2022年12月20日火曜日

縞模様のパジャマの少年

サムネイルからして気に入って観たのですが…

 

第二次世界大戦中のドイツ人の裕福な家族の末っ子少年「ブルーノ」の視点から見た、ユダヤ人差別についてのお話です。

もうこの時点で色々想像してしまいますが。

まず冒頭から、ブルーノのお父さんが昇進し、引っ越すという話が出ます。

お父さんが昇進!どんな仕事かと思ったら……

「ハイルヒットラー!!」

という掛け声とともに、立派な軍服に身を包んだ父親(デヴィッド・シューリス)が現れます。

見ている方は「おおう……そっちの昇進か…」と。

軍服には骸骨のマークが!

SSじゃないっすか…………(SSがどんなに残酷な連中かは、検索してみてください)


恐ろしいことに、引っ越し先には謎の「農場」が。ブルーノは農場だと思い込むのですが……2本の煙突も気になるところです。

家に来るお手伝いさんが、囚人の服を着ていて、誰もいない時は会話をするのですが、実に悲しい内容だったりします。

「I used to practice as a doctor」と彼が言うのですがこれは、「医者として勤めていた」という英語の言い回しです。ですがブルーノは「プラクティス」を練習の意味でとらえて、笑います。

違うんです。彼はユダヤ人で、「収容される前に医者をやっていた」と言いたかったのです……。

お父さんは、「ユダヤ人は人間じゃないんだよ」ととんでもないことを言いますが……

案の定、ブルーノから見たら「ユダヤ人って本当にみんな悪いの?」と素朴な疑問を抱きます。

引っ越しで友達がいなくて暇なブルーノは、明らかに収容所である農場へ向かい、フェンス越しにユダヤ人の少年と仲良くなりますが……

 

どんどん残酷な感じになっていく、実に切ない映画で、正直なんの救いもないな、戦争映画だなあと思いましたが

印象的だったのは母親の反応でした。

戦争は、いつも女性が犠牲になりますね。

男性は、昇進が大好きですし、強い組織に認められ、働くことが生きがいですから。

「サウンドオブミュージック」のように、ある日いきなり彼氏がナチスに入り、別れを告げにきたりするわけですよ。

この映画のお母さんは、煙突から出てくる「臭いにおい」がなんの匂いか知ったとたん、ブチギレて夫を責め立てます。

気がついてしまったのです。

収容所が、収容だけではなく、役に立たなくなったユダヤ人を焼却していることに。

このお母さんは、最後まで、怒り続け、責め続け、最後まで泣いています。本当にかわいそうです…。

 

今更戦争映画、とも思われそうですが、少年たちの可愛らしさと純粋さ、春の美しい野原と、戦争の残酷さのコントラストが強烈でした。

 

時々こういう戦争映画を観た方がいいですね。少年の無垢な目から見た戦争、という視点がよかったです。

 

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