキャラクターが、次から次へと迫りくる危機をどう乗り越えて、あるのかないのかわからない希望をがむしゃらに求めていくその過程だと思います。追われている分テンポもかなり速いですし、うっかり巻き込んだ他の人物も結構面白い。結局はコニーに利用されますがw


コニーが魅力的に映るのは、別に他人を殺したいとか暴力ふるいたいとかではなく、ただ弟と一緒にいたいだけ、というところだと思います。そして非常に頭がいい。けれど気がかなり短いので、今すぐなんとかしたいという思いばかりで無茶なことに首を突っ込んでいきます。

でもそれ以外だと、女性にも普通に優しいし(利用していても、故意に傷つけるとかはない)、言葉遣いも悪くない(感謝の言葉が多い)し、犬と戯れているシーンは普通にかわいいと思いました。しかも誰かを巻き込むたびに、それなりにしんどそうな顔するので、本当は巻き込みたくないんだろうなっていう、善人の部分がうかがえます。彼は、犯罪者になりたいわけでも、クズになりたいわけでもないんですよね…。

ロバート・パティンソンを起用して正解だったのは、コニーの純粋さがはっきりと画面に映し出されていたところです。パティンソン君の透明感というのは、役柄によってもちろん異なってきますが、コニーに関しては遺憾なく発揮されていたと感じます。特に長いラストシーンで茫然としているコニーをひたすら映し出すシーンでは、とても瞳が綺麗でした。 

そしてなんだかんだコニーが悪人になりたいわけではないが悪事に仕方なく手をそめる感じが、パティンソン君のもつ消せない「王子様気質」と合致していたと思います。


問題は弟の心理状態ですが、知的障害をわずらうため、果たしてお兄ちゃんと一緒で楽しいのかどうかよくわかりませんでした。

パティンソン君のインタビューの発言では、「愛しているからといってただ一方的に愛を振りまくのは違うよね」ってことだったので、弟くんはそんなにお兄ちゃんと一緒がいいわけでもないのかもしれないというところが、ちょっと悲しいのですよね。

この複雑さが、観たあと色々と考えさせられるし、やっぱりコニーにはちょっと同情してしまいます。頭いいのにもったいないとか思うけど。しかも「恋人」ということになっている女性も、自分のことばっか考えてるタイプの人で、コニーは誰にも愛されていないという渇望みたいなものを抱えているのかもしれません。 

この「ひとりよがりな正義」はザ・バットマンの主題歌に選ばれた「Something in the Way」を思い出しますね。自分の考えていることややっていることは正しい、正しいはずなんだ、と繰り返し思い続けるけれど、賛同者がいない孤独。