2017年3月6日月曜日

ラ・ラ・ランドのとっても毒舌な感想(批評)

※本映画レビューはネタバレを含みます。
これから映画をご覧になる方はお控えください。








実はこの映画、試写会が当たったので、公開前に見ることができたのですが、「ぜひ感想をSNSでシェアしてくださいね!」と言われ、ものすごい困りましたw
正直、批判しか出てこなかったので……

というわけで、公開から2週間経ったので、私の感想もシェアしていきます。
もう一度言いますがネタバレなのでご注意ください。
あと、かなり批判していますのでこの映画大好きな人も、控えたほうが無難かもしれません。

見終わってすぐに感じたのは「後味が悪い」
だったのですが、ある意味、無難に終わらなかったので印象は残りました。
でもこの印象だったら、無難だったほうがよかったかも……

はっきり言って、なぜ、アカデミー賞なのか、さっぱりわからないと言った感じです。

最近この映画を思い出す度に考えるのは、
この映画は果たして男向けなのか女向けなのか?一体どの層に向けて作っているのか。感性が若い、というのは感じたのですが。

これこそ間違った「女性賛美」なのではないか?
男が犠牲になるのが果たして美しいだろうか?いやそれは無い。悲しいだけだよ。
もし作った男性が「ここまでやれば女受けするかな〜」とか思ってたらとりあえず横っ面はたきたいですね。なめすぎ。

とりあえず「イラっときた」点を整理して書いていこうと思います。


■ミアが節操なさすぎる


セブのピアノを聴いてミアはほぼ一目惚れをするんだけど、その時点で彼女には彼氏がいる。
そのあと、セブと約束をしたのに、彼氏と約束がかぶっていることに後で気づく。お前さ!彼氏のことなんだと思ってんだよ!クズか!この時点でミアのいい加減で節操の無い性格が垣間見える。

彼氏との夕食パーティーに綺麗な格好で行き、(彼女自体は売れない貧乏女優であるw)途中でどうしてもセブに会いたくなり、説明もしないで飛び出す。それ、全然感動しないっていうか、男を適当に扱いすぎw

セブもセブで、「なんで遅くなったんだよ!」と怒りもせず、イチャイチャする。こいつらおバカだな、で済むならいいけど、ラストに向けて、はっきり言ってこの時点でいい加減なのが祟ったんだろうなと思わざるをえない。

そして衝撃のラスト。全然知らない男と家庭を築きあげているミア。何不自由なく豪華なセレブ生活を送り、旦那は異常なまでに優しい。何でも言うことを聞いてくれる。怖い。この女、怖すぎる。

はっきり言って、思い出しても背筋がぞっとする終わり方だった。

ミアは女優だから…で済むかもしれないが、女性というジェンダーの価値を下げているキャラクターだと思う。

■相手の男がいいやつすぎる


ジャズピアニストのセブは、不器用な芸術家肌。偏屈だがこだわりがあって、いい男なんだが、とにかく偏屈なせいで売れない。
だけどこの人、ミアへの愛情は深く、正しい。まっすぐなのだ。
自分の信念を曲げてまで、彼女のためにお金を稼いでくる。おそらく結婚まで考えてのことだろう。ここには泣いた。なのにミアは、気づいているのかいないのか、「あなたあんな音楽やりたいんじゃないでしょ」とズキズキするようなことを言ってくる。

なのにラスト寸前の感動の一コマ。彼は、マネージャーさんから来たオーディションのオファーを実家帰っちゃったミアに伝えに行く。物理的にわざわざ会って伝え、翌日彼女をオーディションにわざわざ車で連れて行く。ここまでやってやる義理が果たしてあるのか、そこは彼の愛である。

なのにあのエンディング…

みんな泣くならセブのために泣こうじゃないか。

■ラブストーリーとしては破綻している


そもそもラストで、この2人が結ばれなければラブストーリーとしては破綻してると思う。要はミアは誰のことも本気で好きではなく、その場その場でなんとなく気に入った男と付き合ってるだけになってしまう。セブこそが本命だと思った矢先にこれである。結局落ち着いたのはスペック高い無難な自分の言いなりになる男だ。

夢を叶える過程でこういう男に出会ったよ。一時的な付き合いだったけどね。という刹那感が最初から出ていればよかったが、どう見ても運命の人としか思えない、お互いの夢を共有し、応援し、高め合っていく理想のパートナーだったはずなのだ。

あの落とし方は実にひどいと思う。そりゃ何でもかんでも手に入るわけはないけれど、逆にリアリティが無い。セブは多分独り身なので、セブの方はリアルな感じはしたけど。

■どこがミュージカルやねん!もうちょっと勉強してこい!!


私は子供のころから母親の影響で数々の世界最高級の名作ミュージカルとディズニー映画に囲まれて育った。
母親は完全にミュージカル・ディズニーオタクなんだけど、クオリティが高いので、それほど嫌悪感は感じず、今でも私のベースになっている部分はあると思う。

だが、そんな歴代のミュージカル名作に比べると、この映画ララランドは「ミュージカル」だと言ってはばからない割に、はっきり言って歌が印象に残らず、感動もあまりなかった。

確かに冒頭で渋滞中に歌い始めたりしますよ?でもさ。
そこで歌う?インド映画見てきたの?インド映画でも、そこでは歌わないんじゃないかな。
歌う時っていうのはなんか強い伝えたいことがある時だよね。なんで渋滞中に?って思うけど、まあそこはいいや。

この映画で印象的な歌うシーンといえば、最後のオーディションの時くらいだ。あそこだけは、演技もメッセージも素晴らしく、深く心に残った。

他のところはほとんど印象に残らない。
印象に残るのは派手な原色のお洋服と壁紙ばかりだ。

ヒロインははっきり言って、歌が下手。高いところが全然出てない。おいおい、ヒロインが高い声で歌えなくてどうするんだよ。

これだとボリウッドには負ける。インド人はネタにされがちだが、はっきり言ってブロードウェイも真っ青の歌唱力とダンス力だ。どっちもキレッキレだしテンションの高さと熱量、そして完璧なコントロール。実はあいつら、世界一のスキルを持ってるんですよ。

アメリカ人ダメッダメじゃねぇかよ。

これでミュージカルだなんて笑わせる。まあ大学生の文化祭レベルだな。ミアの脚の細さだけは認めるけど。


--------------------------


ここまで批判しておいて、それじゃ何が良いんですか?って言われそうなので、私なりの正解をここにおいておきますね。(そしてそっとアフィリエイトを置いていくスタイル)

フランスで数年前に制作された独特のサイレント映画。「アーティスト」って言うんですが、こちらもショービズの話です。ララランドとの違いは、先に男が成功している偉い人で、ヒロインは最初無名の女優というところから始まります。

こちらは見た後もスッキリするし良い映画だと私は思っています。素直な感じですね。あと、男女の力関係が、シーソーのように揺れながらも最後はバランスをとっていく感じが理想的です。


0 件のコメント:

コメントを投稿