2012年11月14日水曜日

【読んでみた】アンディマクナブのBravo two zero

不謹慎かもしれないが、大変面白い本だった。

本作品はノンフィクションであり、アンディ・マクナブさんがSASに入隊するまでの話、入隊してからの話、そして、メインの湾岸戦争の作戦にリーダーとして参加し、捕虜になり、釈放されるまでを描くお話である。

淡々としているようで、そうでもない。
とにかく著者の身に起きていることすべてが日常とはかけ離れているからだ。
事実を連ねるだけで、小説になってしまう。
荒唐無稽なのに、それが現実。現実は小説より奇なりとは、このことだ。

湾岸戦争の頃、私は子供だった。
※年齢逆算禁止令※

しかもたまたま、アメリカに住んでいた。今思うと貴重な体験をしたと思う。皮肉にもその頃、日本人学校で、第二次世界大戦の恐ろしさを朗読で聴かされていた。私がWW2のことを知ったのはその頃だ。日本は敗戦国のため、おぞましい話ばかりを聞かされ、今でも子供の頭でどれほどひどかったのか一生懸命想像したのを覚えている。祖父は両方とも、戦争に行かなかった(徴兵される前に終戦などで)。祖母は、防空頭巾を装備するのはめちゃくちゃ手慣れており素早く、例の地震の時も冷静だった。
そんなふうに、「戦争」とはあまり身近なものではなかったのだ。

湾岸戦争は連日、CNNで放送された。これがリアルに「戦争」を初めてTVで観たことになる。夜は大体、CNNで湾岸戦争の模様をつけっぱなしだった。暗闇の中を対空砲火が青白く上に飛んでいる映像しか覚えていない。昼間の地上戦は、確かに子供には見せられなかっただろう。

そしてアメリカの学校に行くと、イエローリボン運動が流行り、セレブレティがチャリティで歌を歌って兵士に送り、兵士が敵地でそれを聞きながら涙する、といった映像も流れた。

それがおそらく米国の兵士を初めてTVで観た瞬間だろう。

しかし、子供心にわかっていた。あれほど日本人学校で「戦争はよくない、ひどいものだ」と聞かされていたから。こんな歌を歌って送ったところで、彼らは明日にでも戦争で死ぬかもしれないのだ。
そんな複雑な思いを、抱えながら育った。

そしてだいぶ大人になって、ゲームの影響もあってこの本に行きついた。SAS出身で本を書く人は結構いるようだが、この本は特に生々しい。フィクション作家が多い中で、これは事実が書かれているからだ。

湾岸戦争はれっきとした戦争だった。
アメリカに住んでいても、私にはちょっとした小競り合いにしか見えなかった。だが、ここに実際に死ぬ直前までとんでもなく痛めつけられた兵士がいる。

しかしこの本のいいところは、とにかく淡々としているところだ。著者は実にドライである。つらい、苦しい、痛いとは書いてあるのだが、最後に救出されるとあっという間に元気を取り戻し、買い物に走ったりする。

実にドライで、タフガイなのだ。
しかも、SASが全員そうなのである。
なぜなら、SASは精神の強さを入隊前に何度も確かめられるからだ。それがテストの一部である。実際に尋問テストも受ける。

また、彼らは本当に優秀なのだな、と思った。戦う時には痛みも寒さも忘れてしまい好戦的になり、訓練のとおりに精密な射撃を行い、素晴らしい成果を上げる。でも隠密行動の時は痕跡すら残さず、音も立てない。なんという理想的な兵士達なのだろう。

しかし悲しいと思ったのは、戦いにおいては、彼らは本当に世界一優秀だとわかる。だが、たまたま悪天候に見舞われ、たまたまもらった情報がまちがっていただけで、敵にではなく、自然に殺されていくのだ。
とはいえ、最後のほうまで読むとわかるが、実に生き残る数が多い。普通あの状態であれば半数以上は亡くなっているはずだ。なのに、このSAS小隊はありえない人数が生き残り、本気で驚いた。 特に驚くのは、捕まってからも飲まず食わずで放置され、暴力を与えられ、文章にはつらい、と書いてあっても生き残っているところなのだ。しかもひとりだけではない。

現実的だな、と思ったことをあげてみよう。

意外と敵は気付かない。
驚くべきことに、間近まで来てもSASだと気付かないシーンが結構多い。もちろんある程度は変装してるのだが、意外と敵は油断しているようだ。

意外と現地の人は優しい。
これは海外旅行中に何度も経験したが、一番優しいのは一般市民、特に農民などである。
あからさまに兵士の格好をしている人にも笑顔で接してくれたりする。
しかしこれは、結局のところ、やっぱり上がちゃんばらやってるだけなんだなって悲しくなる。

意外と拷問はきつくない。
やはり人間である。実は相手を傷つけて喜ぶ人はそれほど居ないのである。TVドラマの24みたいなのは、実はあまり無いみたいだ。
その中途半端で原始的な拷問が、却ってリアルだった。
道具を使うより、拳で殴ったほうがすっきりするのだろう。だけど顔を狙うんだよね。だから出血がひどくて、想像したくない感じだった。

問題はどっちかっていうと尋問の方で、「ちがう」って言ってても思いこみがすごい。隠れキリシタンを追い詰めているみたいな尋問でした。他に質問ねえのかよってちょっと思った。

敵兵士はプライドが高い。
だから、あまり下衆なことはやらないと思っているらしいこともわかった。だけど、その分やらしいっていうか…精神攻撃が結構あるみたいだ。

驚いたことシリーズ。

SASの人は精神的にあきれるくらい強すぎます。
むろん、彼らは「英国紳士」でございますから、ユーモアを持ち合わせているのは当然です。ですが、逃亡中に見つからなかっただけで爆笑したり、敵兵に笑顔で挨拶したり、一般市民と笑顔で会話したり、死にそうになってるのに歌歌ったり、きっつい冗談言って遊んだり、キャンディ食ったり、基本的に「余裕」かますのが好きみたいです。
ですが…実際に強いのですげえ。
あと任務終わった後速攻遊ぶ精神がすごい。現金。

SASの人は紅茶飲みすぎです。
…ほんとに紅茶戦場で持ち歩いて た…。
しかし、どうもよく読むと、内容がココアみたいなので、なんでも「お茶」って呼んでるだけかもしれない。
でも出発する前は「オレンジペコー」って言ってたから間違いなく紅茶だ。

でも英国は紅茶安いし、飲み慣れてるし、コーヒーほどきつくないし、案外いいかもしれない。身体もあったまるしね。

あとなぜこれを言いたかったかというと、作戦遂行前に恐ろしい回数紅茶を飲んでいるからである。何かあると紅茶。どっかに到着したらとりあえず紅茶。作戦会議に飽きたら休憩で紅茶。

紅茶ざんまい楽し過ぎる…
あと迷彩服着たムキムキタフガイが紅茶囲んでいるの想像すると色々と笑える。

おまけとしては、米国との比較が随所に出てくるが、やはりあの時代は米国はバブリーだったみたいだ。米国基地にたかりにいくのはいかがなものかとちょっと思った…
ボールペンとか戦場で要らないだろ…。
M&Mはわかる気がするけど。溶けない!!!実はすごいレーション向きだね。


1 件のコメント:

  1. でもアンディ・マクナブさんかなり嘘をついてるみたいですね。
    http://m.youtube.com/watch?v=RlJLuU6hgW8

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