2022年9月7日水曜日

マット・リーヴスの「猿の惑星」シリーズ

ザ・バットマンがとてもよかったしクローバーフィールドも大好きなので、猿の惑星を観てみようとレンタルしてきた。なんとか3部作全部観た。主演はアンディ・サーキス、猿のモーションキャプチャーと演技もキャプチャしている。

1はマットリーブスじゃないので、あんまり期待していなかった。こちらはCGが稚拙で、いきいきとしているのは主役のシーザーくらいのもの。話は面白いのだが、なんとなく安っぽい。

2新世紀が一番気に入った。ドアップの演出から、人間との勢力争い、猿どうしの仲違いによる混乱など、テンションが低くて展開が遅いこと(それでも3よりは早い)以外は面白かった。そしてマット・リーヴスらしい暗い絵面と、ゲイリー・オールドマンの涙を誘う名演技などが光った。やはりエモーショナルなシーンは得意分野なんだなと思った。

3聖戦記に関しては、正直だるかった。というのは、これはマット・リーヴスの悪い癖なのかもしれないが一個一個のシーンがテンポが遅い。話としては面白いのだが緩急がなく一定のテンポで進むので人間の脳だと飽きてしまうw 

私は最近クリエイティブの本質について考えていたことがある。

人の脳は飽きやすいのだ。

ではどんなクリエイティブが人をひきつけるのか。それは、「コントラスト」だと私は思っている。テンポで言えば緩急。クライマックスとそうでない部分の熱量の差。文字組で言えば、ジャンプ率。フォントのウエイト。色はもちろんそのまま、コントラストだ。配色が美しくてもコントラストがなければ早めに飽きてしまうものだ。

眠たい色合いの写真や絵は早めに飽きるが、絵の中に一か所シャープなコントラスト(ピントが合っている部分)があると美しくていつまでも眺めてしまう。美大向けのデッサン教室に通ったときにそれを学んだ。背景は綺麗にぼかすこと。手前のどこかに描き込む部分をつくれと。これは映画の撮影でももちろん存分に使われている。またドアップとひきの画面を交互にもって来るなどもコントラストだと私は思う。


猿の惑星シリーズは、一番最初の映画を子供の頃に観て驚愕した覚えがある。あれほどの恐怖や驚きが、そのあと制作された映画にはない。どこにもなかった。ティムバートン版で非常にがっかりし、猿の惑星にはもう期待しないと思った。マット・リーヴス版は完成度としては悪くないのだが、最初の映画にはやはり負ける。猿の惑星の問題点はなんなのだろうとちょっと考えた。

まずはキャラクター。猿の見分けがつきにくい。シーザーはわかるが、それ以外がなんとなくしかわからん。 

そしてNOPEを観た人はご存知だと思うが本物のサルは使えないので、全部CGになってしまう。8割CG映画だ。ちょっときついものがある。アバターだって好きじゃないし、次作もどうかなと思ってしまう。やはりリアルな俳優の映像のライブ感が好きだ。

どういうわけか、猿の惑星は人間の俳優もなぜか見分けがつきにくく、個性もいまいち。わざとなのだろうか。ザ・バットマンにあれだけ似たような警官が出てきたのに、なんとなく誰が誰だかわかっていた。2に関しては、ゲイリーがいたし、若い男の子や綺麗な女性もいたんだけど、3は女の子以外の人間がよくわからなかった。なにしろボスキャラの顔に全然個性がなかったw 

それから、マット・リーヴス版は、猿VS人間とはっきり描かれていない。複雑極まりない関係の中、シーザーはもまれて疲弊するって感じの構図になっている。はっきりしないので、元祖の映画みたいにひたすら猿から逃げるような怖い構図になっていないので、ある意味、感情移入しづらかった。

細かいエピソードを観ていくと色々面白いけど、結末でなにか壮大な問題解決が行われたかというとそうでもない気がする。

これがバットマンであれば、どうせブルースはこれからも戦わなきゃいけないので、セリーナに「なんも変わらないわよ」って皮肉言われてもまあそうやね、と思うのだが、猿の惑星はあれでいったん終わりなので未消化すぎてもやった。

ただ、アンディ・サーキスはすごい頑張ったと思うし、もはや猿なのかアンディなのかわからないくらい似ていたし、これからもアンディ見たら猿思い出すと思うw

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