2021年8月7日土曜日

ドント・ブリーズ めっちゃ面白かったです

クワイエットプレイスの横に、いつもそいつはいた。

同じく、「音を立ててはいけない」映画である。

サムネイルがいつも並ぶので笑うw


ドントブリーズも2が出るということで、気になって観てみました。何しろクワイエットプレイスとの違いが気になりますよねw

大きなちがいは、クワイエットプレイスは、戦う相手が化け物であること。

ドントブリーズは、相手が盲目の老人です。

そして個人的な結論から言いますと、私がリアリストだからなのか、ドントブリーズの方が面白かったです笑。

理由は、その物語の設定の複雑さにすごく良心を揺さぶられるからなんです。

正義感が強くて、真っ直ぐな映画しか見たくない人には、クワイエットプレイスをお勧めしますが(何しろ襲ってくる化け物に容赦する必要がないので)、人間という複雑な生き物について考えたい、皮肉な物語が好きであればドントブリーズは非常に、色々考えさせられてお勧めでございます。


善では無い主人公たち

主人公たちはなんと強盗犯です。

この時点であまり同情できません。なので、正義感強い人や主人公を応援したい人は面白くないでしょう。突き放して客観的に観ないといけません。私はそういう設定が非常に面白く感じました。

正直どっちが死んでも、そういう結論か、て思うだけなので、最後までどっちが勝つかわからない面白さがめっちゃあります。脚本が勧善懲悪ではないので、先が読めないのです。そういう点で長くてもなんか楽しく見れました。


映像にこだわりがあり、グロさが少なめ。

グロいシーンもなくはないけど、芸術的な表現とかあって、こだわりがあるんだろうなあって思いました。

あと、夜に強盗に入って、かなり暗い中で戦いが展開するので、光の使い方にもこだわりを感じました。

暗いので、老人の顔が見えたり見えなかったりします。そして、この退役軍人の鍛え上げた筋肉がコントラストが美しいとともに、怖さを強調。白いタンクトップが暗闇でも割と目立つのがいいなと思いました。逆光で表情が見えないのって恐怖感を煽るとともに格好良さがあります。漫画でもよく使われる手法ですね。

屋敷の中は暗いのですが、外への扉が開くと希望の光が差し込み、でもそこにあるのは希望だけではなかった…みたいな光と影のやりとりが、うまいですね。

 

独特な設定による、沈黙のやりとりの緊張感。

クワイエットプレイスとは違って相手は聴覚の鋭い盲人。

同じ部屋でかなり近い距離にいるのに、お互い黙ったまま。音を出したほうが負けなので。狭い部屋の中で展開する演劇のようなよさがありつつ、なんだかコントを見てるような不思議なおもしろさがあります。ご老人が目が見えない状態で相手の位置を確認する不思議な仕草が大変興味深くて、次はどうするんだろう?とわくわくするような、謎の面白さがあります。

バケモノじみているけど、バケモノではないご老人がよい。

 

盲目の退役軍人のキャラクターがすごく良い

この退役軍人、娘を事故で失って示談金を大量にもらったので主人公たちに狙われているのですが、この設定がまた強く後半に効いてきます。詳しくはネタバレなので書けませんが、本当に巧妙な脚本だ!と感動しました。あそこは誰でもビビると思います。

この老人は、最初はほとんどセリフを喋りません。聴覚を頼りに強盗の位置を確認しているため、自分が喋ると邪魔になるのかもしれませんが、それがまた後半によく効いてきます。

後半のどんでん返しがあって、やっと老人が語り始めるのですが、

すごい声なんだこれが!

なんだかこの世の地獄は全て味わってきたような、悲哀と絶望だけが残り、幸福を全て吸い上げられてしまったような声です。

これは怖い。

しかし同時に彼の悲しみはとてもよく伝わってくるので、同情する人もいることでしょう。私なんかは、正直主人公たちは全員やられちゃっても、しょうがないんじゃないかなって思いました。だって強盗しに入ったんですよ。睡眠ガスまで撒き散らして。

全部観たあとだと、このご老人が狂気に至るレベルの悲哀が最初から伏線としてそこにあったのを知って、畏敬の念すら抱きますね。

しかもすごく強いし、聴覚だけで人の居場所を当てられるし、なんなら嗅覚も優れている。きっと優秀な兵士だったのでしょう。アメリカという国のために戦って、戦争で両目の視覚を奪われたわけですよ。冒頭で退役軍人を、盲人を襲うの?とためらうシーンがありますが、アメリカの退役軍人を襲おうだなんて、主人公たちは罰を受けて当然な気がします。

その点についても、考えさせられるいいキャラクターです。


罪と罰、そして償い。

果たして老人がやろうとしていることはどのくらい罪なのだろうか。

そりゃ、法律的に言ったら、倫理的にアウトだと思いますが。

でもこのヒロインがですね、命が狙われているって時に、盗んだ金を持って逃げようとするんですよね。ひどい目に遭ってることは遭ってるけど、全然同情できないw

果たして、その金の入ったバッグを置いて言ったら、彼女は助かるんだろうか?金を奪うことが罪なら、おいていけば償いになるのか?話は複雑化してきて、老人の罪もそこには存在する。主人公たちも、警察に話すか話さないかで揉めたりします。しかも最終的には警察が来るんですけど、オチがすごいのでぜひ見て欲しいですw

果たして老人の絶望を癒すものはなんなのか考えた時に、「それが金ではなかった」ことを考えると、切ない…。 

こんな恐ろしい事態を招いたのは、そもそも誰なのか。誰が一番罪深いのか?償いが成功していればよかったのか?色々考えさせられました。脚本を書いた人たちの意図もずっと考えていました。


そもそも強盗に入った動機。

ヒロインの彼女、命をかけてまで金を盗む必要があったのだろうか?

荒れた家を出たい、という動機は不十分ではないのですが、なんか、少しは反省してくれたんだろうか?というところが気になりました。まっとうに働くほうが、楽だったのではないかと、少しは思ってくれたんでしょうかね。

退役軍人のご老人は、盲目なので再就職はかなり難しいでしょう。それにアメリカだったら年金がきちんと出るはず。感謝しなければいけない人を、彼らは襲った…。

そう考えると、どうにも彼女には同情できないのですよね。


さて、2はどうなることやら……。


え、誰が生き残ったかですか?自分で確かめてくださいね!

(誰が生き残るかは、とても興味深いところです)

あと本作に突っ込み入れるとしたら、なんで一般人もめっちゃ強くてなかなか死なないのに、トドメ刺したか確認してないの!というところですw「このあと20分もまだ戦うの!?」「まだ9分もあるー!」とか時々確認してしまいました。

 

ドント・ブリーズ2

は8/13公開だそうです。検索してびっくりしてしまいました。よきタイミングで観てよかったです。

やはり、あのご老人は人気キャラなんですかね?今回は彼が主人公のようです。

簡単に言うとえげつない狂気をはらんでリーアム・ニーソンをこえてしまったリベンジおじさんといったところですかね(笑)

リーアムはあそこまで狂わない気がします。

ただ、強い退役軍人ってその手の話が好きな人にはおいしい題材ですよね。あとはR15指定というのが気になって、あまり、グロシーンが多すぎないのが本作のいいところだと思うので、静かな恐怖に期待したいと思います。

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