2023年3月28日火曜日

ELLEという映画

この映画は、ベネデッタと同じ監督なのですが、ベネデッタを観た後「この監督かなり独特だなあ」と思ってこちらの映画もGYAOで配信してたので観て見ました。

独特というのは、ロボコップでは一切そういう表現はないので、氷の微笑あたりからだと思うのですが…(氷の微笑はほとんど覚えていませんw)

ベネデッタ観たとき、「女性の描き方が凄いな」と思ったんですけど、何が凄いって、罪レベルの2面性ですね。

確かに女性は強い生き物ですし、嘘や芝居をすることに慣れています。そうでなければ生きていけないからです。世の中は男性中心に出来ていますが、女性に出産などのハンデがある以上どうしても仕方がないことだから。

しかし、ベネデッタは同性すら裏切り、しかも最高の信頼はそこには存在しない「キリスト」であったため、私は「信仰が強い(=推し活最高レベル)」と感じました。

 

「ELLE」の主人公ミシェルはさらにその上を行きます。

推定49歳、離婚済、企業の社長、会社の男性社員とセフレ関係、父は犯罪者で投獄中、母は若い愛人と遊び、整形(ボトックス)して無理をしている。息子は麻薬売人から卒業してハンバーガー屋で働いているが、その彼女の子供はどうみても肌の色がふたりと違っていたw

カオスです!!

しかも今作のテーマはレイプで、冒頭からミシェルがレイプされています(汗)。

この映画は若い女性より、私のように40代くらいか、30代ですでに男性に失望している方などが向いているかも。

主人公は熟女なので、レイプされてもそれほど驚かないどころか、始終冷めた反応。父が犯罪者のため、彼女は生き残りとして時々いやがらせを受けていました。なので何に対しても冷めていて皮肉をいうクセがついています。

しかしなあ、最大の問題点は、レイプ犯の正体なのですよ。

この映画にはたくさんの人間が登場し、みな複雑に絡み合っています。

クリスマスパーティーにはミシェルの母親とその恋人、お向かいのご夫妻、息子カップル、会社のセフレおじさんとその嫁、元夫とそのガールフレンド、など、無茶苦茶な組み合わせがやってきます。ちょっとメンタル強くないとやってられないですね。 

この中にレイプ犯がいるのです……。

ミシェルは映画の中盤で、再び現れたレイプ犯のマスクをついにはがします。正体は意外な人物。

そして、問題は、そのレイプ犯の目的をつとめることでした。もし彼女の身体を気に入っているのなら、熟女ミシェルとしては恋人にできないか、と思ったようで(多分かなり気に入っている)何度かけしかけますが、

最後らへんでも言われていることですが、この男性、「レイプでないと興奮しない」「レイプでないとセックスできない」らしいのです。

 

この物語は決してレイプ犯を改心させようだとか、そういう愛の物語ではありません。だからなおのこと、 バーホーベン監督の意図が気になりました。

多分、バーホーベン監督って、女性には3枚くらい上手でいて欲しいんじゃないかなと思いました。

正直ミシェルみたいに生きたいとは思わないのですが、相手が改心しないとわかった時のクールすぎる対応は、かっこよくて現実的だと思いました。

終わり方のちょっと空しいけれどかっこいい感じはベネデッタと似ていました。

そして案外、現実の犯罪ってこんな感じじゃないかな?ってちょっと思いました。自分ひとりで解決するのは本来危険ですが、警察が信頼できないという考え方はわからなくもないです。

特に性犯罪系は、警察の事情聴取でセカンドレイプされがち。 

(まあ基本的には一回はレイプされたことを警察に話すべきだと思います)


あと、レクター博士が言っていたことを思い出しました。犯罪の動機は「切望」。一番近くて、しょっちゅう見かける対象を獲物にする。

まさにその通りでしたね。 

映画の構成はなかなか巧みだったと思います。


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