2021年2月12日金曜日

ヘレディタリーの母親について考える

 めずらしく連続考察投稿です。

※少々ネタバレ気味なのでご注意ください

 

主人公アニーはひたすら「継承」から逃げたかった

この映画が結構心に残ったなと思うのは、主人公である母親がなぜか、私が共感しやすい人物だったから、なのかもしれません。

彼女は、まともな男性と結婚をし、まともな子供をふたり産んだ、つもりでした。

しかし、彼女の母親は、実は「アレ(ネタバレ)」でした。

そして、「アレ(ネタバレ)」を継承されてしまいます。

彼女は、本当は「それ」から逃げたかったのでしょう。

タイトルが示す通り、彼女の母親は、とあるものを継承させようとしていました。でも、主人公アニーは、継承されるものの正体を知らないにも関わらず、それから全力で逃げようと、まともな男性を選んだ、つもりだった。直感で、母の過干渉から息子のほうを庇っていた。でも結局娘の方が、おかしくなった。

そして、結局夢遊病や精神疾患から逃れられない。

もし、この映画が、霊障は全部妄想で、リアルな精神疾患だけの話であっても、成り立っていたと思います。

遺伝子による「継承」の意味もあるんでしょうね。

 

印象に残るセリフ

あなたを産みたくなかった。流産しようとしたのよ。でも、母が産ませようとするの。怖かったの。

このセリフの解釈は2通りあると思っていて、一つ目は「母が産ませようとしたのが怖かった」

これは、息子に「アレ」を継承させるために、彼女は必死で息子を産ませようとしていたんですね。もはや、愛情でもなんでもありませんねwwえぐい事実です。そういう、えぐいプレッシャーから、彼女は逃げたかったのかもしれません。まあ怖いですよね。

でも、こういうのって、現実にもたくさんあって、いまだに、「男の子を産んでほしい」なんてありえないことを言ってくる輩は、それはもうたくさんいます。しかも、自慢げに「プレッシャーかけたから男産んでくれたよ」って話してくれた人いましたからね…

二つ目は、「単純に精神疾患が遺伝するのが怖かった」というところもあると思います。長男ということで、初めてのお産だったから。

精神疾患は遺伝しなくても、別のものが継承されちゃいましたけどね。 

そして問題は、アニーが我慢しきれずにそれを息子に言ってしまうことなんですよね。ほんとに、息子が傷つくし言っちゃいけないことなんだけど、実はそれは、継承させたくないから、なんですよね。息子を守りたかったんですよね。このジレンマが恐ろしい。

しかし、現実でも「あんたを産んでなかったら…」と親のエゴを振り回す人は結構いますよね。なので家庭の負の側面を露骨に描き出した作品でもあると思います。


この映画を見て思ったのは、やはり、黒い遺伝子を持つ人はうかつに結婚してうかつに子供を産むべきじゃないんじゃないか、というところですね。現実というのは本当に恐ろしいです。

私で言うと、父親遺伝子の持つ闇の要素はかなり強いものが感じられます。これは継承してはいけないんじゃないか?と前々からうすうす勘づいていて、それでうかつに子供をつくれないなと、思ったのかもしれません。 アニーのように、直感的にね。女性の直感ってのは本当に、よく当たります。

母親の遺伝子は天使レベルなので、相手を慎重に選べば、うまくいくのかもしれませんが…。

アニーの願い

アニーは映画を通して始終発狂していますが、旦那に自分の殺害をお願いするときは、時間をきちんととっていかに愛していたかを一生懸命伝えます。発狂しているものの、かなり切ないものがあります。彼女、ちゃんと家族を愛しているんですよ。その辺は、嘘ではないと思います。

彼女、すごくあこがれていたんだと思うんですよね。普通の家庭。よく、それこそ他の映画やドラマに描かれるような、あたたかい家庭などに、あこがれを抱き、まともな人と結婚すればきっと叶えられると思っていたんだと思います。でもそれ、すごくわかる!と思うんですよね。アニーは、完全に被害者なんですよね。

その願いや希望がバッキバキに壊されるのがこの映画の本当の恐怖なんだろうなあとしみじみ思っております。まさに、どうあがいても絶望…。

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