2022年1月22日土曜日

ハウス・オブ・グッチ 観てきました

結論から言うと大変面白い映画でした!結末は大体わかっているのにwそこに至るまでがどうやってそうなったのかが気になって、わくわくしながら観ることができました。

こちらの映画は「クライマッチョ」とは対比的に、シナリオが大変よくできていて、細かいディテール部分でのちょっとしたセリフやキャラクターの反応から、様々な想像や解釈ができるので、「最後の決闘裁判」とも似たようなところがあるかもしれません。

要は、「なぜこうなってしまったのか?」「どうすればこんな悲劇にならなかったか?」を考えると、結構複雑で味わい深いんですよね。見終わったあと、色々考えてしまいます。

圧倒的に最初から悪かったのはパトリツィア(レディー・ガガ)だと思います。でも、なんか彼女の考えていることはわかりやすくて、憎めないようなところもあります。たまに、悪役でいかにも悪い女が、最後敗北して泣いてるとこで、ああ~、この人ああだったら幸せだったかもなあとかこうしたらよかったのに、みたいなのあるじゃないですか。で、結構ヴィランな女性って美人が多くて、なんなら小悪魔でかわいかったりするんですよね。そこが「ああ~、かわいいのに惜しい!」って思って、おもしろくなってきちゃうんですよね。パトリツィアはその典型だと思います。しかも、実はパトリツィアの言ってることは割と正しかったりするんですよね。

 

恋愛・夫婦ものとしての要素

パトリツィアはマウリツィオ(アダム・ドライバー)に初対面の時、名前「グッチ」を聞いて一目で「手に入れてやろう」とぎらついた目でターゲット捕捉します。かたや、マウリツィオは単純にパトリツィアの美貌に虜になりますが、再会した時は覚えていませんw

果たしてこの恋愛はどこまで本物だったのでしょうか。 

マウリツィオはグッチの名前を捨ててでもパトリツィアについてくるので、その時は本物だったんだと思います。思えば、この時だけは本物だったんだと。

しかし、マウリツィオは結局グッチの名前から逃げることができないため、それが不幸の始まりだったのだと思います。

ではパトリツィアは、グッチの名前と結婚したのだろうか?

ここもなんとも言えません。グッチの名前を捨てたマウリツィオと一緒にいるときに嫌そうな顔ではなかったので、そのままでもよかったのかもしれません。

もしかしたら、逃げられなくなって結局グッチの世界に戻ってしまったところから、また欲に火がついてしまったのかも……。

とにかく、パトリツィアの服装が徹底的に悪趣味なのが気になりましたw目立つ格好、派手なアクセサリー。なんならスキーウエアですら、ショッキングピンクで、かなり我が強いのが見受けられます。

しかし、本当に彼女はお金目当てで結婚したのでしょうか?

そうでもないのかな~というのが私の印象です。もちろん贅沢な世界にあこがれはあったと思いますが、なんというか「所有欲」みたいなのが強いなと感じました。とにかく押しが強くて、物理的にマウリツィオを押してるシーンがあってアダムドライバーの巨体を壁にぶつけてたのが大爆笑でしたw

自分が仕切りたい。自分の思い通りにしたい。自分が所有してコントロールしたい。そんなわがままが見えました。

実際そういう女性は今の会社にもいます。このタイプは仕事はバリバリやるんだけど他人をコントロールすることに無上の喜びを感じるらしいので、一生懸命他人を振り回すんですよね。

あと意見をはっきり言うのはいいけれど、他人の心を傷つけることに対しては無神経極まりないので、かなり嫌われていますね。こういうのに振り回されたいドМな男性がちらほらいるので生きている感じでしょうかね…。


「ブランド」と「デザイン」についての要素

ブランドとはなんでしょうか?

今でこそ日本でもブランディングという言葉が言われるようになり、よく米国のApple社などが引き合いに出されますね。あそこは家族経営でもなく、スティーブ・ジョブズの「驚異のプレゼン」により、米国発全世界で売られるようになりました。

マーケティングも重要ですが、プレゼン力はかなり重要かと思います。そのためにキャッチコピーやプロデュース能力も問われています。そして、デザイン。

デザイナーとしては、「デザイン」がブランドに与える影響が恐ろしくて、恐れおののきながら観ていました。デザイナーさんは観た方がいいかもしれません。

ジャレッド・レトが特殊メイクにより、イケメンを封じて「ひどいデザイナー」を演じています。かなりひどいです。柄ON柄なのはいいとして、なんかどこを見ていいのかよくわからないデザイン。

そこにロドルフォ(マウリツィオの父)がやってきて、大否定したあと、自分のデザインしたスカーフについて説明をします。そしてそれをよくみて学べと。もうこれに尽きますよね。良いデザインは「よく売れる」んですね。そして愛用してくれる人が多い。そして、後輩デザイナーがやるのは、「観察し、見て盗む」ことなんですよね。

そして、もうひとつは品質。

グッチに関しては品質は問題なさそうです。同じようなストーリーは「今治タオル」にも見受けられます。今治タオルは品質はよかったが、おそらくデザイン的にはブランディングがよくできていなかったのでしょう。佐藤可士和さんが心をこめてブランディングした結果、日本中に知れ渡る高級タオルブランドとなりました。でも手が届く値段であるのもいいですね。


家族経営についての要素

これは家族経営している日本企業は見ていて頭も胸も痛いかもしれないですね。

家族経営でも子供の代で改善したのが大塚家具でしょうか。改悪した企業もたくさんあるという印象です。この映画では家族経営を基本的に皮肉っていて、否定しているといっても過言ではない。

終盤でジャレッドレトとアル・パチーノが命からがら生き残ってコントみたいなのを繰り広げるのですが、私みたいに一般社員しかやったことのない人は大爆笑なんですけど、家族経営で会社やってる人は身の毛がよだつかもしれないですね……。あんな風に落ちぶれていくのはきついなと思いますよ。

でさ、どうせそうは言っても金は一般人より持ってると思うんですよね。株を売り払ったって、それなりに金持ちだと。だけど、ずっと贅沢してきたから屈辱でたまらないんでしょうね。もう耐えられない。1Kの賃貸とか住めないwwみたいなww

解体されていく家族経営という形態。アル・パチーノの怒りの芝居が一番迫力ありました。さすがだなあと思いました。

 

この映画は多角的な視点から観察することができます。「ブランド」「夫婦のありかた」「デザイン」「家族経営」など、どれかひとつでも興味があれば色々と考えさせられて面白いと思います! 


おまけ:それぞれの役者の評価

レディー・ガガ:体を張った大芝居!素晴らしい美貌と、超グラマラス完璧ボディー。何をとっても最強&最高。そしてやはり、声が綺麗ですよね~。あの挑発的な目は、虜になってしまう男性もいるのでは…w

アダム・ドライバー:今までみた映画の中で一番良いアダムでしたね。文系のいいとこのお坊ちゃんで、天然でぽやーっとしてて。たま~にマジギレするのもいい。意外とお父さん役が似合っていて、スターウォーズなんてなぜ出たのかって思っちゃいましたね。

ジャレッド・レト:特殊メイクで若いのに禿げた変態デザイナー役でした。デザインをバッキバキに否定されて悲しい顔してるのがかわいかったです。あんな、クズみたいな役でもばっちり演じるジャレッドさん偉い。

アル・パチーノ:なんだかジャレッドレトと個人的に仲良いんじゃないかと思うくらい、仲良しアホコントを繰り広げていて最高でした。もうずっと笑ってましたw

 

 

0 件のコメント:

コメントを投稿