2016年2月18日木曜日

マッドマックス…2回目…

あまりにも各所でマッドマックスが絶賛され、
さらに「おそ松さん」でパロディが横行し(笑)、
異例の再上映という大人気っぷりなのでもう一回、観てきましたよ!

前回はあまりにも創り込まれた独特の世界観を受け止めるだけで必死!だったんですが
話の内容などが頭に入っている状態だったので、今回はかなり冷静に観ることができました。

なんといいますか、とにかく「真剣だな」の一言につきますね。

冒頭からぐいぐい引き込まれ、セリフもろくに無いまま勢いで進行していくのに、随所にセンスの良さが光るな~と思います。映像芸術のセンスっていうんですかね。
構図とか見せ方とかカットの仕方とか全体的にキレがよくてドキドキするな~と思いました。

それにしてもマッドマックスって観ていて肩に力がはいるというか…
やっぱり、終わったあと手がしっとりしてましたね。

緊張感。
緊迫感。

そういったものが力の限り詰め込まれていて、シャキっとする。
気合いっていうのはこういうもんだよ
本気?まだまだそんなもんじゃないだろ?
と言われているような気がします。

今までの私はぬるい世界で寝ていたんだ。

と思わせてくれます。

世界が違いすぎて好きとは言えない、という評論をネットでみたんですが、それはもう当たり前と言えば当たり前です。
だから、トップクリエイター達がこぞって絶賛するんだと思います。
クリエイターって、こういうの創りたいんですよね。
完璧に。やりきりたいんですよ。
ぬるい世界に何かぶちこんでやりたいんですよ。


今回はそれぞれの登場人物の心の動きなんかも着目できたんですが、結構面白かったです。

マックスは主人公であるにも関わらず、実に一番やる気の無い人間。
巻き込まれて文句ばっかり言ってます。
女の乗ってた車を奪い取り、女たちを置いていくという実に腐ったキャラです。
のちほど寛大なフュリオーサになだめられてなんとか一緒に行動できますが、
若い女性陣には「ホモ野郎」と罵られる始末。
トムハーディかっこいいなんてよく聞きますけどこの役はちょっといただけないですよね。別に顔はかっこいいと思いますけどw
この物語は、実はそんな絶望の淵で唯一「罪悪感」という良心をいだいているダメな大人のマックスが、フュリオーサという高潔な人間に出会って感化されていく話じゃないかなと思います。

フュリオーサは真の主人公。高潔で賢くて強くて冷静で寛大、隙のない完璧な女性です。これが女性っていうのがまた良いんですよね。マックスがダメなパパならフュリオーサは完全な母親と言えます。
フュリオーサのいいところは、完璧なのに感情を豊かに持っているところです。絶望も、悲しみも、怒りも、隠そうとしないのが、魅力的です。マックスはギリギリまで自己中ですが、フュリオーサのあまりにも高潔な姿に「ちょっと助けてやるか…」と自分を取り戻していきます。

そしてニュークス。前回はテンションの高いところばかりが目についたのですが、今回はおっちょこちょいなところや、やっぱり病弱なところ、純粋でおどおどしているところがしっかり観察できました。
ニュークスのいいところは結局格好つけようとしても格好つかないところで、素朴で自然体なんだけれども、「役に立ちたい、認めてもらいたい」と一生懸命なところなところがやっぱり愛される理由でしょうね。
ニュークスは最初こそ異様なまでのテンションの高さを見せますが、仲間に引き入れられてからは素の自分を取り戻したのか、無表情でどっか遠くを見ているような、「普通の男子」になった感がとても印象に残りました。多分、自分の中で色々なものが変化していく様を味わっていたんじゃないかと思います。
何かと運転席から移動して作戦を実行する時に赤毛のケイパブルの目をじっとしばし見つめる姿も印象的でした。セリフが無いのが逆に効果的というか…ニュークスは戦うことしか知らなかったから、言葉が出ないのかなと思うと切ないです。だからこそ最後らへんの「後から必ず行くよ」がものすごいぐっと来るんでしょうねえ…。
あとケイパブルのことをニュークスが慕う理由は、恐らく間違いなく、「彼は優秀なメカニックなの」の一言に尽きますね。ニュークスは認めてもらいたい願望が強いので、ケイパブルは自分の価値を理解してくれている、と感じたのだと思います。あんなに慕っていた上司は自分を使い捨ての駒にしていたのに…ここも、ニュークスが変化していく理由なのでしょう。

それからK監督が念押ししていた「種子」という小道具。これもしっかり見れました。
最初に「これがちゃんと育てば、人を殺さずにすむ」という言葉があって、その種がもつ大きな希望を印象付けられます。それを言ったおばあちゃんは、絶望しそうになるとその種の入ったカバンを引き寄せて大事そうに握りしめます。それが彼女の唯一の「希望」だからなのだと思います。

そして、最後ら辺にその話を聴かされた女の子が、鞄を忘れずに拾って砦に持って帰ることで、おばあちゃんの希望が紡がれていくわけです。

うまく構成されてますよね。
よくよく細かいところまで観てると結構じわじわくるので、本当にいい映画だと思います。よく創り込まれているな~と思います。

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