2023年10月23日月曜日

ザ・クリエイター/創造者 観てきました

これはなかなかいい映画でした、

この手のよくあるSF映画って、「特に新しいものがないテンプレ映画」に転ぶことが多いのですが、本作は、テンプレもなぞりつつ、結構ひねりを入れてくるのでよかったです。

また、脚本が後半スピードアップしすぎなものの、テンポよく構成されています。

よかったところ

米国VSアジアという形になっている

ギャレスエドワーズは英国人ですが、アメリカを実に批判的に捉えており、
「合理的で冷たく、お金持ちだが手段を選ばず、戦争の口実で嘘もつく国」 として描いています。米軍はゲームととてもよく似た描写だったので、この映画をゲーム化したらとてもいいなと思いました。

コールオブデューティーを思い出したのですが、日本人の私がプレイすると時々とても違和感を抱くのです。やっぱり、米軍は怖いなって半分くらいは思っていました。特に、「空の上から爆弾を落とす」というのはゲーム内でも行われますが、いちいち当たる度に他の兵士が「ドカーン」「やったぜ」みたいなことを言うのが怖いなと思ったのですwちなみにそれは広島や長崎に原爆を落としたときもそうだったらしく…。

ただ、英国が善かというとそうではないので、決して英国を擁護した内容でもありません。

アジアはめっちゃ擁護されていましたw超・アジアびいきだと思いました。

 

ダイバーシティのバランスに違和感がない

主人公を黒人にしたこと、守る対象がアジア人のルックスであること、敵が白人の女性であることなど、ダイバーシティのバランスは悪くないと思いました。無理がないというか。

 

愛の描写に違和感がなく、すんなり腹オチする

私が陳腐だと感じる映画は男女関係の描写がど下手くそというか、性欲が愛だと思っている監督はやっぱり腑に落ちないですね。死ぬまでセックスしまくるのなら別ですが…(笑)

男女に関しては、役者の演技力にもよりますが、脚本のセリフもとても大事です。「愛している」という言葉がどのくらい重みのある脚本なのか。その点では脚本が上手かったのではないかなと感じました。

子供との愛については、これはよく映画にあるパターンだとは思いましたが、本作の場合、「自分と愛する人を繋ぐ大切な存在」がアルフィーなわけなので、当然それは愛するに決まっていると思いました。でもこれは、アルフィーの性格にもよるもので、彼女は、そしてあの世界のAIは、人間を攻撃するようには作られていません。

つまりアルフィーとそれに準ずるAIたちは、「人間を愛するように」つくられているのだと思います。それに触れることで、アルフィーをもの扱いしていた主人公も次第に愛するようになります。

この辺はとても描写が自然で、美しいと思いました。 

SF映画ではAIを否定する表現が多く、冒頭でAIが核を爆発させたというニュースが流れるので最初は同じかと思っていました。ですがこの映画の本質はAIとの愛のある共存という内容になっています。それが恐怖SF映画と大きく一線を画すので、良いことだと思います。恐怖SF映画はとても作りやすいし、スリリングなので売れるのですが、本作はあえて逆を行くのでチャレンジを感じました。 

 

みんな男性は自分の嫁が大事

これもテーマのひとつだと思いますが、男性は自分の妻が大事。

これが違和感なく、誰も彼も死ぬ瀬戸際になると嫁の話をし始めるので個人的には好感を持ちました。実質愛というのはこの程度の地に足のついた表現が腹オチしやすいと思います。エブエブもそんな感じですよね。

 

伏線の貼り方と回収も上手

話が単純に面白く、これはあとで生きるのかなと思うことや、冒頭でいきなり主人公が「俺は潜入捜査中だ」とバラしてくる展開とか、色々面白いです。回想シーンはどこから回想なのかややわかりにくいのが難点でしょうか。

結末のあの伏線回収は素晴らしかったです。

 

「アルフィー」がとてもいいキャラクター

アルフィーは子供の外見をしていますが、性別もわからず、髪の毛も生えていません。

名前もなかったので相談の上適当に決めていました。(このシーンはちょっとおもろいです)

英語で「She」と言っていることで、やっとどうやら女性扱いであることがわかりますw字幕はきちんと見てないですが多分女の子とは書かれていなかったと思います。

彼女は最初あまり感情がありませんが、徐々に主人公に懐くようになり、役者さんも芝居をするようになりますが上手でした。

あと個人的には彼女のもつ能力と、それを発揮する時に手を合わせて、仏教のようなポーズをとるのがとてもエキゾチックで神がかっていて好きでした。監督が仏教の世界が好きなんだろうなと思いました。仏陀の幼い頃、一休さんみたいな、そういう人物を連想するキャラクターです。

 

アジアの描写

日本語間違えまくってるのが気になりましたがちょっとかわいかったです。監督w

「募集中」→「指名手配」

「ステイバック」→「立ち入り禁止」?

「危険な場所に注意」→「危険物管理区域」??

といったように「なんか違くね」みたいな表現が多かったです。特に募集中はしょっちゅう出てくるので日本人は確実に苦笑だったと思われます。 アルバイトかよ。看板も変でしたがなぜか龍角散ダイレクトはそのまま表示されていましたw

 

ロケ地としては、やはり一番聖なる場所がチベットに設定されているのは個人的に非常によかったです、やっぱりチベットには特別感がありますね。

高い山と、独特の色彩を持つチベット民族の服飾文化、寺院のデザインなど、聖地だなあと感じますね。

 

強いて欠点を挙げるならば

結末です。

私に言わせれば、あまり本質的な解決にはなっていません。

主人公は使命を全うしましたが、このあとは、アルフィーと彼女を取り巻く人間たちの課題となると思います。 


SF映画としては、攻殻機動隊を観たことのある人だと意味がわかりやすいと思いますが、まあ観てなくても大体はわかるかな。という感じでした。

 

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