アマプラには「ライト/オフ」というホラー映画があり、こちらはチープでわかりやすいのだが、ライトをつければ幽霊を近づけられないという主旨から考えても、アランウェイクに比べるとつまらなかった。(が、ホラーとしては見れる感じ)
それとそっくりのタイトルで来ちゃったものだから、また似たようなホラー映画なのかなと思って観てみたらとんでもなかった。
かなり精巧にできたサスペンス・推理映画である。
雰囲気的には「ドラゴン・タトゥーの女」を彷彿とさせるような、寒いヨーロッパの地域(今回はドイツ)で繰り広げられる、連続誘拐事件である。
しかしドラゴンタトゥーより、視聴者が推理や推測ができて本格的に楽しめる。(ドラゴン・タトゥーは実際の推理パートを少し飛ばしているような箇所があるからだ)ミスリードも多いし、突如登場する人物がやけに怪しかったりする。
死体からヒントが出てくるあたりなど、「羊たちの沈黙」を彷彿とさせる。
また、登場人物も少しクセがあり、特にリンダは最初に出てくる割には実はそれほどメインのキャラでもない。だが彼女はずっと、ストーカーと化した彼氏が追ってくることに怯えている。かなり終盤まで怯えているのだ。ではなぜそんなキャラクターをメインに据えようとしたのか?
実はこの連続誘拐事件は女性ばかりが誘拐されている。強姦される様をビデオで撮られ、屈辱で自殺するように誘導されるのだ。
日本もそうだが性犯罪は初犯だと刑が甘く、三年で出所すると裁判で言われて父親が激怒しているシーンは他人事とは思えなかった。リンダがストーカーに怯える様は、つまりこの映画は性犯罪の判決への警鐘を鳴らし、刑をもっと重くするべきだと訴えているのではないだろうか。そしてリンダはまるでその元彼を克服するかの如く、誘拐事件を解決するのに奔走する。巻き込まれる形だが、肉体的にも闘うのだ。
犯人はわざわざ死体に仕掛けをして、検死官である主人公に見付けさせるなど、かなり巧妙に主人公を巻き込んでいく。
また、検死官の解剖のシーンはかなりリアルでモザイクは一切かかっていないので注意。遺体は全裸、最初のヒントは頭部にあるため頭部も切開する。
主人公のポールが検死官であることも手伝って、大変頭が良いので、観ていて大変痛快なところもある。
ドイツ人らしい緻密さと知性の光る良作である。
ところでインゴルフって何者だったんだと思います?私どうしても只者と思えなくてですね…
まだ考えてますww