2015年12月1日火曜日

聲の形を読んでの感想

※かなり毒舌かもしれないので、本作品を愛されている方はご注意ください。






聲の形という漫画をレンタルコミックで全部読んでしまいました。
最初はたまたま、5巻まで無料レンタル券をいただいたからだったのですが…

まあ、泣きました。しかし、感動の涙ではありませんでした。
まずは悲しみ。
それから怒り、憎しみなどのネガティブな感情が井戸水のように沸き出て止まりませんでした。
もしこれが砂漠の井戸や温泉だったら住民が狂喜乱舞するレベルです。

私は自分の過去を清算しようなどと思ったことはありません。
各地を転々とする人生だし、住む国も変わったことあるし、職場は何社も棄てるようにして転職してきました。
過去はあまり大事なものだとは思ってないし、ひきずるのはよくないと色んな人に言われるし、いわゆる同窓会みたいなのに出席して嫌な思いをした話を同僚にしたら、

「嫌な思い出があるところになんか行かなくていいんだよ。」

と諭されて、それもそうだなと開眼したのを覚えています。

でも、この作品って、過去をひたすら清算する話なんですよ。

そんなさ、小学校や中学校の時にあったことなんか、どんどん忘れればいいのに。

と思ってしまいます。
というか、忘れたいんですよね。私は。

幼馴染なんかいないし、(いたけど、会おうとも思わない、ただ、母親同士は会っているようですが)昔好きだった男子に会いたいかなんて言われても、もう変わり果てているだろうし誘われても会わないと思います。たまに耳に入ってくる情報も、あまり良いものじゃなかったりします。一人は亡くなってしまいました。良い人から亡くなっていきますね。

でも、この漫画の主人公はわざわざ会いに行くんです。最後まで、会いに行く話でした。

私は過去と向き合いたいなら、現在を思い切り生きるのが一番の解決策だと思っています。
私も根に持つタイプだし、会って和解するのってかなり難しいんじゃないかなと…

恋愛と同じじゃないかなと思います。前に付き合っていた人とは、絶対に会うな、とよく言われますがそういうことだと思います。友達なんかに絶対戻れないよ。と言われますが、それもそうだなと思います。

それにしても妹の結婚式に参加して、過去をあまり堂々と見せるのは良くないな…と思いました。やっぱり、詮索したくなるしね。旦那さんは、殆ど過去を見せなかったので、ずるいけど、そっちが正解だなと思いました。あんまり見せないに限るわw

大事なのは、今!


まあー暗い話?はここまでにしてキャラクターの感想をメモ程度に。キャラあってこその漫画だなあとも思うので。

石田:まあクズだと思います。こいつが主人公だと本当に読むほうもつらいし、描くほうも辛いだろうなあって思いました…だってすごい駄目な奴だし…。
なのにモテるのが合点行かなかった。
クズで頭悪いのに気も弱いのがなんかもう…。 何がいいのか、わからん…。

硝子ちゃん:良い子なんだけど、2点納得いかない点が。ひとつは、クズのことを性懲りもなく慕っていること。ぜったいやめたほうがいいと思う…
あと、怒らないことですね。怒るっていう行動や感情は大事だと思います。

なおちゃん:この人もクズですね。理論は彼女の中では通っているんだけど、強引だし、他のキャラクターにも散々怒られていましたが、自己中すぎる。他人を傷つけることに対して彼女なりの理論があるので、自分が悪いとは殆ど思ってないですよね。
そのくせあとでなんで私はこういうやつなんだ、って後悔している姿はかなり無様に見えました。
美人なのに勿体ない…。なんで他の男じゃ満足できないんだろうなあ…。

佐原さん:おそらくこの漫画で唯一最高の天使でしょう。自分をいじめた人間を友達と呼び、半ば強引に友情関係にひきずりこむ、ポジティブな強さを感じます。努力家だし、実際才能もあると思いました。この子だけなんかすごいんだよね。地味なのがまた良い。

真柴くん:割と好きかなと思いました、というのは、自分と考え方がかなり似ているから。彼の復讐はとても陰湿で妄想の中で完結しているようなタイプですが、私とかなり似ていると思います。
ただ、真柴くんと私がいたら復讐を誰も止めないんで、良くはないでしょうね。
そして、川井さんに対する謎の仕打ちが、ある意味リアル。
真柴くんはあんまり感情を外に出さないけど、やっぱり屈折してるのかなと思いました。役者をやらせると、封印していた感情を上手く使えるみたいなので、役者向きなのかね。

川井さん:最初かなり嫌いだったんですが、唯一最後のほうで価値観が逆転したキャラクターでした。努力しても努力しても他人に好かれない、かわいそうな人なんだけど、かなりのナルシストなので、因果応報なのかな…と思いましたが、「つらくても、自分を好きでいよう」という考え方はとても良いと思います。自分が自分を見捨ててしまったら終わりですからね。
ナルシストを自覚している人は嫌いじゃないです。それに努力がきちんとできる人は、基本素晴らしいです。

ゆづるちゃん:最初あまりにもつらいと思っていた漫画だったけど、ゆづるがいるおかげでなんとか最後まで読めました。ゆづるは良い子すぎる。ゆづるのために最後まで読んだと言っても過言ではありません。
本当に健気で、姉のためならなんでもしようという覚悟は揺るがず、生活や髪型など、自分自身を犠牲にしすぎているけれど、それはとても純粋な愛だなと思います。
不登校だったり、ネットで嘘の記事をでっちあげたり、一見悪い子のように見えますが、愛は誰よりも深いんじゃないかなと。そういう愛情がある人は悪い人には育たないと思います。
そんな重たいものを抱えながらも表面的にはひょうきんで明るい感じも可愛くて、とてもよかった。



7巻でこの作品が終わっているのは、まあ打ち切りなのかな~と思えるような終わり方でした。でもそれと同時に安堵したのも事実です。先が気になって読んでしまったらまた泣くんだろうなと思うと、つらくて。

悲しい話は大好きだと思ってたんですが、この作品はリアルすぎて私には駄目かもしれません。
娯楽作品は全く別の世界で、悲劇を展開するからこそ、客観的に見られるのでしょうね。

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