2022年8月7日日曜日

ジュラシック・ワールド/新たなる支配者 観てきました

今日映画館に行くべきではなかったなと思う。明日もだけど。

某ワンピース映画の公開日で、たぶん特典目当ての人が押しかけていた。どこもかしこも長蛇の列。チケット受け取り機に、30人くらい並んでいるというありさまだ。博多でこれなんだから、東京だとどうなっているんだろう。 ワンピースにまったく興味がない私にとっては非常に腹立たしい状況となってしまった…。次回からは何が公開されてるのかチェックしてから行きます。

 

ジュラシック・ワールド/新たなる支配者。英語ではDOMINIONとなっている。もちろん英語のタイトルのほうがかっこいい。

さて、某作家が耐えられずに途中で退席したというこの映画。正直あまり期待できないなと思いながらも、映像に期待してドルビー3Dで観た。

映像自体は確かに綺麗だが、ドルビー3Dを初めて体験して、「やっぱり3Dは要らない」という結論にまず達した。メガネがずり落ちるし、おそらく皮膚に光が反射して、レンズに映るので、明るいシーンだと霧がまわりにかかったような見え方になってしまう。これじゃあ、観た意味がないし、お金をかけた分だけ無駄だ。映像自体はいいものなのはわかるし、3Dも効果的に使われていたと思うが、子供だましみたいな感覚に陥った。 

この映画の致命的な欠陥はなんだろう。

私に言わせると、結論、「安っぽい演出」じゃないかなと思う。

ジュラシックパーク自体は何度観てもなんだかおもしろくて、初代は本当によくできた映画だなと思った。演出がとにかく面白かったのだ。特に最後らへんの、恐竜の身体に「ATGC」とDNA塩基配列が映し出される演出なんかはかっこいい。彼らが遺伝子を改造されて創り出された結果、こんなことになってしまったのだという強い後悔を知的に映像で表わしている。また、最後にレックスが吠えるタイミングで「恐竜が世界を支配していた」という垂れ幕の端っこが切れて舞いながら落ちてくる演出なんかも皮肉たっぷりでユーモラスだ。

しかし、これらの演出は多用すると少しやっぱり興ざめしてくる。

それが今回の映画だ。

ネタバレになるので全部は言わないけど、人間の顔ギリギリのところに恐竜の歯が迫るみたいな演出が多すぎ。

怖いし面白いけど、かなり使い古されている演出が多い。

また最後の最後は私はもう大爆笑って感じだった。詳しくは言えないけど、「頭おかしいんじゃないの…」っていう演出。

この映画のシリーズは、恐竜がよみがえるという魅力と恐怖を同時に描くのがテーマなので、CGをもちろん多用している。けど、大事なのはCGのクオリティではないと思っている。

CGを使うからこそ、演出や使いどころのリアリティにこだわってほしいと私は常に願っている。

あからさまにCGだとわかるような表現だと、没入感が薄れて興ざめだ。

例えば私がなんどでも絶賛する「クローバーフィールド:HAKAISHA」のいいところは、あれのモンスターは明らかにCGなんだけど、 ギリギリまで姿を拝見することができないところ。

多くの災害がそうであるように、突然未曾有の危機に襲われた時、その原因をすぐに見ることがかなわない場合が多い。それがリアリティなのである。

地震は目で見るのが難しい。3.11が起きたとき、強烈にビジュアルとして焼き付いたのは、青山のオフィスの会議室の窓から見えた、向かい側のビルが、ゴム製かというくらい、ぐねぐね曲がって動いていたわずか数秒の映像だ。何度でも脳内で再生できるくらい、よく覚えている。それがリアリティだと私は思う。

いかにもねじまがっているとか、大袈裟に表現する必要はない。漫画やアニメだったら別だけど、この手の映画にはやはりリアリティが欲しいと思う。初代は、笑える演出は多少あったものの、レックスに車をあごで転がされる演出など、非常に巧みで、暗いからかCGであることも全然気にならなかった。非常にリアルであった。もしかしたらスピルバーグの手腕なのかもしれない。当時のスピルバーグの恐怖の演出は神がかっていて、本性はドSなんじゃないかと心配するくらいだ。

(多分リドリー・スコットのほうがドSだけど)

では演出力というのはどう磨けばいいのだろうか。

私は大学を卒業してすぐ、仕事がなかったのでアルバイトにいくつか応募していた。一応働こうと思ったのである。(私の世代は氷河期ど真ん中で、新卒で応募しても入れる感じではなかった)

そこで、イラストを描くアルバイト募集でとても小さなオフィスに伺ったことがある。そこの偉そうなおじさんが、「演出を学んだ方がいいよ。」と言ってきたんだけど、他に言われたことに関してはなにひとつ尊敬できなかったので、(圧迫面接で根性とメンタルの強さを試されただけ)この人はバイトでもいじめるんだろうなと思って電話で辞退した。 

しかし、「演出を学べ」という言葉だけは強く残ったので、演出というのを気にするようになった。幸い、自分は「センスが悪いもの」を理解する力があったと思う。

「バーフバリ」とか「マッドマックス:怒りのデス・ロード」なんかは、演出が極端だけれど、世界観にマッチしているので笑って済ませられる。バーフバリすっごい!ほんとうに強いんだね!で終われるのだ。好みかっていうとギャグだなと思うけど。

「ジュラシック・ワールド/新たなる支配者」に関しては、世界観をどっちにふりたいのかわからないまま終わってしまったんだと思う。

私の意見としては、初代のトンマナを踏襲するべきだったのではないかなと。そこにあったのは、ひたすら「恐怖」。初代はものすごい怖い。今見ても嫌だなあと思う。餌をやるシーンですでに怖い。

あと特によろしくなかったのが、とってつけたような今作のテーマ。この地球の支配者は誰なのかという話だ。それ、もし科学者に語らせるなら、真面目なトンマナのほうに寄せるべきだったんだと思うんだな。

 

登場人物としては、マルコムがやはり魅力的だった。見た目は確かに老いているが、スタイルはいいし、なんといってもあの「飄々としたキャラ」が最高だ。ああいう風に生きたいと思う。何が起きてもあんまり驚かないところがすごく良い。

クリス・プラット自体はいいのだが、彼はどうしてもギャグっぽくなる傾向がある。顔つきのせいかもしれないがw「ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー」がハマりすぎてたのかな…。でもアマプラの映画のほうがシリアスでかっこよかった気がするんだが、なぜなんだろう。 

グラント博士が年とったほうがかっこいいので、画面のオーラは彼が奪い取っていたと思う。登場人物が多すぎるのも難点だ。


バイク逃走シーンとかは、単純にわくわくして面白いので、ストレス発散にはうってつけだけど、映画としては、ギリギリクライマッチョに勝てるくらいじゃないですかね…w

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